Frog and Toad シリーズ他を10冊読んだ感想! 【英語多読】
小学校の国語の教科書に収録されたこともある、アーノルド・ローベル作の傑作絵本「Frog and Toad (がまくんとかえるくん) シリーズ」。
誕生から 50 年以上も愛されているシリーズです。読みやすい英文と温かみのある挿絵が魅力なので英語多読の題材としてもおすすめです。
目 次
Frog and Toad シリーズ
概要
50 年以上続く名作シリーズ
日本語タイトル | がまくんとかえるくん |
著者 | Arnold Lobel (アーノルド・ローベル) |
巻数 | 全4巻 |
YL | 1.3~1.4 |
語数 | 各巻 約1,700~約2,300語 (計8,025語) |
ほのぼの友情物語
Frog and Toad シリーズは数十冊もの絵本を書いたアーノルド・ローベルの代表シリーズで、1970 年から読者に愛されている Toad (ガマガエル) と Frog (カエル) の友情物語。カメ・トカゲ・ヘビ・トンボ・ネズミ・スズメなどの動物が出てくることもあるが、基本的に 2 匹がメインとなっている。すべての巻、すべての話は独立しているので、好きな巻から読み始めて問題ない。
全 4 巻は紙の本でも読んだことがあるしオーディオブックでも聞いたことがあって、どちらも面白かった。特に、Toda の性格がマイペースで、いわゆるボケ担当みたいな役回りでクスっと笑わせてくれた。Toad のちょっとずれた考え方や少しドジなトコロからハプニングが発生し、しっかり者の Frog がフォローに回るという感じ。ただ、どのような展開になっても、互いが互いを大事にしているという部分に変わりはなく、微笑ましく読み進めることができた。現実世界のガマとカエルも、実はこんなやり取りをしているのかな、なんと考えてしまうのも楽しかったかな。
英語学習的には以下の特徴があるので、多読の題材としても良いと思う。
- 語彙が比較的簡単
- 1 文が短めで、文構造も難しくない
- 挿絵がマイページにあるので状況が理解しやすい
- 全4巻は全て短編集で、各話が短いのでストーリーが理解しやすい
- 同じ表現の繰り返しが多いのでリズム良く読め、表現も頭に残りやすい
各巻の感想 (全 4 巻)
#1: Frog and Toad Are Friends
YL | 1.4 |
総語数 | 2,281 |
邦訳 | ふたりはともだち |
Spring
雪が解け春になった。Frog は友人の Toad の家に行き外に出ようと誘うが、Toad は家から出たからずまた眠ってしまう。自分だけでは寂しいと、Frog はなんとか Toad を起こそうとするが――。
人気シリーズの 1 作目の第 1 話。活動的な Frog に対して、あと半年は寝かせてくれという Toad。しっかり者とマイペースという全然性格が異なる 2 匹ながらも、ほのぼのとする彼らのやり取りが微笑ましい。Frog が Toad を起こす方法がまた単純なのだが、それに簡単に引っかかってしまう Toad が面白い。
The Story
ある夏の日、体調不良で寝込む Frog。ベッドで横になっているので、なにか話をしてくれと Toad に頼む彼。Toad は聞かせてあげるための物語を必死に考えるのだが――。
もともと緑色の Frog に対して、「(体調不良で) すごい緑色に見えるよ」と伝える Toad の、ちょっとずれている所が可愛らしい。また、Frog のために必死に物語を考える Toad の姿で、この 2 匹は本当に仲が良いのだなと思わせてくれる描写も良い。
A Lost Button
散歩に出た Toad と Frog。草原を歩き、森を歩き、川沿いを歩き、ついに 家に戻って来た彼らだったが、Toad のジャケットのボタンが 1 つ無くなっていることに気づく。ボタンを探しに歩いた道をる彼らだったが――。
草原や森を探索して歩き回るのだが、まるで宝探しの冒険みたいで良い。探せばどんどん誰かの落としたボタン見つかるのも面白い。みんなボタン落としすぎやろ (笑。しかし、カエルのジャケットのボタンって滅茶苦茶小さいんだろうな。
A Swim
絶好の水泳日和。川に泳ぎに出た Frog と Toad だったが、Toad は執拗に自分の水着を見せようとせず、Frog に周辺の動物に近づかないよう伝えてくれと頼む――。
カエルでも水着を着るのか……! という導入の様子から面白いが、全体的に今作は小学生みたいなノリだった。様々な動物の挿絵があり、色合いがとても良くて好き。
The Letter
家の前で悲しんでいる Toad 。手紙を一度も受け取ったことが無くて悲しいと言う Toad を見て、Frog は早速行動を開始するのだった――。
