洋書多読を始めようと思った時に感じる

  • 多読で皆が何を読んでいるのか知りたい!
  • ハリーポッターより簡単な洋書を教えて!
  • とにかくたくさんの洋書を見せて!
  • 初・中級者向けの洋書を難易度順に並べて!

という疑問を解消すべく、定番の洋書 75冊を読みやすさ順にまとめました。「75冊じゃ足りない!」という声に応えられるように、おまけで 54冊紹介します!

目 次

多読初心者向けの洋書とは

海外の児童書が1つの選択肢

絵が豊富な子供向け書籍 ~ 10代向け小説

概要

米国などでは絵本を卒業した子供が読む本は Chapter Books や Middle Grade Books と分類されており、Magic Tree House (マジック・ツリーハウス) や Diary of a Wimpy Kid (グレッグのダメ日記) などが該当します。ついで 10代の少年少女向けに Young Adult というジャンルがあり、恋愛・病気・人間関係などより複雑なテーマを扱うようになってきます。

ネイティブ10歳の語彙数は1万語超?

ネイティブの語彙数は10歳で1万語を超えるとも言われています。また、海外の文化が背景になっていると物語が理解し辛いこともあるので、負担が少ない絵本や児童書レベルから読み始めるのは自然な事かもしれません。そこで本記事では Chapter Books ~ Yong Adult Novels に該当する洋書をメインに紹介していきます!

絵本については「英語の絵本30選」を、上記表については「SVL 12000レビュー」を参照ください。

多読・多聴に役立つサービス

Kindle、Audible、Scribd!

洋書や朗読はペーパーバックやCDで揃えたい! という気持ちはあるのですが、スペースの関係で私は電子書籍 & オーディオブックを利用しています。具体的には以下サービスを利用しています。

  • 電子書籍 (Kindle、Scribd)
  • オーディオブック (Audible、Scribd)

本記事で紹介する75冊もすべて電子書籍で読んでおり、その本にオーディオブックがある場合はすべて聴いています。基本は Kindle と Audible で購入していますが、半分ぐらいは Scirbd という海外の定額制サービスで読み聴きできました! Scribd と Audible については「Scribd の始め方」と「Audible の始め方とオススメの洋書オーディオブック23選」にまとめたので参照ください。

人気・定番の初級・中級の洋書 75選 (約147万語)

概要

数ある洋書の中から以下条件に該当する75作品を、自分で読んで評価した YL (読みやすさレベル) 順に紹介します。 子供向けの作品 (特に YL が低い作品) については合理的な展開や複雑な設定を期待するよりも、素直にストーリーを楽しみましょう!

  • YL 1.5 ~ 6.0
  • 1冊辺りの語数が 1,500~50,000語
  • 多読の題材として日本で読まれている洋書 (児童書)
  • 電子書籍版がある (日米Amazon どちらかに)
  • 1人の作者につき 1 作品 (シリーズ) まで
YL (読みやすさレベル) とは洋書の読みやすさを0.0~9.9の範囲で数値化したもので、数値が小さい程読みやすい
1人の作家につき1作品までという制限を付けているので、紹介できなかった多読の定番作品もある

定番シリーズ (YL 1.5 ~: 1冊、約1,600語)

数千語の英語の本を読んだことが無い場合、まずは試しにこの1冊。簡単に読めるようならYL 2.0 以降に進み、このレベル帯かもう少し簡単な内容を読みたい場合は英語の絵本や語彙制限本 (Graded Readers)、子供向けの米国教科書なども候補となる。
Nate the Great
YL: 1.5、総語数: 1594
著者Marjorie Weinman Sharmat
シリーズNate the Great シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ぼくはめいたんてい: きえた犬のえ

少年探偵ネートの謎解きシリーズ。紛失した犬の絵を探し出す、といった探偵ごっこの延長とも言えるぐらいの簡単な内容だが、子供が一生懸命推理して事実を突き止める過程は推理物としての体をなしており短いながらも面白い。絵本として紹介されることもあるが、児童書から多読を始めたいという場合でもこのシリーズから読み始めるのは良い。

4話をまとめたオーディオ・コレクションや、ネートの従姉妹オリビアが主役の Olivia Sharp シリーズ (YL 2.0~2.5 ぐらい) もある。同レベル帯なら絵本 Frog and Toad シリーズも面白い。

» Nate the Great シリーズ 29冊 感想

定番シリーズ (YL 2.0 ~: 11冊、約6万5千語)

物語としての面白さがありつつ難しい単語や文法は多くない。大人が読んでも楽しめる作品も多く、5,000語前後の本に慣れるには丁度良いシリーズ群。
Adam Sharp #1: The Spy Who Barked
YL: 2.0、総語数: 3,268
著者George Edward Stanley
シリーズAdam Sharp シリーズ / Wikipediaで確認

アダムは8歳の小学生。だが実は蝶ネクタイとタキシードを着こなす諜報機関IM-8のエリート・エージェントなのだ! しまった、謎の人物にお弁当箱に偽装した高性能コンピューターが盗まれた! 秘密道具を駆使し、オランダの女の子諜報員と協力して犯人を追い詰めろ――! この語数でよくぞまとめたスパイ物。テンポよく、かつ笑えるアクション作品。設定故か一部単語が難しいものの、繰り返し使われるので直ぐに覚えられるはず。

Rainbow Magic #1: Ruby the Red Fairy
YL: 2.0、総語数: 4,024
著者Daisy Meadows
シリーズRainbow Magic シリーズ / Wikipediaで確認
邦題レインボーマジック: 赤の妖精ルビー

バカンスに訪れた島で出会った2人の女の子は、ひょんなことから妖精と出会う。色を失ってしまった妖精の国を助けるために、悪い妖精に閉じ込められた虹の妖精たちを探すことに! という女の子向けの冒険ファンタジー。分かりやすいストーリーと英文でどんどん読み進められる。なお、シリーズ全体では200冊以上あるが、最初の話は The Rainbow Fraieires シリーズ として7冊で完結。イギリスではアニメ化もされている。

Dragon Masters #1: Rise of the Earth Dragon
YL: 2.3、総語数: 6,016
著者Tracey West
シリーズDragon Masters シリーズ

資質を見出された農家の息子ドレイクは城へ連れていかれ、授けられた相棒の竜や仲間とともにドラゴン・マスターへの道を歩んでいく! という中世ファンタジー風の物語。ファンタジー用語や描写に慣れていないと少し英文が難しく感じるかもしれないが、全ページに挿絵があるので物語は理解しやすく、冒険ファンタジーの入門としてオススメの良シリーズ!

» Dragon Masters シリーズ 20冊 感想

Flat Stanley #1: His Original Adventure!
YL: 2.5、総語数: 4,247
著者Jeff Brown
シリーズFlat Stanley シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ぺちゃんこスタンレー

スタンリーがボードに潰されてまっ平らに! 「狭いスキマに入り込めて便利!」とか「服を仕立て直さなきゃ」なんてのんきな感覚を持つスタンレー家のお話。凧になって空を飛んだり絵に成り済ましたりと、ぺちゃんこならでは奇想天外な発想で物語が進んでいき、かなり気楽に読むことができる。いくつかシリーズがあるが、I Can Read Level 2 は絵本、Worldwide シリーズは別作者による新シリーズなので混同しないように注意。

Cam Jansen #1: The Mystery of the Stolen Diamonds
YL: 2.5、総語数: 4,619
著者David A. Adler
シリーズCam Jansen シリーズ / Wikipediaで確認

カメラのように風景を覚えることができる記憶力! この記憶力を活かし、事件を解決していく女の子を主役としたミステリー作品。語数が多くなく事件・推理もシンプルだが、その分ミステリーの入門としてはちょうど良い! 子供ながら大胆な行動で少しハラハラし、最後まで興味を持って読めるのも良い。より難易度が低い Young Cam Jansen シリーズもある。

Magic Tree House #1: Dinosaurs Before Dark
YL: 2.5、総語数: 4,737
著者Mary Pope Osborne
シリーズMagic Tree House シリーズ / Wikipediaで確認
邦題マジック・ツリーハウス: 恐竜の谷の大冒険

慎重な兄ジャックと行動的な妹アニーが様々な時代・地域を探検する、多読では定番中の定番シリーズ! 色々な世界を冒険するので多彩な文化や語彙を広く浅く学ぶことができる。このシリーズは4冊で1つの区切りなのでとりあえず4冊または8冊読んでみるのはオススメ。オーディオブックには8冊分がセットになったコレクション版もある。

ちなみに Magic Tree House や後述の A to Z Mysteries など、一部作品の邦訳版ではキャラクターが可愛くなっている場合があるので、日英で表紙を見比べると文化の違いが感じられて面白い。日本でアニメ映画化されているが、英語版は無い模様。残念!

» Magic Tree House シリーズ 64冊 感想 (上)

Marvin Redpost #1: Kidnapped at Birth?
YL: 2.5、総語数: 5,423
著者Louis Sachar
シリーズMarvin Redpost シリーズ / Wikipediaで確認

生まれたばかりの王子が誘拐されて9年。自分も9歳。もしかしたら自分がその王子なのかもしれない! 誰もが考えたことがある (?) 妄想だが、先生も家族も否定せず付き合う姿は微笑ましい。途中からは本当に王子のような言葉遣いになり、自分の母親に対しても Mrs. Redpost と呼ぶようになるなど会話のやり取りが面白く最後まで一気に読める。なお、シリーズ第1巻は未翻訳だが第2巻 Why Pick on Me? (どうしてぼくをいじめるの?) など翻訳された巻もある。

» Marvin Redpost シリーズ 8冊 感想

My Weird School #1: Miss Daisy Is Crazy!
YL: 2.5、総語数: 6,420
著者Dan Gutman
シリーズMy Weird School シリーズ / Wikipediaで確認
邦題きょうもトンデモ小学校: ヘンダ先生、算数できないの?

学校嫌いな小学生に対し、「私も学校が嫌い」で「算数も読み書きもできない」と公言する先生。仕方が無く先生に色々教えてあげるクラスのみんなの姿に、うまいことやっているなと思わずニヤリとしてしまう。難しい単語が多少出てくるが、ストーリー自体はシンプルで非常に読みやすく、内容も明るく楽しいのでどんどん読み進めたくなる良シリーズ……!

» My Weird School シリーズ 21冊 感想

The Boxcar Children
YL: 2.5、総語数: 17,087
著者Gertrude Chandler Warner
シリーズThe Boxcar Children Mysteries シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ボックスカーのきょうだい: ボックスカーの家

両親と死別しその日暮らしを続ける4人兄弟姉妹は、とある森で廃棄されていたボックスカーを見つける。そこを拠点に何とか生計を立てていくが、彼らは果たして無事生き抜くことができるのか――。このシリーズはミステリーだが探検や謎解き要素は2巻以降で、1巻は子供達4人が力を合わせて生きる姿が語られる。過酷な状況から物語は始まるが、登場人物は皆優しく前向きで安心して読める! 難易度を上げずに語数が多い本に慣れたい場合に向いており、オーディオブックの朗読も聴きやすい。アニメ映画もある。

Ready, Freddy! #1: Tooth Trouble
YL: 2.6、総語数: 6,158
著者Abby Klein
シリーズReady, Freddy! シリーズ

クラスでだた一人乳歯が抜けていないフレディは、一人だけ皆と違ってからかわれるのが嫌で対策を考える。そうだ!歯に糸を巻き付けて抜こう! などといかにも小学生な発想をしたり、いじめっ子や姉と喧嘩をするのだが、そこが逆にリアリティを感じる部分でもある。自分の子供の頃を思い出すようなストーリーであり、他のシリーズとは少し趣が異なるので色々なシリーズの合間に読むと少し新鮮。

Franny K. Stein #1: Lunch Walks Among Us
YL: 2.8、総語数: 3,609
著者Jim Benton
シリーズFranny K. Stein シリーズ / Wikipediaで確認
邦題キョーレツ科学者・フラニー: モンスターをやっつけろ!

さすがにそれはおかしいだろ……!(誉め言葉) と言いたくなるほど、マッド・サイエンティストな女の子が主役のコメディ作品。破天荒ながらも年相応の可愛らしさもあり好感が持てる。狂気の科学者らしく難しい単語がちらほら使われるが、イラストが豊富で語数が少ないので一度は読んでみてほしい良シリーズ。絵も独特の味があって良い。

» Franny K. Stein, Mad Scientist シリーズ 10冊 感想

定番シリーズ (YL 3.0 ~: 23冊、約25万語)

初級・中級の英語学習では馴染みのない単語が多くなってくる (特に名詞)。といっても日常語の範囲なのでの、ネイティブに馴染みのある語彙を鍛えることができる。最初は数日間で1冊読めるようになることを目標に!
Horrid Henry
YL: 3.0、総語数: 5,135
著者Francesca Simon
シリーズHorrid Henry シリーズ / Wikipediaで確認

Horrid (恐ろしい、不快な) の名に恥じない超問題児ヘンリーのハチャメチャ物語。彼はとにかくやりたい放題! 他にも個性的な弟や友人が登場するので、とにかく悪ガキのドタバタ騒動が好みの人向け。複数の短編から構成されているので読み進めやすいが、難しい単語の数が他の作品よりも少し多いので注意。恐ろしい事に実写映画化されている……!

Captain Underpants #1: The Adventures of Captain Underpants
YL: 3.0、総語数: 5,731
著者Dav Pilkey
シリーズCaptain Underpants シリーズ / Wikipediaで確認
邦題スーパーヒーロー・パンツマン: パンツマンたんじょうのひみつ
スーパーヒーロー・パンツマン (アニメ映画)
ぼくらのスーパーヒーロー・パンツマン (アニメ)

ついに二人の悪ガキのイタズラの証拠を掴んだ校長先生は、証拠を突きつけ脅しをかける。しかし悪ガキも黙ってはいない。何とか出し抜こうと怪しい商品に手を出すが――。表紙がすでにくだらないこの作品は内容も実にくだらないが、それゆえに面白い。一部はマンガのようなレイアウトになっているなど一風変わった作風がまた良い。難しい単語が少しあるが、ストーリー自体はシンプル。朗読も実に楽しい雰囲気に仕上がっているので、ぜひ聴き読みを試してもらいたい作品の1つ。

Junie B. Jones #1: Junie B. Jones and the Stupid Smelly Bus
YL: 3.0、総語数: 6,570
著者Barbara Park
シリーズJunie B. Jones シリーズ / Wikipediaで確認

初めて登校した幼稚園。みんながバスで帰る中、一人だけこっそり抜け出して幼稚園で好き放題! 気が強く破天荒な部分もあるが、6歳の女の子の等身大のストーリー。子供らしく興味があちこちに移るので色々な日常品の単語が登場し、口語表現も使われるので勉強にもなる。巻を追うごとに次第に成長し、18巻からは小学生となる長く楽しめるシリーズ。

The Buddy Files #1: The Case of the Lost Boy
YL: 3.0、総語数: 11,142
著者Dori Hillestad Butler
シリーズThe Buddy Files シリーズ
邦題名探偵犬バディ: 消えた少年のひみつ

飼い主一家が帰って来ず、保護施設に送られた犬のバディ。新たな家族に引き取られたものの、前の飼い主が忘れられずに探していたら、新しい飼い主の子供が行方不明!? 迷子か誘拐か、自慢の嗅覚を活かし子供を探し出す――! という犬目線で語られる珍しいミステリー。人間との意思疎通ができず、もどかしい場面は多々あるが犬視点というのは斬新で面白く、英文は素直で読みやすい。全6巻で、前の飼い主については第3巻で明らかになる。

Secret Agent Jack Stalwart #1: The Escape of the Deadly Dinosaur: USA
YL: 3.1、総語数: 10,369
著者Elizabeth Singer Hunt
シリーズSecret Agent Jack Stalwart シリーズ
邦題シークレット・エージェント ジャック ミッション・ファイル アメリカ編: アロサウルスをつかまえろ!

