英単語や熟語の暗記、瞬間英作文などで重宝するツール「Anki」。この記事では、Ankiとは何か、なぜ効率よく暗記ができるのか、どのように使っていくべきかといった基礎知識についてまとめました。

私自身もAnkiで数百時間はボキャビルを行っており、大変重宝しています。是非試してみてくださいね!

Ankiとは

効率よい暗記を補助するツール

紙の単語帳・フラッシュカードのツール版

英単語の暗記を行う際、紙の単語帳やフラッシュカードを利用したことがある方もいるかと思いますが、Ankiはまさに単語帳の裏表カードをツール化したものです。「表 (単語) → 裏 (定義)」のように使えるので、多数の英単語の暗記を行う場合に向いています。

PC版Anki (Windows、Mac、Linux) とスマホ・タブレット版のAnkiMobile (iOS)、AnkiDroid (Android) があります。

レイアウトの自由度が高い

Ankiは細かくレイアウトを調整できるため、自分が望んだ形式を実現しやすいです (ある程度知識は必要)。

「日本語訳 (表) → 英訳 (裏)」で組み合わせれば瞬間英作文のトレーニングにも使えますし、画像や音声を組み込んで記憶の定着をさらに促すことも可能です。

覚えにくいものだけ頻繁に復習する仕組み

SRS (間隔反復システム、Spaced Repetition System)

効率良い学習法として、SR (間隔反復、Spaced Repetition)とよばれる方法があります。これは復習間隔を1日→3日→6日→…→1ヶ月→…と徐々に伸ばしていく方法です。忘れてしまった場合は1日間隔からやり直すようにすることで、結果として覚えられない単語のみ頻繁に復習することができます。紙の単語カードと複数の箱があればこの方法を実践することができますが、Ankiはこの復習間隔の管理を自動で行ってくれるため、自分は暗記にのみ集中することができます。

「英単語の暗記は復習が大事」とよく言われますが、単語ごとに復習期間を管理するのは非常に手間です。しかし、Ankiを使えば復習が必要な単語が自動で選別されるので、効率よく暗記を行うことができます。

ちなみにこのSRを取り入れたサービスは他にも色々あり、iKow!もその一つです。

暗記科目全般に活用できる

国語、数学、社会、理科、その他なんでも

Ankiは文字、画像、音声を使って自分で単語帳を作成できるので、暗記が必要な科目すべてに応用できます。

  • 国語: 漢字
  • 数学: 公式
  • 歴史: 年表、歴代将軍の名前
  • 化学: 元素記号、化学式

上記は一例ですが、このように様々な分野で活用できます。英語学習以外でも活用できるのはAnkiの利点の1つですね。

PC版とスマホ版で同期するので、いつでもどこでもAnkiができる

AnkiWebで作成したアカウントでデータが紐づく

Ankiは以下4種類に分かれています。

AnkiWeb無料ブラウザで利用。アカウント作成をここで行う
Anki無料PC版。Windows、Mac、Linux版がある
AnkiMobile有料iOS端末用
AnkiDroid無料Android端末用

まずはAnkiWebでアカウント作成を行います。その後、PC版やスマホ版のAnkiをインストールし、作成したアカウントでログインするとデータの同期が行えるようになります。

私はPC版のAnkiで単語帳の作成を行い、自宅ではタブレット、外出時はスマホでAnkiを実施しています。便利!

iOS版 (AnkiMobile) のみ有料なのは何で?

Ankiの開発、維持費用はAnkiMobileの売り上げで賄われているようです。AnkiMobileのみ有料と考えるより、AnkiMobileの売り上げのおかげでAnkiWebやPC版Ankiが無料で使えていると考えたほうが良いかもしれませんね。それにAnkiを使いこなせば値段以上のリターンが得られますよ!