話の流れは単純ながらも、逆に微笑ましく読める回。しかし、手紙配達の役目がカタツムリだったが、ちゃんと届くのかドキドキしてしまった (笑。たぶん手紙が速く届き過ぎないようにとい配慮だったのだろうが。
#2: Frog and Toad Together
YL | 1.3 |
総語数 | 1,942 |
邦訳 | ふたりはいっしょ |
A List
ある朝、やる事が多いので本日の TO DO リストを作ることにしたToad。リスト通りに行動し満足していた彼だったが、リストが風に吹き飛ばされてしまい――。
単に自分の補助をするためのリストに、逆に捕らわれてしった Toad の子供らしさと、最後のオチの単純さが実に彼らしい。そしてきちんと Toad に付き合ってあげる Frog の優しさが染みわたる。
The Garden
Frog 家の周囲の花畑を Toad が羨やんだところ、Frog が Toad も花の種を家の周囲に蒔けば良いと提案する。さっそく家に戻り花の種を蒔く Toad だったが、なかなか種は目を出さず――。
オッチョコチョイというか、言葉を額面通りに受け取りがち Toad だが、蒔いた種を懸命に世話する姿は良い。楽器も弾けるようで、なかなか多才なヤツだ……!
Cookies
大変美味しいクッキーを焼くことができたので、Frog にもおすそ分けに行った Toad。2 匹してクッキーをたらふく食べていたが、食べすぎは良くないので、次のクッキーを食べたら今日はおしまいにしようと Toad は提案する――。
美味しい物には逆らえない。それはカエルも同じだった! なんとか食べるのをやめようとする 2 匹の行動が、どんどんエスカレートしていく様子が面白かった。
Dragons and Giants
一緒に本を読んでいた Frog と Toad。本の登場人物は竜に巨人にも恐れず勇敢だが、自分たちも勇敢だろうか? そんな疑問を抱いた 2 匹は冒険へと出発したのだった――。
カエルにとっては岩やヘビに出くわすだけでも立派な冒険なんだよなぁとしみじみ。大変な目に会いながらも勇敢であろうとする 2 匹が堪能できた。
The Dream
眠って夢を見ている Toad。衣装を着てステージに立ち、ピアノを見事に弾きこなす Toadには、Frog がいつもより小さく見える。他にも見事なパフォーマンスをこなす Toad はどんどん得意になり――。
Toad は内心 Frog がスマートでカッコ良いと思っていて、でも自分の方が凄いと誇りたかったのだろうなと思わせる内容。それでも最後は友情を優先するのが、やはり 2 匹の絆の深さを感じさせて良い。
#3: Frog and Toad All Year
YL | 1.3 |
総語数 | 1,727 |
邦訳 | ふたりはいつも |
Down the hell
冬が訪れた。Frog は Toad の家に行き冬を堪能しようと誘い、しぶる Toad を外へ連れ出す。2 匹は雪坂をソリで滑り楽しむが、途中で Frog がソリから落ちてしまい――。
第 1 巻では冬の間中寝ていた Toad だが、今回は冬を楽しむようになっており、成長したように思わせる。オチではいつも通りの Toad で安心させられたが (笑。
The Corner
雨が降ってきたので家まで走ってきた Frog と Toad。雨が止むのを待つ間、Frog は、昔父から「もう春は間近 (around the corner)」と言われ、「曲がり角 (the corner)」を探しにいった時の事を話し始めた――。
“around the corner” という言い回しを聞いて、”the corner” を探しに行ってしまった少年 (少蛙?) 時代の Frog の物語。Toad なら今でもやりそうな行動だなと思ったり。ちゃんと最後はいい感じに締められていて良かった。
Ice Cream
暑い夏の日。アイスクリームが食べたくなった Frog と Toad。そこで Toad はアイスを 2 つ買いに行ったが、戻ってくる途中でアイスが溶け始めてしまった! Toad は無事 Frog にアイスを届けることができるのか――。
アイスクリーム屋があるとか、顔のサイズもあるほど大きいアイスだとか、色々ツッコミどころが多くて楽しい話だった。
The Surprise
10 月。落ち葉を見た Frog は、Toad の家の庭の落ち葉を片付けて上げようとする。一方、Toad も Frog を喜ばせてあげようと彼の家の庭の落ち葉を片付けようとするが――。
まず友人の事を真っ先に考えるあたり、お互いがお互いを大事に思っているんだなぁとほんわかする。自然の脅威が残酷なオチを用意していたけれども (笑。
Christmas Eve