国際組織の秘密諜報員だった兄が突然失踪! 兄に変わり諜報員となった少年ジャックは事件を解決するために世界を東奔西走! 1巻では盗まれた恐竜の骨を探すために米国へと赴く。奇想天外な出来事と次から次へと飛び出す秘密道具が面白く、ストーリーはテンポよく進む。あまり深く考える必要が無いので軽く読めるシリーズ。

Encyclopedia Brown, Boy Detective
YL: 3.1、総語数: 10,392
著者Donald J. Sobol
シリーズEncyclopedia Brown シリーズ / Wikipediaで確認
邦題少年たんていブラウン: おたずねもの強盗事件

少年探偵の推理・謎解き短編集。強盗事件や子供同士の知恵比べなど、それぞれが独立した短編で内容も簡単なのでとても読みやすい! なぞなぞレベルなので自分でも推理でき、英文を注意深く読む訓練にも丁度良い。推理しながら読み、疑問があれば読み返し、解答を見て納得する、そんな読み方ができる良シリーズ。なお、推理の解答編は巻末にまとめて掲載されている。オーディオブックには2冊分を1つにまとめたコレクション版もある。また、1989年にはTVドラマ化もされている。

The Zack Files #1: Great Grandpa’s in the Litter Box
YL: 3.2、総語数: 5,545
著者Dan Greenburg
シリーズThe Zack Files シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ザックのふしぎたいけんノート: ひいおじいちゃんはねこ?

ふてぶてしい老猫がしゃべった! なんと実はひいおじいちゃんの生まれ変わり!? 表紙のインパクト通りの性格だが憎めないネコ。物語はテンポよく進み、後半は思わぬ展開で一気に読み進められる。ネコがしゃべることを他の人間に明かすくだりも面白い。語数は多くないが単語が少し難しいので注意。

Ivy and Bean
YL: 3.2、総語数: 7,828
著者Annie Barrows
シリーズIvy & Bean シリーズ / Wikipediaで確認

活発なビーンと本好きアイビー、正反対の7歳の女の子2人による日常ドタバタ物語! 表紙からは可愛らしい物語を予想するが、実際はかなりの問題児達。なかなか強烈なイタズラが登場するが子供の心情をリアルに表している描写とも思え、他の作品とはまた異なった趣がある。内容のシンプルさと比べ英文は少し難しいように感じるが、挿絵があるので理解はしやすいはず。

The 13-Story Treehouse
YL: 3.2、総語数: 9,219
著者Andy Griffiths
シリーズThe Treehouse シリーズ / Wikipediaで確認
邦題13階だてのツリーハウス

オリジナリティに溢れた作品。主人公の男性2人 (この本の著者とイラストレーター) が住む13階建のツリーハウスにはジュースの噴水、マシュマロを発射するロボットなど夢溢れる不思議マシンに溢れているが、ストーリーも子供の想像を掻き立てるまさに荒唐無稽な物語。コミック調の挿絵も多く物語は理解しやすい。ただし絵の中の文字が小さく、スマホやKindle PWだと少し読み辛いので注意。

ここで紹介しているのはアメリカ英語版だが、もともとはオーストラリアの児童書 (The 13-Storey Treehouse。Story ではなく Storey) で、そちらはオーディオブックもある。ストーリーを存分に再現していて聴き応えがあるので、オーストラリア英語でも良いのであればぜひそちらも。

Lighthouse family #1: The Storm
YL: 3.3、総語数: 5,408
著者Cynthia Rylant
シリーズLighthouse family シリーズ / Wikipediaで確認

一人静かに灯台を守る猫。海を愛する冒険家の犬。仲の良いネズミの兄弟。それぞれ別々の人生を送ってきた彼女たちが家族となり、静かながらも力強く生きていく様を描く優しい物語。絵本のような柔らかくも寂しさを感じる挿絵と、海の厳しさが伝わってくる描写がストーリーを引き締めている。良シリーズ。

The Secrets of Droon #1: The Hidden Stairs and the Magic Carpet
YL: 3.3、総語数: 7,439
著者Tony Abbott
シリーズThe Secrets of Droon シリーズ / Wikipediaで確認
邦題秘密のドルーン: かくし階段と魔法の空

ガラクタだらけの地下室を抜けると魔法の国が! 未知の生物に追いかけられ、危機一髪のトコロで見知らぬ姫に命を助けられる。そして家に帰るためには姫と国の危機を救う必要が――。というファンタジーの定番が詰まった作品。子供向けながらも意外に壮大なスケールで最後までワクワクしながら読める!

» The Secrets of Droon シリーズ 44冊 感想

My Father’s Dragon
YL: 3.3、総語数: 7,682
著者Ruth Stiles Gannett
シリーズMy Father’s Dragon シリーズ / Wikipediaで確認
邦題エルマーのぼうけん
エルマーの冒険 (映画)

少年エルマーと子供のドラゴンの物語。助けた野良猫から囚われたドラゴンの話を聞き、助けに島に乗り込むがそこは猛獣たちが住まう島で――という冒険譚が1巻。トラやライオンたちからの逃げながらの冒険はドキドキするが、動物たちとの会話は面白くコミカル。ストーリー自体はシンプルで読みやすく、3部作と長くないので一気に読めるのも嬉しい。

» My Father’s Dragon シリーズ 3冊 感想

A to Z Mysteries #1: The Absent Author
YL: 3.3、総語数: 8,535
著者Ron Roy
シリーズA to Z Mysteries シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ぼくらのミステリータウン: 消えたミステリー作家の謎

子供3人組が主役のミステリーで、タイトル通り A ~ Z の26作品。子供らしい推理に懐かしさを覚えつつ、くだらない部分にはオイオイと突っ込みながら気軽に読める人気シリーズ。意外に伏線も多く、「誰が犯人か?」を最後まで興味をもって読み進められるのはやはりミステリーの良い点。細かい設定は気にせず読むべし!

» A to Z Mysteries シリーズ 26冊 感想

Who Was Albert Einstein?
YL: 3.4、総語数: 8,922
著者複数
シリーズWho Was…? シリーズ / Wikipediaで確認

偉人、有名人の伝記を簡単な英語で説明するWho was/is シリーズ。アインシュタインの話が人気だが、他にもウォルト・ディズニースティーブ・ジョブズなど様々な人物について知ることができる。その人物をどの程度知っているかで読みやすさは多少変わってくるが、多読の題材としても人気なので創作物語よりも伝記が好きならこちらのシリーズがオススメ。Who 以外に What や Where などのシリーズもある。

Sarah, Plain and Tall
YL: 3.5、総語数: 8,377
著者Patricia MacLachlan
シリーズSarah, Plain and Tall Saga シリーズ / Wikipediaで確認
邦題のっぽのサラ
潮風のサラ (テレビ映画)

開拓時代のアメリカの平原で暮らす父と姉弟の3人。そんな彼らの元にやってきた、海辺の町に住む女性サラ。彼らが家族になるまでの交流を描いた作品だが、亡き母を覚えている娘と覚えていない弟が対象的で、不安と期待の描写がうまい。全体的に静かで優しく、時に切なさも感じる物語。名作!

オーディオブックの朗読はテレビ映画版でサラ役を務めたグレン・クローズによるもの。こちらも物語の雰囲気が出ていて良い。

» Sarah, Plain and Tall シリーズ 5冊 感想

Geronimo Stilton #1: Lost Treasure of the Emerald Eye
YL: 3.5、総語数: 10,336
著者Geronimo Stilton
シリーズGeronimo Stilton シリーズ / Wikipediaで確認
邦題冒険作家ジェロニモ・スティルトン (講談社)
編集長ジェロニモ (フレーベル館、旧版)

孤島での宝探しやピラミッドの謎の解明など、ネズミのジェロニモが主役のワクワク冒険シリーズ。イタリアで人気の児童小説! 感情を文字色やサイズで表しており読んでいて楽しさが伝わってくるし、朗読も楽しい演技なので聴き読みはオススメ。なお、文字装飾があるためか電子書籍版は文字ではなく画像。スマホや Kindle PWでは文字が少し小さく読み辛い点は注意。

シリーズ自体は幾つか翻訳されているが第1巻は未翻訳の模様。また、字幕は無いのは残念だが英語版アニメがYouTube公式チャンネルで無料公開されている。

Nathaniel Fludd, Beastologist #1: Flight of the Phoenix
YL: 3.5、総語数: 18,036
著者R. L. LaFevers
シリーズNathaniel Fludd, Beastologist シリーズ / Wikipediaで確認
邦題見習い幻獣学者ナサニエル・フラッドの冒険: フェニックスのたまご

時は1928年。世間では神話上の生物として考えられている幻獣を調査する家系に生まれた少年が、両親を飛行機事故で無くした事を機におばさんに引き取られ、彼女と共にフェニックスやバジリスクなどを調査しに世界を旅する物語。剣と魔法の世界ではないためか雰囲気は落ち着いており、全体的に読みやすい。表紙の雰囲気はかなり好き。語数があるので急展開・描写不足が少ないのも良い。ゆっくり読みたいシリーズ。

Fudge #1: Tales of a Fourth Grade Nothing
YL: 3.5、総語数: 23,741
著者Judy Blume
シリーズFudge シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ピーターとファッジのどたばた日記

2歳半の弟ファッジのやらかしに振り回される家族と、そのフォローに駆り出される兄ピーターの姿が描かれる。ピーターは年齢の割に冷静で、内心大人に突っ込んでいる描写は面白い。一方ファッジはまだ2歳半と小さいので、意図的なイタズラというよりは善悪の判断がついていない感じ。続巻では年齢を重ねていくようなので、今後どのように振る舞うのか気になるシリーズ。語数は多いが複数の短編から構成されているので1つの話はさほど長くなく、英文も比較的読みやすい。

Mr Majeika #1: Confident Readers Mr Majeika
YL: 3.6、総語数: 10,690
著者Humphrey Carpenter
シリーズMr Majeika シリーズ
邦題マジック先生は魔法つかい

退屈な学校に突如”魔法の絨毯”に乗った魔法使いが! 魔法の存在が信じられていない世界で、自分が魔法が使えることを全然隠そうとしない新米おじさん先生のコメディちっくな物語。しかしこの話の面白さは、先生よりもクラスの子供達の妙に現実的な意見のやり取りや、いくら罰せられても懲りない悪ガキの企みの方にある。なかなかに面白い。

The Worst Witch
YL: 3.7、総語数: 9,342
著者Jill Murphy
シリーズWorst Witch シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ミルドレッドの魔女学校: 魔女学校の一年生

全寮制の魔女学校に通う魔女見習いミルドレッドは何をやってもドジばかり。そんな彼女が (成り行きで) 活躍するというシンプルなファンタジー作品。複雑な設定が無いのでファンタジーに慣れていない場合は丁度良い。イギリスでは定番の作品で、ハリーポッターの原典ともいわれる。

映画化は1986年に、ドラマ化は1998年版2017年版がある。挿絵と2017年版ドラマのキャストはソックリ!

Judy Moody #1: Judy Moody Was in a Mood
YL: 3.8、総語数: 11,049
著者Megan McDonald
シリーズJudy Moody シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ジュディ・モードとなかまたち: ジュディ・モードはごきげんななめ
ジュディの夏休み大作戦 (映画)

小学生の女の子ジュディの日常生活を描いた物語。序盤は気難しい女の子よように思えるが、読み進めていくと前向きで優しい性格が見え好感が持てる。家族や友人たちとのやり取りや学校の描写などでアメリカの文化が垣間見えるのも良い。少し読み辛さを感じる場合は朗読と合わせて聴き読みした方がスムーズ。

Beezus and Ramona
YL: 3.8、総語数: 22,018
著者Beverly Cleary
シリーズRamona シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ビーザスといたずらラモーナ
ラモーナのおきて (映画版)

ワンパク4歳児の女の子ラモーナを主役としたシリーズ。第1巻では彼女の姉ビーザスとの関係に焦点が当てられているが、ラモーナがまた結構な問題児で思わずビーザスを褒めたくなる。負けるなビーザス! しかし巻を追うごとにラモーナも成長していき、その子供の心情の表現には評価が高い。語数は多いが複数の話から構成されており、英文も複雑ではないので読みやすい。

ラモーナ姉妹は同作者による Henry Huggins シリーズ (ゆかいなヘンリーくん) の登場人物で、そこから Ramona シリーズとして独立した形。もちろん Ramona シリーズから読み始めても問題はない。

Goosebumps #1: Welcome to Dead House
YL: 3.9、総語数: 23,300
著者Robert Lawrence Stine
シリーズGoosebumps シリーズ / Wikipediaで確認
邦題グースバンプス: 死の館へようこそ (ソニー・マガジンズ)
恐怖の館にようこそ (岩崎書店)
ミステリー・グースバンプス (TVドラマ)

陰鬱な街の古びた屋敷に越してきた少女アマンダとその家族。しかし屋敷に現れる不気味な人影に囁き声。街の住人の様子もどこかおかしいような――。という静かな不気味さで恐怖を煽りつつ、後半は怒涛の展開で一気に読み進められる米国でも人気の作品! 英文は比較的読みやすいので、ホラーに耐性があるのならオススメの良シリーズ。

全62巻のうち32冊が Classic シリーズとして再販されているが順番が少し変更されており、オリジナルシリーズ第1巻は Classic シリーズの第13巻、オリジナル第7巻は Classic の第1巻となっている。本編の内容には変更が無く、話自体も基本的に1冊で完結しているので好きな巻から読み始めて大丈夫。なお、電子書籍化されているのは Classic シリーズ。本シリーズを原作とした実写映画もある。

定番シリーズ (YL 4.0 ~: 17冊、約43万語)

一文が長くなり語彙や表現のレベルが全体的に高くなってくる。それだけに読み応えが出てきてハマる作品にはハマる!
Amber Brown Is Not a Crayon
YL: 4.0、総語数: 7,873
著者Paula Danziger
シリーズAmber Brown シリーズ / Wikipediaで確認
邦題あたし、アンバー・ブラウン!