なお、AnkiDroidはAnkiとは別のグループによって開発されたツールです。こちらが無料で公開されているのは大変ありがたいですね。

基本機能

復習間隔管理

カードの暗記を繰り返していくと次回の復習間隔が徐々に伸びていきますが、自分の暗記度合いに応じて間隔を調整することができます。簡単に思い出せた単語、何とか思い出せた単語、忘れてしまった単語など状況に合わせて調整します。

単語帳

単語帳は複数作成でき、階層管理することができます。[英単語]や[熟語]のように分類できますし、[英語][社会]のようにもっと大きな枠で分類することも可能です。

ブラウザー

「ブラウザー」では単語帳に登録したカードの一覧の検索や、カードの新規登録・編集・削除ができます。

スマホ・タブレット版でもカードの検索や追加・編集・削除は可能だが、ブラウザーはPC版でのみ利用可能

グラフ

学習データはグラフとして可視化されます。成果やノルマが目に見えて確認できるので、毎日続けるモチベーションに繋がります。

共有単語帳

Ankiには自作の単語帳を別のユーザーと共有できる「共有単語帳」機能があります。最初は共有単語帳をダウンロードしてAnkiに慣れてみるのが良いでしょう。様々な言語・分野に対応した単語帳もあるので、最初は結構役立ちます。

アドオン

PC版のAnkiでは、アドオン (追加機能) をインストールすることができます。見た目を変えて使いやすくするタイプと (ボタンを大きくする など) 、単語帳やカードの作成を簡単にできるようにするタイプに分かれます。

見た目を変えるアドオンはスマホ・タブレット版のAnkiには反映しませんが、アドオンを利用して作成した単語帳やカードはスマホ・タブレット版でも利用できます。

活用・紹介記事

日本国内でも利用者は多い

Ankiの開発者は海外の方ですが、日本でもAnkiを語学学習に利用している方は多いようです。紹介記事なども色々あるので、ぜひ参考にしてみてください。



Ankiを使う

Ankiを導入する

インストール、共有単語帳の利用、同期方法

Anki
Anki 入手先

Ankiはそれぞれ記載したリンクから入手可能です。インストール手順、共有単語帳の利用方法、同期方法は以下記事に詳しく記載されているので参照ください。

チュートリアル動画

Ankiの紹介・チュートリアルの動画も色々あるので、いくつかリストにまとめておきました。ただ、Ankiをこれから始めて使う方には逆に分かりにくい気がするので、ある程度自分でAnkiを使った後に視聴した方が良いかもしれません。

マニュアル

Ankiのマニュアル、および使い方をまとめているサイトは以下の通りです。かなりのボリュームですが、大体のことは以下を調べればわかるはずです。

オススメのアドオン

Ankiには様々な目的で使えるアドオンが数多く存在しますが、とりあえずインストールしておいた方が何かと便利なアドオンがあります。以下記事を参照にして、気に入ったアドオンを導入してみてはいかがでしょうか。

市販の辞書・辞典の内容を暗記カードとして取り込む

英辞郎、学辞郎

市販の英辞郎や学辞郎からは、アルクが作成した英単語リストSVL12000のデータをファイル出力することができます。また、英辞郎とExcelを利用すれば任意の英単語リストに和訳を付けることも可能です。ファイル出力や、出力したファイルをAnkiに取り込む方法は以下を参照ください。

E-DIC 英和|和英 (イーディック) 第2版

句動詞やアメリカ口語などの知識が欲しい場合は、E-DIC 第2版がオススメです。E-DIC 第2版には「アメリカ口語辞典」「英和イディオム完全対訳辞典」「動詞を使いこなすための英和活用辞典」などを含む多数の辞典が収録されています。アメリカ口語辞典なんかは純粋に読み物としても面白いです。

そして、このE-DIC 第2版の内容をCSVファイルに出力するためのスクリプトを公開してくださっている方がいるので、活用すればAnkiに取り込むことができます。スクリプトの入手先については以下記事を参照ください。



Ankiを使いこなすヒント

効率よく実施していくには

復習と新規カードのバランス

未知の内容を多く含む単語帳の場合

私は「復習カードを全て消化した後に新規カードを投入する」ようにしています。Ankiの最大の長所である復習間隔の自動管理を活かすには毎日の復習を着実にこなしていく必要があるため、復習の方が優先度が高いです。

10~30枚程度の新規カードを毎日投入していくわけですが、まずは復習を全て行い、余った時間で新規カードを投入していきます。復習にかかる時間が増えて新規カードの投入に割く時間が無くなった場合は新規カードの投入数を減らし、数日間復習に専念します。すると復習にかかる時間が減ってくるので、また新規カードを投入する、という流れです。

もちろん、Ankiに費やす時間を増やして、新規カード投入数を減らさず、復習もすべてこなすのが一番ですよ!