クリスマスイブ。Toad は豪華なディナーを用意し、Frog の到着を待っていた。しかしなかなか来ない Frog が心配になってくる。穴に落ちていたら? 森で迷っていたら? Toad は Frog を救出せんと家を飛び出した――。
想像力たくましい Toad。でもたしかに不安なときは色々と考えてしまうものだよね。仲良く一年間を過ごす姿が見れたのでこの巻も満足。
#4: Days with Frog and Toad
YL | 1.4 |
総語数 | 2,075 |
邦訳 | ふたりはきょうも |
Tomorrow
Toad がベッドで目を覚まして辺りを見ると、家の中が散らかっていたので片付けないとなぁと思い、明日掃除をすることに決めた。Frog に指摘された服の整理も、台所の片付けも、ホコリ掃除も全部明日やる! Toad は、明日やることが多くて憂鬱になった――。
今日楽するために面倒なことは全部明日に回す! 珍しく Toad 共感してしまった (笑。その後の展開とオチも実に Toad らしくて面白かった。
The Kite
凧揚げをしに平原にきた Frog と Toad だったが、上手く揚げられず近くにいた鳥にも笑われてしまう。それでも懸命に凧揚げに挑む彼らだったが――。
笑われても懸命に挑む Frog と Toad の姿はカッコ良い。このシリーズは努力が無駄になることが (あんまり) ないので、安心して読めて良い。
Shivers
暗く寒い夜。怪談話にはもってこいの時間だと、Frog はとある話を始める。昔、自分が小さかった頃、両親と自分の 3 人でピクニックに出かけた時、途中で道に迷って――。
珍しいホラー回。まぁ話自体は怖くはないのだが、Frog が話す途中で何回も Toad が「作り話でしょ?」と聞いている姿が可愛い。
The Hat
Frog は Toad の誕生日に帽子をプレゼント! 喜ぶ Toad だったが、少しサイズあ大きかったため、転んだり気にぶつかってしまう。せっかくのプレゼントが自分に合わず悲しむ Toad に、Frog が一つ提案をした――。
今回も見事な解決策を考えたし、いつも Toad のために色々と考える Frog は凄いね。いやしかし、帽子をかぶるために頭の方をデカくするという考え方はどうなんだ (笑。
Alone
Frog の家に来た Toad だが、ドアに「外出する。一人になりたい」という Frog からの伝言が貼ってあった。なにか悲しいことがあったに違いないと考えた Toad は、Frog を励ますために行動を開始するのであった――。
ついにシリーズ最終話。今までは Frog が Toad を助けるような話が多かったが、今回は Toad が頑張る話。Toad も Frog も相手のことを気づかい、支え合おうとする姿はやっぱり良い。後、最後の一文がとても良かった。
4 冊まとめたコレクション版
Frog and Toad シリーズは人気作品なこともあり、4 冊まとめたコレクション版がハードカバー、電子書籍、オーディオブックなどで出版されている。私も一時期は著者 Arnold Lobel 本人が朗読している Frog and Toad オーディオ・コレクションを何度も聞いた。語り口調がとても素敵だったな。
ハードカバー | Frog and Toad Storybook Treasury |
ハードカバー | Frog and Toad: The Complete Collection |
電子書籍 (Kindle) | Frog and Toad Quartet |
オーディオブック | Frog and Toad Audio Collection |
その他のアーノルド・ローベル本 6 冊想
Small Pig
YL | 1.2 |
総語数 | 803 |
邦訳 | どろんここぶた |
農場で暮らす子ブタは食べて走って寝るのが好き。しかしなにより、やわらかい泥に座って沈みこむのが大好き! だがある日、農場主の女性がブタ小屋と泥を掃除してしまう。それに怒った子ブタは農場を飛び出すが――。
泥を求めて子ブタが外界の世界に飛び出すも、なかなか良い場所は見つからず、という冒険話。Frog and Toad より前に出たで本で、たわいない話しだけど顛末は面白い。あと、微妙に可愛くないブタの絵、味があって良い。いや、子ブタの横顔はカワイイと思いますよ。
Mouse Tales
YL | 1.2 |
総語数 | 1,527 |
邦訳 | とうさんおはなしして |
子ネズミたちが父ネズミに寝るときのお話をねだり、父ネズミはこれから 7 つの物語を教えてあげることにした。1 つめの話は、願いが叶う井戸――。