幼いころからいつも一緒で助け合ってきた小学3年生の女の子アンバーと親友ジャスティン。しかしジャスティンの引っ越しが決まり、2人の関係にヒビが――。親友との別れや寂しい気持ちにうまく対処できない子供心が描かれており、所々子供らしいユーモラスな表現がありつつも、しんみりとした雰囲気を醸し出している。やんちゃ・ワンパクではない子供の物語。

Beast Quest #1: Ferno the Fire Dragon
YL: 4.0、総語数: 9,710
著者Adam Blade
シリーズBeast Quest シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ビースト・クエスト: 火龍フェルノ

国を護る六聖獣が悪の魔導士に呪われ、魔獣として国を滅ぼしかけている。 王から勅命を与えられた少年トムは仲間と共に魔獣に立ち向かう! ドラゴンクエストなどのRPGを彷彿とさせる、まさに王道の冒険ファンタジー。単語や文章がやや難解ながらストーリー自体は王道で理解しやすい。冒険ファンタジー好きなら試しに読んでみても良いシリーズ。

イギリス発の人気児童小説で100巻以上が刊行されているが、シリーズ1は6巻で完結。ちなみに著者は1人ではなくグループで、各シリーズを数人のライターが担当している。

» Beast Quest シリーズ 18冊 感想

Diary Of A Wimpy Kid
YL: 4.0、総語数: 19,784
著者Jeff Kinney
シリーズDiary Of A Wimpy Kid シリーズ / Wikipediaで確認
邦題グレッグのダメ日記

グレッグ少年のダメダメな暮らしっぷりが堪能できる人気作品。彼だけでなく家族も友人も結構ダメダメ……! 口語表現や句動詞が多いので難易度の高い文章もあるが、日記形式で1日ずつ話が区切られており、味のある挿絵もほぼ毎ページあるのでストーリーは理解しやすいはず。一度はチャレンジしてもらいたい。ただし、電子書籍版はページが画像形式で文字サイズの変更はできない。スマホやKindle PWでは読み辛いので注意。実写映画版もある。

The Story of Doctor Dolittle
YL: 4.1、総語数: 25,593
著者Hugh Lofting
シリーズDoctor Dolittle シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ドリトル先生アフリカゆき

動物が大好きな医者のドリトル先生は、なんと100年以上も生きているオウムから動物の言葉を教えてもらえることに。世界で唯一の動物と話せる医者となった先生は、流行り病に苦しむサルから助けを請われてアフリカへと旅立つ……! 元祖動物のお医者さんとも言える彼の物語だが、どちらかと言うと先生を助ける動物たちの活躍が面白い。英文は基本的に読みやすいが、一部珍しい動物の単語が登場する。

原書は人種に関する表現で批判されている部分があり、一部表現を変更した改訂版が1997年以降に色々出ている。私が読んだのは無料のKindle版で、こちらは改訂前の内容だが挿絵は削除されていた。アニメ化や映画化もされており、エディ・マーフィが黒人のドリトル先生を演じる映画ドクター・ドリトルもあるが、個人的にはミュージカル映画ドリトル先生不思議な旅が好き。

Dragon Slayers’ Academy #1: The New Kid at School
YL: 4.2、総語数: 10,043
著者Kate McMullan
シリーズDragon Slayers’ Academy シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ドラゴン・スレイヤー・アカデミー: ドラゴンたいじ一年生

貧しい家の少年が冒険者養成学校に入学し、竜を退治するドラゴン・スレイヤーへと成長する王道物語! と思いきやどちらかと言えばコミカルなドタバタ喜劇。そして終盤はハラハラしつつも予想しないオチで、なかなか面白い作品。minstrel (中世の吟遊詩人) など中世ヨーロッパ風のファンタジーに合わせた単語が多いので、その方面の語彙の勉強にもなる!

A Series of Unfortunate Events #1: The Bad Beginning
YL: 4.2、総語数: 24,130
著者Lemony Snicket
シリーズUnfortunate Events シリーズ / Wikipediaで確認
邦題世にも不幸なできごと: 最悪のはじまり
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 (映画)
レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと (ドラマ)

大火事により両親と家を失った3姉弟妹。悲しむ間もなく意地悪な親戚に預けられ、過酷な仕打ちを受け、遺産を狙われ、周りの大人達はイマイチ頼りにならず……、と不幸に不幸を重ねていくが、驚くべきは、それでもなぜか面白いという点である。姉弟がそれぞれ個性を発揮し何とか窮地を脱しようとする様が描かれるので悲惨さはなく、また読みやすい英文で最後まで一気に読める良シリーズ。イライラしながら読み進めるのだ!

シリーズ1巻にはフルキャスト版のオーディオブックがある。まるでドラマを聴いているかのようで楽しい! ただし、「とオラフ伯爵が怒りながら言った」などの喋り方に関する文章表現はオーディオブックでは省かれ、代わりに演技で表現されている。聴き読みする場合はこのように一致しない文章があるので、気になる場合は朗読を一時停止しながら読んだ方が良いかも。

Animorphs #1: The Invasion
YL: 4.3、総語数: 33,205
著者Katherine Applegate
シリーズAnimorphs シリーズ / Wikipediaで確認
邦題アニモーフ: エイリアンの侵略

突如現れた謎の飛行物体にエイリアン! 人類寄生を目論む地球外生命体の存在を教えられた5人の少年少女たちは、手に入れた「動物に変身する能力」を武器に敵に立ち向かう! スケールが大きく、展開もスピーディでハラハラする人気SF作品。生物の造形に関する描写や終盤のアクションシーンでは少し英文の難易度が上がるが、基本的には読みやすい。表紙で敬遠するのは勿体ない良シリーズ。実は1998年から実写ドラマ化もされていた。

本シリーズは各巻で語り手が異なっている。全54巻と長いので、区切りをつけるなら主人公5人の語りが一巡する第5巻か (翻訳も5巻で止まっている)。ちなみにネットで検索すると全巻読破した方が見つかる。スゴイ!

The Famous Five #1: Five on a Treasure Island
YL: 4.3、総語数: 39,827
著者Enid Blyton
シリーズThe Famous Five シリーズ / Wikipediaで確認
邦題フェイマス・ファイブ: 宝島への大冒険

ロンドン在住の12~10歳の兄弟妹ジュリアン、ディック、アンは親戚の家で11歳の男勝りな従姉妹ジョージーナと犬のティモシーと出会う。彼らは偶然にも難破船の中で黄金の在処を示す地図を見つけ宝探しに乗り出す。しかし怪しい人物の影が――! というイギリスでは誰もが読んでいるともいわれる有名シリーズで、4人と1匹が仲良く協力し、困難に立ち向かう姿が魅力。中盤以降は地形や建物の構造に関する描写が増え少し英文が難しくなる。しっかり理解しながら読まないと状況が把握できなくなるので注意。

ドラマ化やアニメ化もされている。なお、同著者の邦訳作に「五人と一匹 (五人といっぴきの探偵団)」シリーズというのもあるが、こちらは Five Find-Outers シリーズの翻訳版。設定が似ているからか日本のネット上では Famous Five と混同されて語られることもある。確かに紛らわしい!

Nancy Drew Mystery #1: The Secret of the Old Clock
YL: 4.5、総語数: 35,317
著者Carolyn Keene
シリーズNancy Drew Mystery シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ナンシー・ドルー・ミステリ: 古時計の秘密 (創元推理文庫)
少女探偵ナンシー: 古い柱時計の秘密 (フォア文庫)

弁護士を父に持つ18歳の少女ナンシーは、ひょんなことから貧しい暮らしに苦しむ一家と出会う。当てにしていた遺産相続の話が発表された遺書により無効となって苦しんでいるという話を聞いた彼女は、独自に調査を進めるうちに「真の遺書」の存在を確信するに至る――! ややご都合主義と感じる展開もあるが、ストーリー展開は早く登場人物の特徴も分かりやすいのでミステリーとして読みやすく面白い! 少し難しい語彙が登場するが、英文自体は比較的シンプルで読みやすい。

1930年から続いている人気シリーズで、実は著者名は複数の作家の合同名義。難易度や設定が異なる複数のシリーズが存在し、例えば子供時代 (かつ現代っ子!) を描いている Nancy Drew and the Clue Crew シリーズは YL 3.0~3.5 ぐらいで読みやすい。TVドラマ化、実写映画化、TVゲーム化も複数なされており、2019年にはシリーズ第2巻 (Nancy Drew and the Hidden Staircase) の映画化もされている。

さらに似たようなミステリー作品として Hardy Boys (ハーディー・ボーイズ) シリーズがあり、Nancy Drew に Hardy Boys が特別出演する巻共演シリーズまである……!

Where the Mountain Meets the Moon
YL: 4.5、総語数: 42,634
著者Grace Lin
シリーズWhere The Mountain Meets the Moon シリーズ / Wikipediaで確認

かつて龍が雨を操っていたとされる地。実りが乏しい農村に住む少女ミンリーは、貧しさに苦しむ両親を救うために仙人のごとき老人に幸運を授かる方法を尋ねに一人旅立つが――。中国の伝承を基にしたファンタジー作品で、静かな情景がありありと浮かぶ描写や愛情にあふれる登場人物達はとても魅力的。時折挿入される「無断で旅立った娘を心配する両親の姿」や「様々な人物が語る昔話」も面白い。全48章に分かれているので1章は短く、英文も読みやすい良シリーズ!

ちなみに両親は Ba / Ma と呼ばれているが、中国を舞台にしているので父母を指す爸爸 (Baba)、妈妈 (Mama) からとられている気がする。おそらく。

Paddington #1: A Bear Called Paddington
YL: 4.6、総語数: 24,130
著者Michael Bond
シリーズPaddington シリーズ / Wikipediaで確認
邦題くまのパディントン
パディントン (映画)

小さなクマがはるばるペルーからロンドンまで旅をしてきた!? ひょんなことからブラウン一家と共に過ごすようになったパディントンは、人間社会に慣れていないため向かう先々で騒動を巻き起こす! というコメディ的な短編集。悪意ある騒動ではなく、また最終的には良い結果が得られるので安心して読めるし、なにより挿絵が可愛らしい! 中盤以降は多少英文の難易度が上がり、少し古いイギリス英語の表現も散見されるが内容自体は理解しやすい。

オーディオブックの朗読はハリー・ポッターの朗読も務めているスティーヴン・フライ。彼の演技は非常に人気があり、私の好きなナレーターの1人でもある。

The Spiderwick Chronicles #1: The Field Guide
YL: 4.7、総語数: 9,844
著者Holly Black
シリーズThe Spiderwick Chronicles シリーズ / Wikipediaで確認
邦題スパイダーウィック家の謎: 人間、見るべからず
スパイダーウィックの謎 (映画)

古びた屋敷に越してきた一家。隠し部屋で見つけた謎の書物。次々と起こる不思議な出来事、現れる謎の生物……! と、不気味ながらワクワクする展開が目白押しでページをめくる手が止まらない。挿絵の雰囲気も非常に魅力的。1つの物語を5冊に分割したような形式で1巻はまだ導入部分だが、1冊辺りの語数は多くないのでファンタジー好きにはぜひ試してもらいたいシリーズ。

» The Spiderwick Chronicles シリーズ 8冊 感想

Hank Zipzer #1: Niagara Falls, Or Does It?
YL: 4.8、総語数: 21,463
著者Henry Winkler / Lin Oliver
シリーズHank Zipzer シリーズ / Wikipediaで確認

小学4年生のハンク少年の日常を扱ったコメディちっくな物語。特徴的なのは、想像力や行動力に優れながらも読み書きが上手くできず、イタズラのつもりはなくとも意図せずトラブルを起こしてしまう姿が描かれる点。教育的な示唆が含まれているが明るい作風なので安心して読める。物語は少しアッサリしているように感じたが、英文はそれなりに難しく文章の繋がりや構造を意識しながら読む訓練になる。

Pippi Longstocking
YL: 4.8、総語数: 26,026
著者Astrid Lindgren
シリーズPippi Longstocking シリーズ / Wikipediaで確認
邦題長くつ下のピッピ

幼くして両親を失った少女ピッピ。父の残した家にたどり着き、けなげに一人で暮らしていく静かな物語……ではなく、持ち前の怪力と想像力を活かし自由奔放に暮らしていくコメディよりの作品! ピッピの突拍子もない話に嘘か本当か疑いながら読み進めるのはなかなか面白い。複数の短編で構成されているので読み進めやすいが、ピッピの発言や行動が奔放なのでしっかりと理解しながら読み進めないと途中で話を見失うかもしれない。ちなみにTV、映画版は数多く存在する。

原作はスウェーデンの児童書で翻訳版が複数あり、訳者によって読みやすさが異なる可能性あり。私は Oxford University Press 出版の Kindle版 を読んだが、ピッピや一部の登場人物の発言では circus (サーカス) → sarcus、over → o’er、away → avay などのように記載されることがあり、知識の偏りや発音の特徴が文字で表現されることがあった。この辺りの表記方法について気になる場合は「英単語の省略・短縮・視覚方言を知ろう!」を参考に。

My Sister the Vampire #1: Switched
YL: 4.8、総語数: 31,930
著者Sienna Mercer
シリーズMy Sister the Vampire シリーズ
邦題バンパイア・ガールズ: あの子は吸血鬼?

13歳の活発な女の子オリビアと、ゴシック・ファッション好きのアイビー。性格も服装も正反対の2人だが、とある理由から意気投合! ちょっとした悪戯心から”入れ替わり”をしてみるが、事態は思わぬ展開に――。という女の子2人が主役の学園物。とにかく2人は仲が良く、互いに協力して事態に対処していく姿は微笑ましい。ストーリーも楽しくどんどん読める。オーディオブックの朗読も可愛らしく楽しいのでオススメ。

Little House #1: Little House in the Big Woods
YL: 4.8、総語数: 33,586
著者Laura Ingalls Wilder
シリーズLittle House シリーズ / Wikipediaで確認
邦題インガルス一家の物語: 大きな森の小さな家

19世紀後半の西部開拓時代のアメリカを舞台に、大森林の厳しい自然の中で力強く暮らしていく一家の姿が描かれている。大きな事件が起こるわけではないが一年を通じて当時の人々がどのように暮らしていたのかを感じとることができ、なかなか興味深く読める。燻製の準備や弾丸作成、脱穀などの生活描写が多く、英文は難しくないが背景知識がないと理解しづらい部分もある。Garth Williams のカラーイラストがある版は挿絵があるので理解しやすい。

全9巻で、3作目以降の内容が Little House on the Prairie (大草原の小さな家) としてTVドラマ化されている。

Shadow Children #1: Among the Hidden
YL: 4.9、総語数: 32,127
著者Margaret Peterson Haddix
シリーズShadow Children シリーズ / Wikipediaで確認
邦題シャドウ・チルドレン: 絶対に見つかってはいけない

人口増加に歯止めをかけるべく子供の数は2人以下と制限した政府の下、とある家庭の三男として生を受けた少年ルーク。”存在しない子供” として半ば家に閉じ込められる形で育った彼はある日、向かいの家でも3人目と思しき子供の姿を見つけるが――。全体統制主義となった米国が舞台のSF作品。限定された舞台・登場人物ながらも、そこに登場人物が1人加わるだけで世界が広がりストーリーが転がりだす……! 最序盤は少し読み辛いかもしれないが、そのうちストーリーが気になってぐいぐい読める良シリーズ。

» Shadow Children シリーズ 7冊 感想

定番シリーズ (YL 5.0 ~: 8冊、約31万語)

一般の洋書・ペーパーバックに移る前段階として丁度良い難易度・長さになってくるが、人気作・名作も多く普通に楽しめる!
Deltora Quest #1: The Forests of Silence
YL: 5.0、総語数: 27,074
著者Emily Rodda
シリーズDeltora Quest シリーズ / Wikipediaで確認
邦題デルトラ・クエスト: 沈黙の森
デルトラクエスト (アニメ)

国を護る7つの宝石が影の大王に奪われ、王国は支配されてしまった! 宝石奪還の使命を得た少年は、仲間の協力を得ながら7つの魔境攻略へと旅立つ――! オーストラリア発の正統派冒険ファンタジー。このレベルになるとストーリーや描写に深みが出てくるので面白さも増してくる! 表紙に癖を感じた場合は邦訳版 (新装版) の表紙を見るとイメージが変わる。

中盤以降、冒険が本格的に始まると描写が細かくなるので英文の難易度は少し上がる。また、冒険ファンタジー特有の名詞や表現があるので、このジャンルに慣れていない場合はもう少し簡単な Beast Quest シリーズから読み始めた方が良いかも。Deltora Quest は全8巻だが続編があり、オーディオブックもある。電子書籍版は、楽天 Kobo か 米Amazonにある (2022年4月時点)。

The Saga of Darren Shan #1: Cirque Du Freak
YL: 5.0、総語数: 49,449
著者Darren Shan
シリーズThe Saga of Darren Shan シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ダレン・シャン: 奇怪なサーカス
ダレン・シャン~若きバンパイアと奇怪なサーカス~ (映画)

「奇怪なサーカス」を見に行ったことをキッカケに運命が大きく狂ってしまった少年ダレン・シャンと親友スティーブの物語を不気味な雰囲気で語るダークファンタジー作品。中盤までは少し展開が遅く感じるが、読み進めるほど面白くなり終盤は一気に読める! 単語も文章も極端に難しい部分が無く、また細かく章が区切られているため読みやすい良シリーズ。表紙や設定に少し癖を感じるかもしれないが気にせず読むべし! ちなみに少年サンデーに掲載されていたマンガ版もある。