1日の復習枚数、新規投入数は単語帳のオプションで設定可。さらに、1日の上限を超えた学習は[カスタム学習]で可能 (1日のノルマ消化後に選べるようになる)
既知の内容を多く含む単語帳の場合

「基本からやり直す」、「暗記漏れの英単語を無くす」などの意図で簡単な単語帳をこなす時は、新規カードの投入を優先していました。

具体的には、復習枚数は常に30程度にとどめ、残りの時間は新規カードの投入に費やすようにしていました。新規カードの投入が終わった後も、復習は常に30枚までとしています。このようにするとAnkiが決めた復習期間を大幅に超えるようになるのですが、これは意図的に行っています。

FAQにありますが、復習期間を過ぎたカードを消化した場合、次回復習間隔は延ばした期間も加味されて計算されます。簡単な単語・既知の内容は律儀に1日→3日→6日のように細かく復習する必要が無いので、意図的に復習日を後ろにずらし、復習期間を延ばしていました。また、簡単な単語帳の消化はあくまでもついでに行っていたので、新規カードが0になった後も復習枚数は30までとし、あまり時間を使わないようにしていました。

もちろん最初から既知の内容のカードを削除しておけばこのような方法を取る必要はありませんが、個人的に簡単な内容のカードであっても復習しておこうと考えたため、このような方法を取りました。

旅行前には新規投入はしない

旅行中などAnkiに費やす時間が確保できない場合はどうしてもあります。あらかじめAnkiの時間が確保できない日が分かっているのであれば、その少し前から新規カードの投入は控えた方が良いかと思います。復習できないのであれば新規カードを投入してもあまり意味はありませんしね。

新規カードの投入や復習は小分けにする

Ankiを続けていくと1日の復習枚数は数十~数百へと増えていきます。正直面倒です。時間が掛かりますし、似たような意味を持つカード同士の記憶が干渉しあい、覚えづらくなるという弊害もでてきます。

そこでオススメなのは、枚数を小分けにして実施する方法です。私は一日の復習上限・新規カード投入上限は30にしており、それ以上の枚数を消化するときは[カスタム学習]の機能で15枚ずつ消化するようにしています。

15枚程度であればサクッと消化できるので、外出中の隙間時間でも気軽にできます。

覚えられない単語はフィルター単語帳を活用

なかなか覚えづらいカードも中にはあります。それでも毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日繰り返していればいずれ覚えることはできます。しかし、このような覚えられない単語のみを抽出し、別枠で暗記を行うこともできます。

[ツール]-[フィルター単語帳を作成]メニューから、特定のカードのみ抽出した単語帳を作成することができます。一度カードを消化した後に、同じフィルター単語帳を作成する場合は、作成したフィルター単語帳を選んで[再構築]ボタンを押します。

特定のカードにのみ集中して暗記を取り組みたい時に便利です。

レイアウトをカスタマイズするには?

HTMLとCSSを理解する

AnkiのカードのテンプレートはHTMLとCSSでレイアウトやデザインを変更できます。例えば、HTMLでは横棒は<hr>、改行は<br>で表しますし、CSSで背景色を変える場合は「background-color:gray;」などのように記載します。

ある程度は「Ankiで英単語一覧を取り込む「詳細な」説明」の記事の中で言及していますが、より詳細を知りたい場合は「HTMLとCSSの基本をサルでもわかるようにまとめた【入門・初心者向け】」などの記事を参考にしてみてください。

共有単語帳をダウンロードし、その共有単語帳のレイアウトを使いまわすという方法もある

自作単語帳を作成するコツ

知識を定式化する20個のルールにのっとる

英語のみならず様々な分野で活用できるAnkiですが、カードは自作しないといけません。どのような形式でカードを作るべきなのかについては、知識を定型化する20個のルールをまずは参考にしてみると良いかと思います。具体的な内容は以下を参照ください。

画像を多用する

PCやスマホであれば画面の内容を画像として保存できます。なので、映画のワンシーンやWebサイトの内容を画像にし、Ankiに取り込むことも簡単です。映画の字幕を手入力するのは手間ですが、画像保存なら一瞬ですし、視覚的な情報と合わさって暗記がはかどります。

また、参考書や書籍などをスキャンし (いわゆる自炊)、画像をAnkiに取り込むなんて方法も考えられます。画像化できるものは画像を最大限活用しましょう!