父ネズミが子供達に語るという体で、全部で 7 つの短編が収録されている。各話は本当に親が子供に語るぐらいの自由な発想のストーリーで、優しい絵柄の挿絵と読みやすい英文が魅力。個人的に気に入った話は「VERY TALL MOUSE AND VERY SHORT MOUSE」。背の高さが異なる 2 匹のネズミの、視点の違いが面白かった。
Owl at Home
YL | 1.3 |
総語数 | 1,501 |
邦訳 | ふくろうくん |
雪が積もる冬、暖炉の脇でくつろいで座っていたフクロウは家の扉を叩く音を聞いた。外を覗いてみても誰もいない。もしや、冬自身が暖炉のそばでくつろぎたくて訪ねて来たのでは? そう考えたフクロウは扉を開け、親切にも「冬」を家の中に招待することにした――。
全部で 5 つの短編が掲載されており、上記は短編「The Guest」の導入のあらすじ。優しいけどちょっと変わったフクロウが主役で、彼の奇抜 (?) な行動が描かれている。暖かみのある挿絵と何とも不思議な物語がマッチして、独特の雰囲気がある 1 冊。
Mouse Soup
YL | 1.4 |
総語数 | 1,350 |
邦訳 | おはなし ばんざい |
木の根元で読書をしていたネズミだったが、イタチに捕まってしまった! イタチはネズミをスープにするつもりだったが、ネズミか「お話を入れないと美味しいスープができない!」と伝え、4 つの物語をイタチに話し始めた――。
上記の導入から始まる 4 つの短編集。ネズミとイタチがどうなったかもライスとで語られているがオチが良い。短編のなかで自分が気に入った話は「TWO LARGE STONES」。2 つの岩が、自分たちは移動できないので他の場所の様子を動物に聞くという発想と、動物ごとに返答が異なるのが面白かった。なお、タイトルは似ているが Mouse Tales と物語的な繋がりがあるわけではない。
Grasshopper on the Road
YL | 1.4 |
総語数 | 1,947 |
邦訳 | きりぎりすくん |
旅に出たい。そう思っていたバッタは道を見つけ、その道の続く先まで進んでみることにした。道の先には丘があり低地がある。バッタはこれから、どのような経験をするのだろうか――。
旅に出たバッタが経験した 6 つ物語を掲載している。旅先で出会う押しが強いというか個性的な昆虫たちと、意外と冷静なバッタの対比が面白い。
Frog and Toad シリーズ 語数・YL 一覧
個別
No. | YL | 語数 | タイトル | 出版年 |
---|---|---|---|---|
Frog and Toad シリーズ (8,025語) | ||||
1 | 1.4 | 2,281 | Frog and Toad Are Friends | 1970 |
2 | 1.3 | 1,942 | Frog and Toad Together | 1972 |
3 | 1.3 | 1,727 | Frog and Toad All Year | 1976 |
4 | 1.4 | 2,075 | Days with Frog and Toad | 1979 |
その他のアーノルド・ローベル本 6 冊 (8,951語) | ||||
1.2 | 803 | Small Pig | 1969 | |
1.2 | 1,527 | Mouse Tales | 1972 | |
1.3 | 1,501 | Owl at Home | 1975 | |
1.4 | 1,350 | Mouse Soup | 1977 | |
1.4 | 1,947 | Grasshopper on the Road | 1978 | |
1.4 | 1,823 | Uncle Elephant | 1981 |
※ | YL は自己評価 |
※ | 語数は AR BookFinder より |
コレクション版
種類 | コレクション版タイトル |
---|---|
Frog and Toad シリーズ | |
ハードカバー | Frog and Toad Storybook Treasury |
ハードカバー | Frog and Toad: The Complete Collection |
電子書籍 (Kindle) | Frog and Toad Quartet |
オーディオブック | Frog and Toad Audio Collection |
その他 | |
オーディオブック | Arnold Lobel Audio Collection |
オーディオブック | Mouse Tales Audio Collection |
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管理人 矢月
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