本作はイギリス人作家の作品だが、米国版ではタイトルが Cirque Du Freak シリーズの第1巻 A Living Nightmare となっている。

The Giver
YL: 5.1、総語数: 43,617
著者Lois Lowry
シリーズThe Giver Quartet / Wikipediaで確認
邦題ザ · ギバー: 記憶を伝える者 (講談社)
ギヴァー 記憶を注ぐ者 (新評論)

美しく調和のとれたコミュニティーに住まう少年ジョナス。12歳の儀式で管理者から特別な役割を与えられた彼は、平穏の裏に隠された真実を知る。理想郷の構築との引き換えに失った物について苦悩した彼は、果たしてどのような結論を下すのか――。近未来の理想的な管理社会を舞台としたディストピア物で、派手なシーンは無いが社会や人間の精神について色々考えさせられる。何気ないはずの日常や風景の描写が美しく描かれているのも良い。第1巻だけでは謎が残る終わり方をしているが、第4巻で物語が集約される。実写映画版もある

物語の前半の英文は比較的素直で読みやすいが、後半は描写が豊かになる分表現が少し難しくなる。なお、舞台設定故に序盤は理解できない部分もあるが、不明点は徐々に明らかになるので気にしすぎない事。オーディオブックのナレーターはトニー賞 (助演男優賞) を受賞したこともあるロン・リフキンで、もともとの文章がスッキリしているのもあり朗読は非常に聴きやすくオススメ。

Winnie-the-Pooh
YL: 5.3、総語数: 22,671
著者A. A. Milne
シリーズWinnie-the-Pooh シリーズ
邦題クマのプーさん

ご存じハチミツ大好き「クマのプーさん」の原書。ある男の子とクマのぬいぐるみが ”お話し” の中で活躍するという愛くるしい短編集。一文が長く、言葉が省略されていたり単語の綴りをあえて変更していたりと英文の難易度は意外に高い。一方ストーリー自体はシンプルで、可愛らしい挿絵も豊富なので物語の内容把握はそこまで難しくない。他の小説とは少し異なる文体を楽しむ気持ちで読むと良い。

オーディオブックにはオールスターキャストによるドラマ版もある。省略・変更されている文章もあるが、概ね原作の文章が使われているので本と比較しながら聴くことも可能。非常に楽しい雰囲気に仕上がっているのでプーさん好きなら本を読んだ後に改めて聴いてみると楽しいはず。他にも本シリーズとディズニー版を原作とした映画 Christopher Robin (プーと大人になった僕) なんてものもある。

The 39 Clues #1: The Maze of Bones
YL: 5.4、総語数: 45,905
著者巻毎に異なる (第1巻は Rick Riordan)
シリーズThe 39 Clues シリーズ / Wikipediaで確認
邦題サーティーナイン・クルーズ: 骨の迷宮

世界に多大なる影響を与えてきたケイヒル一族の党首の遺言に従い、究極の力を得るために「世界に散らばる39のヒント」を探しに冒険に出た14歳の姉エイミーと11歳の弟ダン。ライバルの一族と競い、騙し、時に協力し、彼らは目的を達するために世界中を飛び回る――! 多少強引な設定もあるが、展開が速くキャラクターにも魅力があるハラハラドキドキの謎解きアドベンチャー! 歴史上の人物を謎に絡めているので、自分で色々調べながら読むと尚更面白い。英文は読みやすいのだが語彙は少し難しい。商品名や各国の地名なども出てくるので、ある程度は無視した方が良い。

このシリーズは各巻で著者が異なるのが特徴で、第1巻はパーシー・ジャクソンでおなじみの Rick Riordan が担当している。第1シーズンは全11巻で、第3巻では日本も舞台となる。ちなみに第11巻はシーズン1と2を繋ぐ物語なので第10巻で止めても良い。オーディオブックのナレーターは俳優 David Pittu が務めており、彼は A to Z Mysteries や容疑者Xの献身 (英訳版) の朗読も行っている。聴きやすい。

本記事で紹介する作品は作家1人につき1作品までとしているが、このシリーズは巻毎に著者が異なるので例外扱い
Sammy Keyes and the Hotel Thief
YL: 5.5、総語数: 40,273
著者Wendelin Van Draanen
シリーズSammy Keyes シリーズ / Wikipediaで確認
邦題少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒

泥棒の犯行現場を目撃し、思わず泥棒に手を振ってしまった中学生の女の子サミー! 当然相手に気づかれ、事件に巻きこまれてしまう! という始まり方のミステリー作品。サミーについては少し短慮かと思う場面もあるが、持ち前の行動力と直観力で犯人を突き止める様は面白い。家庭の都合で祖母と密かに同居しているなど事件以外の描写も色々気になるストーリー。登場人物が多く、口語や俗語・慣用句、さらには商品名・ブランド名なども登場するので全部理解して読もうとすると少し時間が掛かるかもしれないが、その分勉強にもなる。

Alex Rider #1: Stormbreaker
YL: 5.6、総語数: 47,510
著者Anthony Horowitz
シリーズAlex Rider シリーズ / Wikipediaで確認
邦題女王陛下の少年スパイ! アレックス: ストームブレイカー
アレックス・ライダー (映画)

不可解な叔父の死に疑問を持った14歳の少年アレックス。死の真相を探るうちに叔父の正体を知り、彼はイギリスの秘密情報部 MI6 にスカウトされる。並外れた運動能力と度胸、そしてニンテンドーDSに偽装した特殊道具を武器に、叔父の死の原因となった組織へ単身乗り込む。果たして彼は無事目的を遂げることができるのか――! スピード感のある展開にスリリングなアクション、そしてミステリーが組み合わさったスパイ物。児童書としては過激だが、命の危険を冒して行動するシーンはやはりハラハラして面白い…! 英文はそこまで難しくないが、地名や商標名などが登場するのである程度は調べながら読んだ方が分かりやすい。また、アクションシーンや探索パートの描写は少し細かいが、その分想像力が鍛えられる。

著者は脚本家でもあり、アガサ・クリスティ原作のTVドラマ「名探偵ポワロ」の脚本も手掛けている。また、彼女へのオマージュ作品と言われる本格ミステリー Magpie Murders (カササギ殺人事件) は原作も邦訳も人気……!

Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe
YL: 5.8、総語数: 36,363
著者C. S. Lewis
シリーズChronicles of Narnia シリーズ (時系列順) / Wikipediaで確認
邦題ナルニア国ものがたり: ライオンと魔女
ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女 (映画)

空襲を避けるために疎開した4人の兄姉弟妹。疎開先の大きな屋敷で見つけた衣装ダンスに偶然入ってみたが、その先には雪に覆われた見知らぬ大地が! 魔女や神話生物が住まうナルニア国に迷いこんだ4人は不思議な騒動に巻き込まれていく――! 一度は読んでみたいと思っている方も多い名作ファンタジー。言い回しが美しく、読者に語り掛けるような地の文に惹き込まれる。英文は極端に難しいと思う要素はないが、中盤以降は一文が長くなる。文章の区切りを意識しながら読む訓練と思えば良いかも。

全7巻だが、本の出版順と物語の時系列は異なる。ここで紹介している「The Lion~」は最初に出版されたが時系列では2番目。時系列順で読む場合は6番目に出版された The Magician’s Nephew が最初の1冊となる。ちなみに著者自身は時系列順に読むことを推奨したようだが、一般的には出版順の方が好まれている模様。私も「The Lion~」を最初に読んだ。通常のオーディオブックとは別に Full Cast 版のオーディオ・ドラマ (MP3版 / CD版) もある。聴きたい! でも高い!

心温まる物語多数! 1冊完結の定番作品 15選 (約42万語)

シリーズ物以外にも面白い定番作品は多数ある。まだ登場していない作家の中から、YL 6.0以下かつ50,000語未満の作品を紹介!
Lizzie Zipmouth
YL: 3.0、総語数: 6,955
著者Jacqueline Wilson
邦題リジーとひみつのティーパーティ

母の再婚で新しい家族ができた少女リジー。しかし前の養父と上手くいかなかった経験から、今後は一切喋らないことを決意! この物語は意固地になってしまったリジーが心を開き、家族に溶け込むまでの様を描いている。単なるリジーの我が侭と感じさせない子供心の描写が上手く、共感を覚えてしまう。新しい養父の優しい態度や、リジーと偏屈なおばあちゃんとのやり取りにも心温まる。

Granny Torrelli Makes Soup
YL: 3.3、総語数: 15,390
著者Sharon Creech
邦題トレッリおばあちゃんのスペシャル・メニュー

生まれた時からの親友である少女ロージーと少年ベイリーは、ある日喧嘩をしてしまう。しかしトレッリおばあちゃんと一緒に料理を作りながら彼女の若いころの話を聞いて、自分たちの状況を見つめ直し成長していく――。子供達の心情、特に嫉妬心がうまく表現されていて可愛らしい。細かく章が分けられているので読み進めやすいのも良い。おばあちゃんはイタリア出身なのでオーディオブックだと彼女のセリフはイタリア訛りだが、聴いていると癖になる。Puh!

Because of Winn-Dixie
YL: 3.4、総語数: 22,123
著者Kate DiCamillo
邦題きいてほしいの、あたしのこと -ウィン・ディキシーのいた夏

両親の離婚と父の転勤により、母・友人と離れ一人寂しさを抱える少女オパール。この物語はオパールが野良犬ウィン・ディキシーと出会い、それをきっかけに様々な住人と交流を持つようになる様を描いている。英文は読みやすく、素朴ながら心温まるストーリーで序盤から話に惹き込まれる。登場人物も魅力的であり、オーディオブックと合わせて読んでもらいたい作品。実写映画版もある。

The Wonderful Wizard of Oz
YL: 3.7、総語数: 40,508
著者L. Frank Baum
邦題オズの魔法使

竜巻でオズの国まで飛ばされてしまった少女ドロシー。偉大なる魔法使いオズなら家まで帰してくれるかもしれない! 道中で出会ったカカシ、ブリキの木こり、臆病なライオンと共にオズを尋ねに様々な困難を乗り越え歩を進めるが、果たして――。という有名な名作童話。ツッコミどころも多いが色々な出来事が起こるのでなかなか楽しい。語数は多いが比較的読みやすい英文であり、Kindle版は無料なのも良い。

本作のオーディオブックは複数あるが、なかでもアン・ハサウェイ朗読版は素晴らしい出来。聴き読みか、一度本を読んだ後に改めて朗読版を試してみてほしい作品。ちなみに映画化や派生作品が多くミュージカル版などもある。

Frindle
YL: 3.8、総語数: 16,232
著者Andrew Clements
邦題合言葉はフリンドル!

米国の小学校を舞台に、機知に富む (いたずら好きの) 少年と厳格な教師が対立し、そのやり取りから「言葉」について考えさせられる、まさに多読向きの作品。フリンドルって何? 人名? はいはい、そういう話ね! あぁ、そういうオチか~なるほど! という感想を抱く。難解な表現は少なく英文は読みやすい。一読の価値あり!

Life on the Refrigerator Door
YL: 4.0、総語数: 10,680
著者Alice Kuipers
邦題冷蔵庫のうえの人生

仲は良好ながらも時間が合わずあまり会えない母と15歳の娘のやり取りが、冷蔵庫に貼られた伝言メモのみで語られるという面白い形式の本。序盤は他愛無い内容だが、とある出来事をキッカケに事態が動き最後まで一気に読める。もちろんメモからは断片的な情報しか読み取れないが、そこから彼女たちの交友関係や状況を推測しながら読むのは新鮮で面白く、たまにある長いメモにはドキッとする! 娘の文章は若干フランクなので慣れていないと少し難しい部分もあるがメモ形式なので読み進めやすい。

オーディオブックでは母役と娘役はそれぞれ別の女優が担当しており (ダナ・デラニーとアマンダ・サイフリッド)、感情の起伏や臨場感はやはり朗読の方が伝わってくる。一度本作を読んでみて、気に入ったら朗読版もぜひ。

The Little Prince
YL: 4.2、総語数: 16,534
著者Antoine de Saint-Exupéry
邦題星の王子様

ある飛行士がサハラ砂漠に不時着し、一人の男の子、小さな星の王子様と出会う。二人は8日間を砂漠で少しながら絆を深めるが――。誰もが知っているであろうロングベストセラー作品。シンプルな内容ながらも人生の教訓が記載されており、人を選ぶかもしれないが面白くもある。

原作 (フランス語) の翻訳版は英語・日本語ともに複数存在する。私が読んだのは Katherine Woods 翻訳版 (1943年)。抽象的な表現が多く、特に序盤は読み辛さを多少感じる可能性あり。リンク先の Richard Howard 翻訳版 (2000年) の方はもう少し読みやすいかもしれない。原作の後日談を描いた The Little Prince (リトルプリンス 星の王子さまと私) という映画もある。

Coraline
YL: 4.3、総語数: 30,640
著者Neil Gaiman
邦題コララインとボタンの魔女

古い屋敷に引っ越してきた少女コララインと両親。ある夜、使われていない扉を開けてみると真っ暗な空間が。先に進むと母が立っていが、どこかが普段と違うような――。静かな不気味さが漂うファンタジー作品で、日常が侵食されていく様には少しばかり寒気を覚える。ただし悲惨さは無く、奇妙な出来事にも勇気をもって立ち向かう少女の姿が描かれるので安心して読める。

オーディオブックは複数あるが、著者本人による朗読は存分に作品の雰囲気を醸し出しているので聴き読みもオススメ。映画版もある。

Tuck Everlasting
YL: 4.5、総語数: 27,848
著者Natalie Babbitt
邦題時をさまようタック
エバーラスティング 時をさまようタック (映画)

飲めば不老不死になるという泉。森の奥にひっそりとあるその泉を偶然見つけ不老不死になってしまった一家はある日、少女と出会う。不老不死の秘密を知った少女がとる選択とは――。生と死について考えさせられる静かな物語だが、終盤まで結末が見えず興味を持って読み進められる。情景がありありと浮かぶ描写が多く物語に惹き込まれるのも良い。序盤の風景描写は少し英文が難しいが、段々読みやすくなる。

When You Reach Me
YL: 4.6、総語数: 39,253
著者Rebecca Stead
邦題きみに出会うとき

この物語は1979年のニューヨークを舞台に、母と2人で暮らす12歳の少女ミランダがある日見つけた「未来の行動を示唆する謎のメモ」を主軸としたストーリーだが、ミランダが「あなた」宛に書いた手紙という体で語られるのがポイント。メモの内容の謎とは、「あなた」とは一体誰なのか。家族や友人達との日常生活の中で徐々に情報が語られていき、終盤にすべてが集約される様が面白い……! 英文は一文が少し長いが語彙や文法はそこまで難しくなく、章が細かく区切られているので読み進めやすい。ただし内容が少し分かりづらいので、不明点は読み飛ばさずしっかりと理解しながら読んだ方が良い。

作中で度々言及されているミランダの愛読書 A Wrinkle in Time は本記事でも紹介している有名作。本作よりも難易度が少し高いので、気になる場合は映画版で見るのも良いかも。

Kira-Kira
YL: 4.7、総語数: 44,326
著者Cynthia Kadohata
邦題きらきら

1960年代の米国で暮らす日系アメリカ人の一家の生き様を描いた物語。愛情深い父母や聡明な姉リンと共に暮らす少女ケイティの視点で描かれており、差別や貧困で厳しい生活を送りながらも懸命に生きていく姿が語られる。そして物語は中盤、ある人物の体調が崩れたところから一変する。全体的に静かで淡々と語られ、もの悲しさ漂う箇所もあるが、ケイティ自身の語りは重くなく読後感も良い。