Ankiで画像を表示させるには、画像をドラッグ&ドロップ、画像のコピー&ペースト、HTMLのimgタグを利用など、色々ある

歩きながら実施する

ゲームのコントローラーで操作するのも良い

自宅で座って勉強していると眠くなる。あると思います。私は自宅ではタブレットでAnkiを実施していますが、眠くなりそうなときは歩き回りながら操作をしています。

スマホやタブレットは持ち運びできますが、PCは簡単に持ち運べません。そこでPCでAnkiをする方にオススメなのは、ゲームの無線コントローラーを利用することです。PS4Xbox OneNintendo SwitchなどのコントローラーはPCと接続できますし、JoyToKeyというツールを使えば各ボタンをキーボードの任意のキーとマッピングすることもできます。

Ankiでカードを消化する時はボタンを押すだけなので、コントローラー片手に歩きながら操作するのも簡単です。オススメです。

Windows PCでゲームもするならXbox Oneコントローラーが一番おすすめ

いつ止めれば良いのか問題

Ankiユーザー共通 (?) の疑問

Ankiを実施している方は思ったことがあると思います。「Ankiはいつまで続ければよいのか?」と。

正解は無いので個人的な見解を記載しますが、「時間があるなら止める必要はない」です。各カードの復習間隔はどんどん伸びていくわけですから、ず~~~~~~っと続けていけば1日当たりの復習量は少なくなり、短時間でこなせるようになるでしょう。

とはいえ、Ankiを止めたい気持ちはあるので、私は「すべてのカードが熟知となった単語帳は実施を止める」と決めています。復習期間が21日を超えたカードは熟知としてグラフ上では濃い緑で表されるので、グラフがすべて濃い緑になったらその単語帳の暗記は完了とするつもりです。

Ankiを止めた後に日常生活の中で覚えた内容に出くわせば、おそらく記憶の定着はより強固なものになるでしょう。もし出くわさなければ忘れてしまう場合もあるでしょうが、日常生活で出くわさない内容はそもそも覚えている必要が無いとも言えます。必要な時に改めて暗記すれば良いと思います。

こんな時どうする?

まずはFAQを確認

Ankiは多機能なぶん、使い方に迷うことが良くあります。迷ったらマニュアルのFAQなどを一度確認してみると良いかと思います。

注意事項

6か月以上使っていないと、AnkiWebのデータは消える!?

AnkiWebのTerms and ConditionのAccount Expiryには「AnkiWebを無料で提供していくため、6か月以上アクセスされていないアカウントの単語帳は削除される可能性がある」と記載されています。AnkiWebのデータが消えてもPCやスマホのデータは残るでしょうし、バックアップがあればそこから復旧できるとは思いますが、しばらく使っていなかったらAnkiWebのデータは削除される可能性があると認識しておきましょう。

終わりに

多機能すぎて覚えづらいが…

Ankiは使えるようになれば便利なのですが、多機能ゆえに機能の全体像を把握するだけでもチョット大変です。ですが、学生のうちからAnkiを使っている方もいますし、親がAnkiをセットアップして子どもに使わせている、なんて話も聞きます。

使い方を学ぶのは少し大変ですが、覚えればそれ以上のリターンが得られるはずですので、一度試してみてはいかがでしょうか……!

Ankiの活用方法が掲載されている本もある

日本語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、ハンガリー語をマスターした方の暗記メソッドが記載された本「脳が認める外国語勉強法」には、Ankiの使い方・活用方法が掲載されているようです。ネットの情報だけでは分かりづらいという方はこのような書籍を参考にしてみるのも良いかと思います。

脳が認める外国語勉強法

単語も文法も忘れなくなる
英語学習の最強・最速メソッド!