一部珍しい単語も登場し、仮定法が比較的多く使われている印象があるが (特に後半)、その点を除けば英文は読みやすい。Katsuhisa といった日本的な名前や Ochazuke (お茶漬け) など日本に馴染みのある話題も登場するので感情移入もしやすい。なお、著者自身も日系アメリカ人で、本作の内容は著者の子供時代の経験が反映されている。元の英文が読みやすいためオーディオブックも聴きやすくオススメ。作中では偶に日本の単語が登場するのだが、日本語の発音もうまい。

Charlotte’s Web
YL: 5.2、総語数: 31,938
著者E. B White
邦題シャーロットのおくりもの

発育不良で処分されそうになっていたが、女の子の助けによりすくすくと育った子ブタ。しかし自分が食用として飼育されている事実に気づき、恐怖してしまう。そんな子ブタはある日、どこからともなく聞こえてくる声に気づくが――。この作品は子ブタとその友との友情を描いた物語。個性的な動物たちも面白いが、やはり命について交わされる会話には心打たれるものがある。

農場が舞台のため器具や動植物などの比較的珍しい単語が多く表現も多彩なので語彙は難しいが、英文自体はそこまで難しくなく挿絵も多い。未知語を読み飛ばせば多少は楽に読めるし、しっかり単語を調べながら読めば勉強にもなる1冊。実写映画版アニメ版もある。

Matilda
YL: 5.2、総語数: 40,009
著者Roald Dahl
邦題マチルダは小さな大天才
マチルダ (映画)

幼少ながら文学作品を読みこなす天才少女マチルダが横暴な両親や校長に立ち向かう様が描かれる、ロアルド・ダールらしさ満点の人気作! 少し毒があるが癖になる語り口ですぐに物語の世界に引き込まれる。物語後半はファンタジー要素が出てくるが、思わぬ展開で最後まで一気に読める面白さ。英文は表現が少し独特で、序盤や特定の人物の発言では珍しい単語がしばしば登場するので少し難易度が高いが、それ以外の部分は比較的読みやすい。

オーディオブックのナレーターはケイト・ウィンスレット。素晴らしい出来なので、ぜひ聴いてみて欲しい作品。また、1996年に映画化されている他、イギリス史上最高のミュージカルとも評されたことがある Matilda The Musical がある。ミュージカル版の映画化の話もあるが、2019年3月時点で販売されているのはオリジナル・キャストによる音声版のみ。ただし Amazonプライム特典で聴くことができる。人気がある Revolting Children は音声だけでもスゴイし、歌詞も付いている! (歌詞の表示方法)

So B. It
YL: 5.3、総語数: 41,961
著者Sarah Weeks
邦題SO B. IT (ソー・ビー・イット)

倹しいながらも母や隣人と穏やかに暮らしていた12歳の少女。偶然見つけた古い写真をキッカケに自身や家族のルーツを知りたくなり、単身バスに乗り込みかつて母が暮らしていた地へと旅立つが――。序盤から物語に引き込まれ、終盤の謎が解明される展開には息をのみ、読了後はタイトルを見るだけで泣けてくる、そんな物語。最初の数ページは少し理解し辛い英文だが、その後は読みやすくなる。

オーディオブックの朗読は女優チェリー・ジョーンズによるもの。本記事でも紹介している Because of Winn-Dixie や Little House シリーズの朗読も担当しており、聴きやすいので個人的に好き。

From the Mixed-Up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler
YL: 6.0、総語数: 30,906
著者E.L. Konigsburg
邦題クローディアの秘密

12歳のクローディアは家族への不満から弟を連れ家出を決行するが、なんと潜伏先はメトロポリタン美術館! 警備員を避けながら暮らすうちにとある天使像に心惹かれ、出自のハッキリしない天使像の謎を解くことに夢中になっていくが――。比較的落ち着いた内容だが、姉弟のコンビはバランスが良く掛け合いが楽しい! 終盤の展開がとても良いので、この物語は最後まで読んでこそ。語彙はそこまで難しくはないが言い回しが少し分かりづらいので、仮定法や時制の知識がハッキリしていないと少し理解し辛いかも。

オーディオブックがあるが日本の Amazon では CD しか扱っていない模様 (2019年3月時点)。50th Anniversary 版というのもあるが、こちらは朗読ではないので注意。1995年にTVドラマ化されている。ちなみに本作はみんなのうた「メトロポリタン美術館」の元ネタらしい。

YLと総語数の評価について

YL (読みやすさレベル) について

本記事で紹介した 75冊の YL は自分で読んだ上で評価した値です。もちろん読みやすさは個人の語彙力や文法・背景知識の有無で変わる部分もあるので一つの目安程度に考えてください。なお、不明点はほぼ全てその場で調べながら読んだので、文章の内容をすべて理解して読むことを前提とした評価になっています。つまり、ある程度の文意を掴むのは簡単でも単語や文章構造を細かく理解するのが難しい、と私が感じた本は YL の値がある程度高くなっています。

最終的に評価した YL が同じ値だったとしても、「語彙が難しいけど文法は簡単」、「語彙は簡単だけど文章構造が複雑」のように英文の特徴は本ごとに異なります。また、「前半は読みやすく YL 4.7 ぐらいだけど、物語の後半は少し複雑で YL 5.3 ぐらい。総合的に評価して YL 5.0」みたいなケースもあります。

シリーズ物については1巻の評価しか行っていないので、1巻よりも 2巻の方が難しい場合もあります。また、「読みやすさ≠ 面白さ・熱中しやすさ」です。多少 YL が高くても自分の興味ある本の方が結果として早く読めたりもします。ある程度読んでも面白いと思わない本なら別の本に切り替えるのも1つの手です。

総語数について

本記事に掲載している 75冊とおまけの 54冊の語数は、Perma-Bound 掲載の値 (2019年4月時点) を採用しています。ただし語数が未掲載の本もあるので、その場合は以下の方法で独自に本文の語数を計測しました。なお、物語とは無関係な序文や後書き、次巻の抜粋などは計測の対象外としています。

  • Scribd本の場合

    本文をコピーし Microsoft Word に張り付け、Word の機能で語数を計測しました。

  • Kindle本の場合

    Android 版 Kindle アプリの Word Runner で語数を計測しました。ただし Kindle本の構成の問題か Word Runner では最後の章の語数が計測できない場合があるので、その場合はデスクトップ版 Kindle で最後の章の文章をコピーし、Microsoft Word で語数を調べました。 (デスクトップ版 Kindle にはコピー可能な分量に上限があるので 1冊全ての文章をコピーすることができない)



おまけで紹介! 中級以上の洋書 54選! (約540万語)

概要

50,000語未満の洋書を75作品紹介してきましたが、洋書の数は膨大で人気・有名作はまだまだ大量にあります。そこで以下3つのテーマでさらに 54冊紹介します!

  • 有名海外ファンタジー作品
  • YL 5.0~6.0 以上、または 50,000語以上の人気のある児童書
  • 一般洋書のベストセラー作品など

なお、紹介する作品に YL (目安) と記載があるものは YL を付け始める前に読んだ、または未読なのでネット上の評価を参考に付けた値です。今後すべて読む/読みなおす予定なので、その際に YL を更新していきます。

あの映画・ドラマの原作を読みたい! 海外ファンタジー 10選 (約147万語)

映画やドラマで有名なあの作品の原作を読んでみたい、という人も多い人気ファンタジーを 10作品紹介!
Percy Jackson & the Olympians #1: The Lightning Thief
YL: 5.0-6.0 (目安)、総語数: 87,223
著者Rick Riordan
シリーズPercy Jackson & the Olympians シリーズ / Wikipediaで確認
邦題パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々: 盗まれた雷撃
映画パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々

半神半人 (デミゴッド) の少年パーシーの活躍を描いた冒険ファンタジー。ゼウスやポセイドンなどギリシャ神話の神々が実在する世界観で、神々から力を引き継いだデミゴッドの子供達がメデューサやヒドラなどを相手に奮闘するハラハラ・ドキドキの冒険譚! ニューヨーク・タイムズのベストセラーに数百週入り続ける人気作で、2010年に映画化されている。

Harry Potter and the Philosopher’s Stone: Illustrated
YL: 6.2、総語数: 79,146
著者J. K. Rowling
シリーズHarry Potter シリーズ (通常版 / イラスト付き) / Wikipediaで確認
邦題ハリー・ポッターと賢者の石
映画ハリー・ポッターと賢者の石

両親と死別し、親戚の元で蔑ろにされながら育った10歳の少年ハリー・ポッター。しかし彼には魔法使いの素質がありホグワーツ魔法魔術学校へと入学することに。学生生活を通じてロンやハーマイオニーとの友情を育みながら、彼は魔法使いとしての素質を開花させ邪悪な存在に立ち向かっていく――! 言わずと知れた世界的人気作品で、実際にストーリーも言い回しも面白い。第1作の映画化は2001年だがいつまでも色あせない名作……! ちなみにここで紹介しているのはイラスト付きのエディションで、タブレットやスマホで読めば絵が動くという豪華さ。私もこちらを読んだが、Kindle版を購入するのであれば断然イラスト付きがオススメ!

ファンタジー・アクション系の単語が多い、造語や登場人物が多い、ハグリッドのセリフには視覚方言 (you→yeh、for→fer のような表記) が多用されているなどあるが、それぞれの要素はそこまで難しくなく会話も多いので物語は理解しやすい。個人的には第1章が一番分かりづらいと感じたので、難しいと感じてもそこで諦めず2~3章まで試しに読んでみて欲しい。少し背伸びしてチャレンジするなら「ハリー・ポッター」が英語で楽しく読める本を参考にするのも良い。

文章をアメリカ英語に直した Harry Potter and the Sorcerer’s Stone もあるが、イギリス版 (Philosopher’s Stone) のオーディオブックは Stephen Fry による朗読が素晴らしいこともありイギリス版がオススメ。

Howl’s Moving Castle
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 75,480
著者Diana Wynne Jones
シリーズWorld of Howl シリーズ / Wikipediaで確認
邦題魔法使いハウルと火の悪魔
映画ハウルの動く城

とある魔女に因縁を付けられ呪いで90歳のおばあちゃんに姿を変えられてしまった帽子屋の長女ソフィー! 魔法使いハウルの住む「動く城」へ転がり込み、掃除婦として働くようになるが――。というジブリ映画の原作にもなった作品。実は中盤以降は原作と映画で性格や展開が異なりハウルは俗っぽいが、逆に人間くさくて人気があったりもする。映画化は2004年。

Twilight
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 118,975
著者Stephenie Meyer
シリーズThe Twilight Saga シリーズ / Wikipediaで確認
邦題トワイライト
映画トワイライト 初恋

母親の再婚を機に引っ越してきた内気な少女ベラ。容姿端麗な青年に命を助けられるが、彼は驚異的な身体能力を持つヴァンパイアだった! という女子高生とヴァンパイアとの禁断の恋愛を描いた純愛ストーリー。米国ではハリー・ポッターに次ぐベストセラーとなった作品で、特に10代の女性に人気! 映画化は2008年。

The Inheritance Cycle #1: Eragon
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 157,220
著者Christopher Paolini
シリーズThe Inheritance Cycle シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ドラゴンライダー: エラゴン 遺志を継ぐ者
映画エラゴン 遺志を継ぐ者

農村に住む15歳の少年エラゴン。偶然山の奥深くでドラゴンの卵を見つけたことから帝国に目を付けられ、権謀渦巻く世界に巻き込まれていく――! という剣と魔法の冒険ファンタジーで、エルフ、ドワーフなど馴染みのある世界観のためRPGゲーム好きにはたまらない作品! 2006年に映画化されている。

A Song of Ice and Fire #1: A Game of Thrones
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 292,727
著者George R. R. Martin
シリーズA Song of Ice and Fire シリーズ / Wikipediaで確認
邦題氷と炎の歌: 七王国の玉座
ドラマゲーム・オブ・スローンズ

ドラゴンや魔法が存在する中世ヨーロッパ風の世界を舞台にした壮大な群像劇……! 王位を巡る争いや異形からの脅威を主軸とした物語が様々な視点から語られる。2011年からTVドラマが放映され世界的人気を誇っており、そこから原作小説にハマる人も多い模様。全7巻の予定で、2019年3月現在の最新刊は5巻。なお、児童書ではないので残虐な場面も多々ある。

The Earthsea Cycle #1: A Wizard of Earthsea
YL: 7.5-8.5 (目安)、総語数: 56,533
著者Ursula K. Le Guin
シリーズThe Earthsea Cycle シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ゲド戦記: 影との戦い
映画ゲド戦記

多島海アースシーを舞台に、類まれなる魔法の才能を持つゲドの少年から晩年が描かれたシリーズで、世界3大ファンタジーともいわれている有名作品! 第1巻では慢心により禁断の魔法に手を出し、自らの影との争いに巻き込まれていく少年ゲドの姿が描かれる。一方、2006年公開のジブリ映画版はゲドが大賢人となっている第3巻を原作としている。映画の英語タイトルは Tales From Earthsea。

His Dark Materials #1: Northern Lights
YL: 8.0、総語数: 112,815
著者Philip Pullman
シリーズHis Dark Materials シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ライラの冒険: 黄金の羅針盤
映画ライラの冒険 黄金の羅針盤
ドラマダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤

舞台はダイモンという動物の形をした分身が存在する、現実世界によく似た世界。12歳の勝気な少女ライラはオックスフォード大学の寮で暮らしていたが、ある日親友が失踪してしまう。失踪者が北極にいるという手掛かり得たライラは自身のダイモンと共に北極へと旅立つ――!

物語前半は少し説明が多いが後半からは状況がころころ変わり、一部描写はハードでもあるがその分面白くもある。また、全編を通して人とダイモンの繋がりが強く描かれ、物語上でも重要な役割を持っている。読了後は自分のダイモンはどんな動物になるだろうか、など考えるのも面白い。英文は複雑な文構造はさほどないが、情景・状況描写で難しめの語彙が使われがち。特に動物や日本では馴染みのない文化の語彙が難しいと感じるかも。

第1巻のタイトルは Northern Lights (北半球のオーロラという意味) だが、北米など一部の国ではタイトルが The Golden Compass になっているので注意。なお、2007年の映画はドラブルで続編制作がストップしたが、2019年に新たにドラマ化されている。フルキャスト版のオーディオブックもある。

The Wheel of Time #1: The Eye of the World
YL: 7.5-8.5 (目安)、総語数: 310,874
著者Robert Jordan
シリーズThe Wheel of Time シリーズ / Wikipediaで確認
邦題時の車輪: 竜王伝説

静かな農村に住んでいた少年ランは闇王に対抗できる竜王の再来とされ、突如として冒険の世界に放り込まれる――! 女性しか使えない魔法が存在し、闇王と竜王が争う広大な世界を舞台にした人気の大長編ファンタジー。闇王の行いにより男性は魔法が使えなくなっているなど、独特の世界観や重厚な設定が特徴。番外編として New Spring という作品もある。

実はまだドラマ化・映画化はされていないが、AmazonがTVドラマを2019年9月から撮影開始予定とのことなので、いち早く原作を押さえてみると面白いかも。

The Lord of the Rings #1: The Fellowship of the Ring
YL: 8.5-9.5 (目安)、総語数: 177,227
著者J.R.R. Tolkien
シリーズThe Lord of the Rings シリーズ / Wikipediaで確認
邦題指輪物語: 旅の仲間
映画ロード・オブ・ザ・リング

妖精や魔法が存在する世界で、選ばれし9人と闇の軍勢が絶大な力を秘めた指輪をめぐり争う様を描く描く古典ファンタジーの名作! ホビット、魔法使い、人間、エルフ、ドワーフからなるパーティが様々な困難に立ち向かうという誰もがワクワクするであろう展開だが、英文は難しいともっぱらの評判……!。映画は2001年に公開。2019年時点ではAmazonが1巻よりも前の時代を舞台にしたドラマ版を製作中ともいわれており、なお動向は見逃せない。

その他にも前日譚として The Hobbit (ホビットの冒険) があり、こちらも2012年から3部作で映画化されている。

まだまだあるぞ! 中級以上の定番の児童書 23選 (約155万語)

YL 5.0~6.0 以上または 50,000語以上でも児童書は多くある。ここでは 23作品を紹介!
George’s Secret Key to the Universe
YL: 4.2、総語数: 50,060
著者Lucy Hawking、Stephen Hawking
シリーズGeorge’s Secret Key to the Universe シリーズ
邦題宇宙への秘密の鍵

文明嫌いの両親と共に暮らす小学生のジョージは退屈な生活に暇を持て余していたが、隣りに科学者が引っ越してきてから状況は一変する。なんと彼らは宇宙へ通じる扉を開くコンピュータを開発していたのだ。ジョージは科学者の娘アニーと共に宇宙空間へと飛び出し、広大な宇宙を冒険する――! 宇宙物理学者として有名なホーキング博士と彼の娘ルーシーとの共著で、ブラックホールや太陽系などの宇宙の神秘を冒険を通じて分かりやすく説明する、子供にも大人にも人気のシリーズ!

ジョージを主役としたストーリ―が展開されていくが、話題に出た惑星や宇宙に関して別途コラムで特徴が解説される。宇宙や物理関連の単語があるので多少難しい語彙もあり特にコラムの英文は難易度が少し高くなるが、基本的には一文が短く理解しやすい文章。さらに巻末には惑星や宇宙のカラー写真が掲載されており必見だ!

Theodore Boone #1: Kid Lawyer
YL: 4.6、総語数: 50,657
著者John Grisham
シリーズTheodore Boone シリーズ / Wikipediaで確認
邦題少年弁護士セオの事件簿: なぞの目撃者

弁護士を両親にもつ中学生の少年セオは街で話題の殺人事件の裁判に興味津々! しかし思わぬところから事件の真相に関する情報を入手してしまう。黙っているべきか、警察に通報するべきか、親に相談するべきか。裁判の命運を左右する立場に思い悩むセオがとる行動とは――。

児童向け法廷もの。専門用語が多いが繰り返し使われるので覚えやすいはず。裁判のシステムも噛み砕いて説明されているため読みやすい良シリーズ!

Heart of a Samurai
YL: 4.5-5.5 (目安)、総語数: 51,267
著者Margi Preus
邦題ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂

1841年。海で遭難し、辛くも米国の捕鯨船に助けられた14歳の万次郎。母国へ戻れず米国へと渡り、異国の地という厳しい環境の中でも勉学に励み、彼はついに日本へと帰国する――! 本作は幕末から明治にかけて生き、日米和親条約の締結にも貢献した実在の人物 中浜万次郎 の伝記的な物語であり、主に米国滞在時の出来事について語られている。ただしフィクションも混ざっている点は注意。

ジョン万次郎漂流記椿と花水木―万次郎の生涯などの伝記や小説が多く出ているので、本作では言及されていない彼の活躍が気になる場合はそちらも。また、耳で英語を覚えたという彼の英語に着目したジョン万次郎の英会話という本もある……!

Wonder
YL: 4.5-5.5 (目安)、総語数: 73,053
著者R J Palacio
シリーズWonder シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ワンダー Wonder
ワンダー 君は太陽 (映画)

先天的な疾患で人とは違う顔に生まれ、整形手術を繰り返してきた10歳の少年オーガスト。この本はついに学校へ登校を始めた彼と家族、彼と友人との関係を複数人の視点から語った物語。章ごとに語り手が異なり、各人物の心情が分かるのでより感情移入して読める。本人および家族が感じるやるせなさや子供の残酷さの描写以上に、友人や家族の愛情も存分に表現されており、読了後の気分は良い。

A Monster Calls
YL: 5.0、総語数: 33,446
著者Patrick Ness
邦題怪物はささやく

病に侵された母の快復を願う13歳の少年コナーだったが、父は離婚し他国へ移住しており祖母とはそりが合わず、自立した生活を強いられていた。さらに学校では孤立し、毎晩悪夢にうなされる日々。そんな彼の元にある日、「怪物」が現れる。怪物は3つの物語を語るので、その後に少年の隠している真実を語る事を要求する。果たして過酷な生活を送っていた少年がひた隠しにしてきた「真実」とはどのような内容なのか――。

病気がテーマとなる作品は色々あるが、この作品は少年の心の葛藤を描いており少し珍しく、怪物の目的や少年が語る話を想像しながら読み進めると面白い。英文はそこまで難しいという印象はないが、物語の内容は個人の解釈に頼るような曖昧な部分もあるので少し難しく感じるかもしれない。読み飛ばしはせずしっかり内容を把握しながら読み進める方がオススメ。実写映画版もある。

The Stolen
YL: 5.0-5.5 (目安)、総語数: 69,198
著者Alex Shearer
邦題13ヵ月と13週と13日と満月の夜

12歳の少女カーリーは、ある日大人びた転校生メレディスと出会う。興味をもって近づくカーリーだったが、メレディスの驚くべき正体を知ってしまう。事情を知ったカーリーは彼女を助けようと魔女を相手に奮闘するが――。という魔女が登場するハラハラドキドキのファンタジー作品! なのだが、思わず「老い」について考えさせられ、少し恐怖を感じる部分もある。

The Land of Stories #1: The Wishing Spell
YL: 5.0-6.0 (目安)、総語数: 98,248
著者Chris Colfer
シリーズThe Land of Stories シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ザ・ランド・オブ・ストーリーズ: 願いをかなえる呪文

祖母からもらった本の世界に吸い込まれてしまった双子の兄妹。その世界はだれもが知っている童話のハッピーエンド後の世界だった! 元の世界に戻るために旅する2人の冒険ファンタジー。赤ずきんやシンデレラなど、だれもが知っている本が舞台というまさかの展開にワクワク!

Pendragon #1: The Merchant of Death
YL: 5.2、総語数: 117,136
著者D.J. MacHale
シリーズPendragon シリーズ
邦題ペンドラゴン: 死の商人

14歳の少年ボビー・ペンドラゴンはある日、叔父から自分が10のパラレルワールド「テリトリー」を行き来できるトラベラーであることを知らされる。テリトリー崩壊を目論む謎の人物の行動を阻むため、彼は次元を超えて冒険に赴く――!

異世界&タイムトラベル要素があるファンタジーで、中世ヨーロッパ風の世界や近未来風世界など巻ごとに異なる世界に乗り込む冒険譚。特徴的なのは、主人公の行動は親友に送られた手紙の文章として語られる事。さらに各章の合間には親友視点で主人公のために行動する部分も描かれている。個人的には親友視点の話の方が面白くて気に入っていたりもする。語数の割には語彙レベルがそこまで高くなくて良いシリーズ。

The Borrowers
YL: 5.5-6.5 (目安)、総語数: 34,792
著者Mary Norton
シリーズAdventures of the Borrowers シリーズ / Wikipediaで確認
邦題小人の冒険: 床下の小人たち
借りぐらしのアリエッティ (映画)

家の床下に住む小人の一家。こっそり人間達の物を拝借しながら静かに暮らしていたが、ある日小人のアリエッティは人間の男の子に見つかってしまう! という展開から始まる小人たちの物語。人間にとってはただのクリップでも小人からすれば別の使い方ができる、といった小人目線での生き方・考え方が面白い作品。Kindle版は2-in-1版である。ちなみにジブリ映画の英語タイトルは Arrietty。

Hatchet
YL: 5.5-6.5 (目安)、総語数: 42,328
著者Gary Paulsen
シリーズBrian’s Saga シリーズ
邦題ひとりぼっちの不時着

セスナ機のパイロットが心臓発作を起こし、カナダの森林地帯に一人不時着した13歳の少年ブライアン。この物語では彼が大自然のなか手斧1つで54日間を生き延びる姿が描かれる。衣食住の備えが無い状況で飢えをしのぎ、火をおこす苦労をし、野生動物から逃れなければならないというサバイバル描写は著者の実体験が元になっているためリアリティがある!

Ella Enchanted
YL: 5.5-6.5 (目安)、総語数: 52,994
著者Gail Carson Levine
シリーズEnchanted シリーズ
邦題さよなら、「いい子」の魔法 (サンマーク出版、旧版)
魔法にかけられたエラ (サウザンブックス社)
アン・ハサウェイ 魔法の国のプリンセス (映画)

誕生時に妖精から「従順」という愚かしい祝福を与えられ、自分の意志で行動できないという呪われた運命を背負ったエラ。しかし挫けない彼女は反骨芯旺盛な女性へと育ち、自らの自由を勝ち取るため奮闘する! この物語はシンデレラを現代風にアレンジしたロマンティック・コメディ要素満載の作品。皆がよく知っている登場人物もいながら、エルフや鬼などファンタジー要素も多い。

The Princess Diaries
YL: 5.5-6.5 (目安)、総語数: 58,954
著者Meg Cabot
シリーズThe Princess Diaries シリーズ / Wikipediaで確認
邦題プリンセス・ダイアリー
プリティ・プリンセス (映画)

内気な女子高生ミアはある日、祖母からミアが王女であると告げられる……! 驚いた彼女だったが次第に素敵な女性へと変貌を遂げていく。しかし彼女の取り巻く環境も変わってしまう。プリンセスとしての責任か、女の子としての幸せか、彼女が選ぶのは果たして――。というシンデレラ・ストーリー! 物語は日記形式になっているためミアの心情がダイレクトに伝わってくる。

映画版はアン・ハサウェイの初主演作品であり、オーディオブックのナレーターも彼女が務めている。

Divergent
YL: 5.5-6.5 (目安)、総語数: 105,143
著者Veronica Roth
シリーズDivergent シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ダイバージェント 異端者

5つの性格 ― 無欲 、高潔、博学、平和、そして勇敢 ― により生涯を過ごす共同体が決められる管理社会。しかしどこにも分類されなかった者は “異端者” として忌み嫌われ命を狙われる。たった一度の性格診断で異端者の烙印を押された16歳の少女ベアトリスは立場を隠しながら共同体に紛れ込み、社会を変革しようと決心する――! 近未来の米国シカゴを舞台としたディストピア物だが、少女の成長物語でもある。そしてやはりこの手の設定には心がくすぐられる……! 実写映画化もされている。

Mary Poppins
YL: 6.0-6.5 (目安)、総語数: 38,085
著者P. L. Travers
シリーズMary Poppins シリーズ / Wikipediaで確認
邦題風にのってきたメアリー・ポピンズ (岩波少年文庫)
メリー・ポピンズ (映画)

ロンドン在住のとある一家は4人の子供の子守りを募集する。そこへやってきたのは、なんと風に乗ってやってきたメアリー・ポピンズだった。不思議な力を持つ彼女に子供たちは興味津々! そっけなく、優しくもない彼女だが、子供達を不思議な冒険へと導いていく――。1934年出版で海外児童文学の代表的な作品の1つ。翻訳版や映画を気に入って原作を読む人も多い模様。

ちなみに邦訳版は他にもメアリー・ポピンズ (ポプラ社)、メアリ・ポピンズ (朝日出版社) があり、イマイチ名称が安定しない作品と (私の中で) 有名。また、シリーズ第2巻以降を原作とした映画 Mary Poppins Returns (メリー・ポピンズ リターンズ) が2018年に公開された。

Stargirl
YL: 6.0-6.5 (目安)、総語数: 41,214
著者Jerry Spinelli
シリーズStargirl シリーズ
邦題スターガール

レオの通う高校に転校生がやってきた! ペットを肩にのせ、奇抜な服装に身を包み、ウクレレを弾く高校生の女の子スターガール。学校で人気者となった彼女にレオも惹かれていくが、次第に強すぎる個性が敬遠され彼女は学校で孤立してしまう。彼女についていけないレオと、個性を捨て「普通」に振る舞おうとするスターガール。果たして彼らの関係はどのような結末を迎えるのか――。不思議で切ない物語。

Chronicles of Ancient Darkness #1: Wolf Brother
YL: 7.0、総語数: 57,371
著者Michelle Paver
シリーズChronicles of Ancient Darkness シリーズ / Wikipediaで確認
邦題クロニクル千古の闇: オオカミ族の少年

悪霊を宿した熊に殺された父の遺言に従い、熊を倒すために万物の精霊が宿る幻の山を目指す12歳の少年トラク。道中幼いオオカミと出合い、導かれるかのように旅を続ける彼だが、過酷な自然や他部族の介入により難航する。果たして彼らの旅はどのような結末を迎えるのか――。この物語は約6000年前のヨーロッパ北西部を舞台に、少年とオオカミの冒険が描かれるファンタジー作品。話自体も面白いが、ところどころオオカミ視点の描写も挟まれ、人間をどのように思っているのか語られるのがまた面白い。

太古の世界が舞台なので新鮮味があって良かったが、それ故に動植物が多く登場するので語彙は少し難しめ。サバイバル描写も多いのでファンタジーに慣れていないと少し難易度が高く感じるかも。

The Fault in Our Stars
YL: 6.0-7.0 (目安)、総語数: 65,752
著者John Green
邦題さよならを待つふたりのために
きっと、星のせいじゃない (映画)

癌が肺に転移し、酸素ボンベが手放せないまま闘病を続けている16歳の女の子ヘイゼル。彼女はある日、片足を失った少年オーガスタスと出会う。惹かれあう2人だが、自身の病状を理由に交際を躊躇するヘイゼル。そんな彼らはヘイゼルが好きな本の「結末のその先」を知るために作者を訪ねにオランダへと旅立つのだが――。生と死について向きあう若者の姿を描いた感動作で、涙する方も多数……!

The Dark Is Rising #1: Over Sea, Under Stone
YL: 6.0-7.0 (目安)、総語数: 75,001
著者Susan Cooper
シリーズThe Dark Is Rising シリーズ / Wikipediaで確認
邦題コーンウォールの聖杯

ドルウ家の兄妹弟サイモン、ジェーン、バーニーが偶然見つけた古文書には、アーサー王にまつわる失われた伝説の聖杯の在処か記されていた! 闇の手先からの妨害を潜り抜け、古文書の謎を解き明かし聖杯を見つける旅に出た彼らを待ち受ける結末とは――。3兄妹弟が力を合わせ冒険するハラハラドキドキのファンタジー!

The Dark Is Rising (闇の戦い) シリーズは世界を支配しようとする闇を阻むために六つのしるしを探す冒険にでる少年ウィルの物語で、ザ・シーカー: 光の六つのしるし として映画化もされている。実は Over Sea, Under Stone はもともとシリーズの前日譚という扱いで主人公はウィルではなく、邦訳版では闇の戦いシリーズに含まれていない。しかし話の展開上、本作から読み始めた方が分かりやすい。

The Hunger Games
YL: 6.5-7.0 (目安)、総語数: 99,750
著者Suzanne Collins
シリーズHunger Games Trilogy / Wikipediaで確認
邦題ハンガー・ゲーム

舞台は文明崩壊後の北米。富裕層によって管理されるとある国では、毎年12の地区から24人の生贄が選ばれ、最後の1人になるまでの殺し合い「ハンバー・ゲーム」が強制される! 16歳の少女カットニスは生贄に選ばれた妹の代わりにゲームに志願し、疑心暗鬼になりながらも他の出場者と共闘していく。最終的な勝者は果たして誰になるのか――。過激な設定ながら展開や心理描写に引き込まれる人が多数のディストピア物! 実写映画化もされている。

A Wrinkle in Time
YL: 7.2、総語数: 49,965
著者Madeleine L’Engle
シリーズMadeleine L’Engle’s Time Quintet / Wikipediaで確認
邦題五次元世界のぼうけん (あかね書房)
時間と空間の冒険: 惑星カマゾツ (サンリオ)
リンクル・イン・タイム (映画)

科学者の家系に生まれた14歳のメグとその弟のチャールズ・ウォレスは、独特の性格と消息不明の父の存在により周囲に馴染めずにいた。そんな折、正体不明の老婆から父の居場所の手がかりを得え、偶然出会った男の子と共に彼女らは時空を飛び越え別世界へと旅立つことに。しかしそこは邪悪な暗い影にすべてが支配されているディストピアだった。果たして彼らを待ち受ける運命とは……!

米国では有名な、1962年出版のSFファンタジー。今やありきたりな設定だったりするが、コンピューターの描写や善悪の価値観から当時の状況が垣間見える気がして面白い。2018年にはディズニーで映画化もされている。英文は挿入句が多く、また難単語が使われているので少し読みづらさを感じるかもしれない。

The Neverending Story
YL: 6.5-7.5 (目安)、総語数: 111,943
著者Michael Ende
邦題はてしない物語
ネバーエンディング・ストーリー (映画)
ネバーエンディング・ストーリー 遥かなる冒険 (TVドラマ)

いじめられっ子の少年バスチアンは、古書店で1冊の本「はてしない物語」を見つける。崩壊の危機に瀕した異世界を救う少年アトレーユの話を読み進めていくと、なんと本の中に自分が登場していることにバスチアンは気づく。現実と物語が交錯し、ついには彼は本の世界に入り込んでしまう――!原書はドイツ語の児童書で、前後半の2部構成になっている壮大な物語。映画は I ~ III の3部作だが、後半は原作と展開が異なる。2001年にはTVドラマ化され日本でも放映されている。

本作とは別に、作中で登場した国ファンタージエンを舞台に様々な作家がそれぞれの物語を展開するシェアワールド的な Legends of Fantastica (ファンタージエン) というシリーズが6冊ある…! ただし元がドイツ語の作品で、邦訳はあるが英訳版は無さそう。

Tom’s Midnight Garden
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 56,032
著者Philippa Pearce
邦題トムは真夜中の庭で

弟が麻疹にかかったため叔父夫婦のもとへ預けられた少年トム。退屈な生活を送るトムはある夜、存在しない13時を知らせる大時計に気づく。時計の音に誘われて外へ出てみると見知らぬ庭の景色が広がっており、不思議な少女ハティと出会う。毎夜13時に彼女と出会い交友を深めていくが、どうも2人の時間の進み方が異なるような――。イギリス児童文学の代表作の1つで、純粋なワクワク感と切なさを共に感じることができるタイムファンタジーの古典作品! 1999年に映画化されており、TVドラマ化も3回されている。

The Bartimaeus Sequence #1: The Amulet Of Samarkand
YL: 7.5-8.5 (目安)、総語数: 122,300
著者Jonathan Stroud
シリーズThe Bartimaeus シリーズ / Wikipediaで確認
邦題バーティミアス: サマルカンドの秘宝

現実の地球と似て非なる世界。魔術の中心都市ロンドンにて支配者階級の魔術師になるべく修行中の少年ナサニエルは、ひょんなことから齢5010歳の妖霊バーティミアスを召喚し秘宝のアミュレットを盗み出す。しかし思いもよらぬ事件に巻き込まれ――。権力志向が強いひねくれ者の少年とお調子者でずる賢い妖霊が知恵を出し合い、協力し、足を引っ張りあう。二人の掛け合いが面白いファンタジー!

最後はジャンル問わずに紹介! ベストセラー 21選 (約238万語)

児童書以外にも色々な洋書を知りたい・読みたいと思った時のヒントとなるように、ジャンル問わずベストセラー作家の作品や人気映画の原作、古典的名作などを21作品紹介!
Who Moved My Cheese?
YL: 4.0、総語数: 10,408
著者Spencer Johnson
続編Out of the Maze (迷路の外には何がある?)
邦題チーズはどこへ消えた?

迷路に住む2匹のネズミと2人の小人がようやく見つけたチーズが消えてしまった! ネズミは新たなチーズを探しに行く一方、チーズが戻ってくることを期待して待つ小人。しかしチーズは戻ってこず、小人の一人は新しいチーズを探しに出発しようと決心する。果たして小人はチーズを手に入れることができるのか――。変化を恐れず状況の変化にいかに対応すべきかを説くビジネス書で、チーズは自分にとって大切なものの比喩となっている。内容については個々人で賛否があると思うが、読むと新しいことにチャレンジしたくなるのは良いところ。

メインストーリー (6,760語) とその後のディスカッションパート (3,648語) で構成されている。言い回しが若干難しい箇所があるが、単語はそこまで難しくなくビジネス書なので話の筋も分かりやすい。その他のビジネス書としては、本作よりも難易度は高いが Rich dad and poor dad (金持ち父さん、貧乏父さん) や The Greatest Salesman in the World (世界最強の商人) なども読まれている。

Tuesdays with Morrie
YL: 5.3、総語数: 34,894
著者Mitch Albom
邦題モリー先生との火曜日

スポーツジャーナリストとして忙しい日々を送っていた著者ミッチは、大学時代の恩師モリー教授が ALS に侵され余命数ヶ月であることを偶然知る。久しぶりに教授と面会したミッチは、彼の最後の授業を毎週火曜日に受ける事となる――。本書は死の床にいるモリー教授と著者との14回にわたる対談を記録したノンフィクション。徐々に死に近づいていく教授が得た、愛や人生に関する考えは興味深い。しかし1週間ごとに病状が悪化していく姿、人や周囲のメンバーの苦悩が語られるのは胸にくるものがある……。

病気・人体関連の一部の英単語は難しいが頻出はしない。基本的に場面転換が少なく言い回しがシンプルなので読みやすい部類。

A Street Cat Named Bob
YL: 5.0-5.5 (目安)、総語数: 64,120
著者James Bowen
シリーズBob and Bowen シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ボブという名のストリート・キャット
ボブという名の猫 幸せのハイタッチ (映画)

ミュージシャンへの夢破れ、薬物中毒から抜け出せずホームレスへと成り果てた青年ジェームズ。そしてそんな彼の元へ現れた一匹の野良猫ボブ。やつれた姿を見かね残り少ない財産をボブへ費やし共同生活を送るうちに、彼はボブのために仕事を得、中毒からも抜け出そうと決意する――! 一匹の猫と出会い、人生をやり直すことを決意した著者の経験を綴ったノンフィクション作。なんと映画版では実際のボブが出演しているという、猫好きなら見逃せない作品!

猫関連の作品としては、無類の猫好きとして知られるポール・ギャリコ著の「猫が猫のために書いた、人間を猫に奉仕させる方法を語る本」という体裁の The Silent Miaow (猫語の教科書) や突然猫になってしまった少年を描く Jeny (ジェニィ)、有川浩の The Travelling Cat Chroniclesa (旅猫リポート) などもある。

The Devotion of Suspect X
YL: 5.0-6.0 (目安)、総語数: 86,318
著者Keigo Higashino
シリーズDetective Galileo シリーズ / Wikipediaで確認
邦題容疑者Xの献身

天才物理学者・湯川学が超常現象ともとれる事件を科学的・論理的に解明していくミステリーシリーズ。本作では、隣人が犯した殺人事件を隠蔽せんとする数学教師の完全犯罪に挑む様が描かれる。なお、容疑者Xの献身はガリレオシリーズとしては3作目だが、1・2作目は短編集なので本作が初の長編。そして長編作品のみ翻訳されているので、海外では本作が Detective Galileo #1 となっている。

宮部みゆき村上春樹など日本人作家の翻訳作は他にも色々ある……! 翻訳作品は物語の文化的な背景が既知の場合が多いという点で比較的読みやすい。

Me Before You
YL: 5.0-6.0 (目安)、総語数: 123,360
著者Jojo Moyes
シリーズMe Before You Trilogy
邦題ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日
世界一キライなあなたに (映画)

職を失った27歳の女性ルーは6ヶ月限定の介護職につき、事故で四肢麻痺に陥った実業家ウィルと出会う。口が悪い彼に辟易するルーだが徐々にお互い歩み寄り、彼女は自分という存在に自信が持てるようになる。しかし彼女はある日、なぜ介護が6ヶ月限定だったのかその理由を知る――。テーマは重く結末も賛否両論あるが、最後は涙なしに終われない感動作。色々考えさせられる。

The Mysterious Affair at Styles
YL: 5.5-6.5 (目安)、総語数: 56,998
著者Agatha Christie
シリーズHercule Poirot シリーズ / Wikipediaで確認
邦題スタイルズ荘の怪事件

友人の招待によりスタイルズ荘を尋ねたヘイスティング。しかし屋敷の女主人が突然発作を起こし、息を引き取ってしまった。彼女の死に不審点を感じたヘイスティングは、旧友であるポアロに事件の捜査を依頼する――。ベルギー人の名探偵ポアロが活躍するシリーズの第1作でもあり、ミステリーの女王と呼ばれたアガサ・クリスティの最初の作品でもある。デビュー作から完成度が高く、真相を暴く様は流石!

ドラマ化・映画化も多く、2017年にはシリーズ第8巻の Murder on the Orient Express (オリエント急行の殺人) の映画化もされている。また、通常のオーディオブックの他に複数キャストのドラマ版もある。

The Notebook
YL: 6.0-6.5 (目安)、総語数: 49,331
著者Nicholas Sparks
続編The Wedding (きみに読む物語 ~星空のウェディング~)
邦題きみに読む物語

ある療養施設に、1人の老人デュークが痴呆症の老女に1冊の本を読み聴かせにやって来る。本の内容は女性アリーと男性ノアの身分違いのラブストーリー。果たして物語に記された恋の行方は、そして本に秘められた謎とは――。本作は基本的にアリーとノアの恋愛物語として進行していくが、後半で意外な展開と事実が待っている感動作……! 映画化されている他、主人公は異なるが続編もある。

The Secret Dreamworld of a Shopaholic
YL: 6.0-7.0 (目安)、総語数: 91,358
著者Sophie Kinsella
シリーズThe Shopaholic シリーズ / Wikipediaで確認
邦題買い物中毒のひそかな夢と欲望 (扶桑社、旧版)
レベッカのお買いもの日記 (ヴィレッジブックス)
お買いもの中毒な私! (映画)

25歳のレベッカは金融ジャーナリストながら重度の買い物依存症! やめたいけどやめられない、滅茶苦茶な金銭感覚で破産寸前!? 嘘とハッタリと勢いでその場をしのぐ彼女に辟易する場面もあるが、後半の展開は面白い。著者は気軽に読める作品が多くて人気なので、深く考えず軽い作品を読みたい時に向いているシリーズ……! それ故、人を選ぶところはある。なお、米国版のタイトルは Confessions of a Shopaholic。

If Tomorrow Comes
YL: 6.0-7.0 (目安)、総語数: 123,353
著者Sidney Sheldon
邦題明日があるなら
シドニー・シェルダンの明日があるなら (TVドラマ)

近々結婚予定で幸せの真っ只中にいた美人銀行員の女性トレーシーはある日、思いもよらぬ一報を受ける。さらにあらぬ犯罪の濡れ衣を着せられ、何年にも渡り懲役に服することに――。と、ここで終わるとただ悲惨な話だが、実は絶望に負けず密かに自らを鍛え上げ入念な準備をし、とんでもない活躍するまでを描く痛快な物語……! 二転三転するスピーディーな展開で、1冊読んでこの著者にハマる人も多い。

Ready Player One
YL: 6.0-7.0 (目安)、総語数: 136,048
著者Ernest Cline
邦題ゲームウォーズ
レディ・プレイヤー1 (映画)

時は2045年。人類の多くがのめりこむネットワーク上の仮想世界の開発者が「仮想世界内に存在する3つの鍵を見つけ、イースターエッグ (隠しアイテム) に辿りついた者には莫大な遺産を相続する」と宣告する。多数の人間・企業を巻き込んだ争奪戦が繰り広げられるなか、青年パーシバルは1つ目の鍵を獲得する――! 1980年代のサブカルチャーが満載で、ガンダムやウルトラマンなど日本のアニメや特撮作品も登場。とにかくゲーマーや当時を知る人にはワクワクする設定が多く、ニヤリとするばかり……!

同著者の2作目の作品 Armada (アルマダ) も、方向性は違うがゲーマーが主役で既存の作品の話題が登場する。

What I Wish I Knew When I Was 20
YL: 6.5-7.5 (目安)、総語数: 52,904
著者Tina Seelig
続編inGenius: A Crash Course on Creativity
邦題20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

本作はいわゆる自己啓発本で、スタンフォード大学の教授が自分の息子に伝えたい内容をまとめたもの。社会に出て困難な場面に直面した時にどのように考えどのように行動すべきか、その技術や心構えを指南している。ちょうど自分が困難な状況にいる、または環境が変わる/変えたいと思っている時に読むとやる気が湧いてくる……! もちろん内容は年齢に関わらずためになる。

本作が気に入ったのであれば、How to Win Friends & Influence People (人を動かす) や Justice: What’s the Right Thing to Do? (これからの「正義」の話をしよう) 辺りも。

Nineteen Eighty-Four
YL: 6.5-7.5 (目安)、総語数: 88,942
著者George Orwell
邦題一九八四年

1984年、第三次世界大戦後の世界は3つの超大国に分割統治されていた。個人の行動は全て監視される全体主義国家の一員として生活する39歳のウィンストン・スミスは、現体制への疑問を持ちながらも歴史を改ざんする業務をこなしていた。そんな生活を送る中、彼はとある女性と出会い反政府活動に興味を持つようになる――。本作は1949年出版であり、近未来に起こり得るディストピアを描いた物語として評価・影響力が高い作品。色々衝撃的。

ちなみに村上春樹の 1Q84 (2009年出版) は本作が元ネタで、近未来ではなく近過去、つまりありえたかもしれないもう一つの1984年を舞台とした物語。1Q84 には英語版もある。

Never Let Me Go
YL: 6.5-7.5 (目安)、総語数: 96,374
著者Kazuo Ishiguro
邦題わたしを離さないで

イギリスの田園地方にある寄宿学校。物語はこの学校で育った31歳の女性キャシーの10代~20代の頃の回想という形式で進んでいく。学校では一見普通の生活を送っているように見える少女時代のキャシーと親友のルース、トミーの3人だが、普通とは異なる習慣や制限が設けられていることが分かる。学校に秘められた謎と3人の友情・恋愛模様が絡み合いながらストーリーは進み、徐々に隠された謎の真相と現在の状況が明らかになる。衝撃的な真相に胸が苦しくなる作品であり、感想やあらすじを少し調べるだけで容易にネタバレに合う作品の筆頭でもある……!

本作はイギリスで映画化された他、日本でテレビドラマ化もされている。ちなみに著者は日本生まれだが現在はイギリス籍で、英語版の方が原作。日本語への翻訳は別の方が担当。

Stephanie Plum #1: One for the Money
YL: 7.0-7.5 (目安)、総語数: 71,825
著者Janet Evanovich
シリーズStephanie Plum シリーズ / Wikipediaで確認
邦題私が愛したリボルバー
ラブ&マネー (映画)

失業により貧乏まっしぐらの30歳の女性ステファニー。親戚を頼って紹介してもらった仕事はなんと賞金稼ぎ。逃亡中の容疑者を捕まえお金を稼ぐのだ――! 賞金稼ぎステファニー・プラムの第1作目。たいした技能も知識もなく、危なっかしくてドジばかり。しかし曲者ぞろいの周りの人に振り回されつつ、思わぬ事件の真相に近づいていく。とにかく無茶苦茶で下品だが面白く、気軽に読めるシリーズとして人気……!

The Shining
YL: 7.0-7.5 (目安)、総語数: 162,848
著者Stephen King
続編Doctor Sleep (ドクター・スリープ)
邦題シャイニング

かつて悲劇が起こったとされる山上のとあるホテルに、一冬の管理人としてやってきたトランス家の3人。小説家志望の父ジャックは閉鎖環境を喜ぶが、様々な要因により精神的に追い詰めらていく。一方、息子ダニーはホテルで超常現象を目撃し、人ならざる者の存在に気づく。狂気のホテルに飲み込まれていく一家はどのような結末を迎えるのか――。やはりサイコホラー好きなら外せない作品の1つ。そして本作の出版は1977年だが、2013年には1作目の30年後を舞台とした続編が出ている……!

著者はモダン・ホラーの第1人者として知られているが、映画ショーシャンクの空に原作などホラー以外の作品も手掛けている。また、ミステリーやホラーが好きにはディーン・クーンツの Watchers (ウォッチャーズ) もハマるかも。

The President is Missing
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 114,197
著者Bill Clinton, James Patterson
邦題大統領失踪

サイバーテロ関係者の逃亡を手助けしたとして糾弾を受けている米大統領が突如失踪した! メディアはここぞとばかりに糾弾するが、実は彼は合衆国の存亡に関わる重大な秘密を知っており、国を守るべく単身行方をくらませたのだ。誰一人として信頼できるものがいない中、彼は国家を救うことができるのか――! ミリオンセラー作家と元大統領の共著という驚きの作品だが、場面場面の描写や会話、葛藤には大統領としての実体験が反映されており興味深い。ちなみに約130章に分かれており、1つ1つの章は数百語から3,000語程度なので細かく読み進めやすくなっている。

The Door into Summer
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 67,044
著者Robert A. Heinlein
邦題夏への扉

冷凍睡眠による未来への時間移動が実用化されている1970年代の米国。愛猫のピートと共に暮らす機械技師ダンは会社を興し順調な生活を送っていたが、友人とのトラブルにより全てを失い、ピートと共に冷凍睡眠を行うことを決意する――。1956年出版のタイムトラベルを扱った古典的SF作品で、著者が当時描いた1970年代や2000年代の世界は中々面白く、読後感はタイトル通り爽やか。

Solaris (ソラリス)、Inherit the Stars (星を継ぐもの) など邦訳版が日本で人気な作品が多いので、海外SF小説人気ランキングなどで検索すると色々面白そうな作品が見つかる (今や入手が難しい作品もあるが……)。

Lincoln Rhyme #1: The Bone Collector
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 115,479
著者Jeffery Deaver
シリーズLincoln Rhyme シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ボーン・コレクター

とある男女が忽然と消え、1人は見るも無残な姿となって発見された。ニューヨーク市警は事件解決のため科学捜査の専門家リンカーン・ライムに協力を仰ぐも、彼は事故により四肢麻痺に陥っており人生に絶望していた。事件に興味を持ち情熱を取り戻していくライム、そして動けない彼の代わりに行動する女性捜査官サックスは、協力、ときに反発しながらも手がかりを探し、証拠を積み上げ犯人を追い詰めていく――。 異常な拘りを持つ犯人と二転三転するストーリーが人気の安楽椅子探偵シリーズ第1巻! 映画化もされている。

Kane and Abel
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 177,293
著者Jeffrey Archer
シリーズKane and Abel シリーズ / Wikipediaで確認
邦題ケインとアベル

遠く離れた地なれど、時を同じくして生まれた2人の赤子。1人はポーランドで極貧の生活を送る一方、もう1人はボストンで裕福な暮らしを送る。本作では対照的な2人の人生が交互に語られていき、やがて運命が交差する様が描かれる。戦争、経済、恋愛など様々な要素が絡みあった結果、生まれた国も階級も異なる2人がどのように接点を持ち、どのような関わりを持つのか。彼らの数奇な運命を堪能できる作品。TVドラマ化され、日本でも放映されていた。

The Pillars of the Earth
YL: 7.0-8.0 (目安)、総語数: 405,240
著者Ken Follett
シリーズKingsbridge Book シリーズ
邦題大聖堂
ダークエイジ・ロマン大聖堂 (TVドラマ)

12世紀前半、王子が海難事故で命を落とし王位継承問題で混乱するイングランドには大聖堂建設に命を懸ける男がいた。しかし王国と協会の対立、協会内の権力争い、個人の愛憎などが絡み合い、多くの人間の運命と命が翻弄されていく。この物語はキングズブリッジ大聖堂建設を中心とした半世紀にも渡る壮大な群像劇である。とにかく長いのだが、登場人物の善悪がハッキリとして分かりやすく、読みだすと止まらないと評判……!

TVドラマ化やゲーム化 (PS4SteamiOS など) もされているので、映像+音声で楽しむという手もある。また、本作の150年後を舞台にした続編が2007年に出版されている。

The Kingkiller Chronicle #1: The Name of the Wind
YL: 7.5-8.5 (目安)、総語数: 255,986
著者Patrick Rothfuss
シリーズKingkiller Chronicle シリーズ / Wikipediaで確認
邦題キングキラー・クロニクル: 風の名前

とある田舎町で宿屋を営んでいる老主人。しかしそれは伝説の魔法追加い “王殺しのクォート” の仮の姿だった。何故彼は姿を隠したのか、クォートの正体を看破した紀伝家に彼は幼少期から順を追って語り始める。彼の語る内容は、才能に溢れた1人の男が送る波乱万丈の人生だった――。中世ヨーロッパ風のファンタジーで、複数のエピソードが順番に語られていく。設定や背景が良く練られており、大人向けのファンタジー好きにも好評のシリーズ!

本シリーズは3部作。クォートの語りは全3日掛かるとされており、彼が1日目に語った内容が第1巻となっている。ちなみに2024年1月時点での最新刊は第2巻で第3巻はまだ発売されていないが、スピンオフ作品は何作か発売されている。

番外編: 日本のマンガ、ライトノベル、ゲームを英語で楽しむ!

英語多読であっても必ずしも海外の作品である必要はない。日本のマンガ、ライトノベルには翻訳版があり、英語でプレイできるゲームもある。自分の好きなジャンル、作品で英語に触れていくのだ……!
DORAEMON セレクション1 感動する話
著者藤子 F・不二雄
シリーズDORAEMON セレクション

ご存じ「ドラえもん」のバイリンガル版! 吹き出しのセリフは英語だが、日本語のセリフが枠外に併記されているため未知語を都度辞書で調べる必要がない。また、児童向けマンガなので一話が短く内容が簡単で、吹き出しの形も丸いためマンガとしては英文が読みやすい。息抜きとして、またはマンガ好きならこのような作品で英語に触れるのも良い。その他作品は「多読にオススメの英語マンガ14選」を参考に。

Book Girl and the Suicidal Mime
総語数: 44,611
著者野村美月
シリーズBook Girl シリーズ
原作“文学少女”と死にたがりの道化【ピエロ】

本を食べる妖怪で自称 “文学少女” の文芸部部長と、元美少女 (?) 作家の文学少年を軸としたシリーズ。第1巻では太宰治の「人間失格」が題材となり、他人の気持ちが理解できない孤独な人間の嘆きと絶望が語られる。読みやすい文体かつ日本の学校が舞台なので、英語のライトノベルの入門としてオススメ! その他作品は「多読にオススメの英語ライトノベル14選」を参考に。

北米版 Steins;Gate (シュタインズ・ゲート)
ジャンルビジュアルノベル、SF
機種PC (Steam)、PS4、Nintendo Switch、iOS

偶然出来上がってしまったタイムマシンをめぐり、世界の陰謀に巻き込まれる主人公たち。日常を取り戻そうとした行為が過去や未来を変え、さらなる絶望へと叩き落される様は見ていて悲痛だが諦めない主人公の執念は見ごたえあり。主人公は所謂「中二病」で序盤は特有の痛々しい発言が多いが、後半はその様がカッコよく感じてしまう、癖はあるが海外でも人気の名作! なお2019年には立ち絵をアニメに差し替えたリメイク版 Steins;Gate Elite の北米版が SteamPS4、Switch で発売されている (音声は日本語)。

ゲームは映像がある & 自分で能動的に操作するため小説よりも読み進めやすい部分もある。ノベルゲームはハードルが高く感じる場合は、攻略サイトを見ながらアクションやRPGを英語でプレイするもの良い。ノベルゲームについては「無料・有料のノベルゲーム19選!」を参考に。

洋書選びに役立つ (?) 補足

Lexile指数を目安に洋書を選ぶのはアリなのか?

YL と Lexile指数を照らし合わせてみると…

Lexile指数とは

Lexile指数とは米国やその他各国で用いられている「英文の難易度」と「自分の読解力」を表す指標です。例えば Lexile指数 600L と 900L の洋書があれば、600L の方が難易度が低いと判断されます。 Amazonにも Lexile指数の説明があるので参考にしてください。

洋書の Lexile指数は、Amazon や MetaMetrics のサイトに掲載されているので、その値を目安に洋書を選ぶという方法があります。

洋書の Lexile指数は妥当か?

上記図は本記事で紹介した 75冊の内、MetaMetrics のサイトで Lexile指数が公開されている 73冊の YL と Lexile指数の散布図です。また、英検の英文とTOEIC Reading のスコアが Lexile指数に換算されて公開されているので、図の右側に大雑把にですが追加してあります。

英検に関するLexile指標を用いた検証
TOEIC R スコアと Lexile指数の相関はかつて公式サイトで公開されていたが現在は削除されているので、この点について語ることは既に意味がないのかもしれない。気になる場合は、Webで「TOEIC Lexile 洋書」などと検索すれば色々情報がみつかる
最初は YL と語数から判断した方が無難

YL の値は私の主観で評価したものなので信頼性 100% とは言えませんが、Lexile指数を信じると YL 3.3 の My Father’s Dragon (エルマーのぼうけん) が読めれば殆どの本が読めることになってしまうので、洋書の Lexile指数には疑問が残ります。また、英検はともかく TOEIC R のスコアと Lexile指数の換算にも疑問が残ります。たまに洋書の帯に「TOEIC R ○○○ レベル」とありますが、この Lexile指数から判断していたのではないでしょうか……。

Lexile指数のシステムに問題があるという事ではなく、洋書に付けられている Lexile指数の値に疑問がある事と、Lexile指数だけでは「洋書を1冊読み通す事」自体の難易度を評価できないので、洋書選びの絶対的な目安にはならないという事です。これは「TOEIC R スコアが高い = 長時間読書ができる、海外の文化を知っている」とはならないのと一緒です。読書慣れしてない場合は YL と総語数を目安に、簡単な本から読み始めた方が良いと思います。

多読初期にオススメする作品

癖が少なく、多読初期でも読みやすい作品!

Frindle
焦らず徐々に難易度と語数を増やしていく、という方針

色々紹介してきましたが、数が多すぎて結局何から読み始めれば良いか悩むという場合に備え、初期にオススメの本をいくつか選びました。英語の小説に慣れていない場合、最初は癖が無く読みやすい作品の方が良いですよね。個人的には以下がオススメです。

Nate the Great から読めるところまで順番に6冊読んでみて、自分が読める本の YL と語数を把握してみてはいかがでしょう。長時間英語を読む体力を徐々に付ける意味でも段階を踏んだ方が良いと思います。把握できたら、後は読めるレベル帯で好きな本を選んで読んでいきましょう!

夢中になる人が多い人気シリーズ!

A Series of Unfortunate Events #1: The Bad Beginning

YL 4~5 レベルになると特に人気のあるシリーズが増えてくるので、YL 3.8 の Frindle が読めるならチャレンジしてみてください。自分好みのシリーズが見つかれば一気に多読が捗るようになりますよ! この辺りが読めるようになれば、あとはレベルと相談して色々選んで読んでいけると思います。

個人的に読む方がもっと増えて欲しい作品!

Where the Mountain Meets the Moon

面白い作品は色々ありますが、個人的に好きなのでもっと読む方が増えたら良いなぁと思う作品があります。皆さん読んでみませんか……?

いっそのこと75冊読破に挑む!?

75冊で約147万語!

Nate the Great
概要

すでに洋書をある程度読み慣れている、もしくは読みたい本が決まっている場合は好きな作品を読んだ方が良いと思いますが、色々読んでみたい場合はこの記事で紹介した「シリーズ物の各1巻 60冊 (約105万語)」 と「1冊完結の15冊 (約42万語)」を YL 順に端から読んでみるという手もあります。

それなりに英語を勉強してきた方でも、長時間の読書に慣れていなければ1万語超の本をスラスラ読むのは案外大変なものです。まずは Nate The Great レベルの本から1冊ずつ語数・難易度をステップアップして、徐々に洋書の世界に入り込んでいこうという試みです。

もちろん苦手なジャンルの本は飛ばしても良いですが、端から色々読んでいくと以下のようなメリットもありますよ!

  • 色々な作家の文章を読むことで、自分にとって読みやすい文章と読みにくい文章の違いが分かり、語彙・文法・長文への慣れなど自分に不足している部分が分かってくる
  • 表紙・ジャンル・語数などで選り好みせず読むので、新たに好きなジャンルが見つかるかもしれない
  • 読書仲間と色々な本や作家の話が共有できる (重要)
  • (謎の) 満足感が得られる
これ以上難しい本は読めない! と思った時は?

徐々に本のレベルを上げていく場合、途中で「これ以上難しい本は読めない!」という状況に出くわすかもしれません。その場合は以下を試してみてください。

  • 少し難易度が高くても面白そうだと思うシリーズを読んでみる

    話の面白さにつられて、多少難しくても読める可能性があります。YL を少し上げてでも興味がある本を試しに読んでみると良いかもしれません。

  • 自分が面白いと思ったシリーズの2巻目以降を読み進める

    色々読んでくれば自分好みのシリーズがいくつか見つかるかと思います。難しくて読書が辛くなってきたら、一旦 YL を下げてお気に入りのシリーズの2巻目以降を読んでみるのは良いと思います。1巻目を読んだ時より楽に読めるようになっていれば、それだけでも成長を実感できますしね!

  • 自分に足りないと思った要素 (単語、文法、構文理解 など) を勉強する

    多読で自然に語彙や文法を学ぶという方法もありますが、やはり一定レベルまでは単語集や参考書を利用する方が頻出語や文法・構文解釈の基礎を身に着けやすいと思います。多読を通じて自分の弱点を把握していればモチベーション高く取り組めるはずですし、難易度の高い本を読みたいのであれば面倒でも勉強に励んでいきましょう!

オーディオブックは積極的に活用!

折角読んだのなら朗読も楽しもう

無料お試しもできるので……

昨今は洋書のオーディオブックが手軽に入手できるので積極的に活用していきましょう! Audible は買い切り、Scribd は定額サービスなので、何回も聴きたい作品は Audible、1回聴くだけ・色々な作品を聴きたいという場合は Scribd が適していますが、上記動画にあるアン・ハサウェイ朗読のオズの魔法使いなど、Audibleにしかない作品も多々あります。それぞれ「Audible の始め方とオススメの洋書オーディオブック23選」「Scribdの始め方」を参照ください。

どのように聴いていくのか

さて、いざ聴くとなるとパターンは以下3種類考えられますが、

  1. 未読の洋書の朗読を聴く
  2. 洋書と朗読を同時に聴き読みする (聴きながら読む)
  3. 既読の洋書の朗読を聴く

やはり1番の未読の本の朗読をいきなり聴くのは難易度が高いです。もし未読の本の朗読を聴くのであればサンプル音声を聴いて、理解できそうなレベルの本を選びましょう。最初は「Frog and Toad」など絵本レベルの朗読から始めた方が良いかもしれませんね。オススメの英語の絵本については「英語の絵本 30選」を参照ください。

なお、現在の自分は「一度洋書を最後まで読んで内容を理解し、その後に朗読を改めて聴く」という方法をとっています。この方法だと事前に内容を理解しているので、聴き逃しても困りません。騒音などで意識が音声から逸れても聴き直す必要が無いのは楽です。あとは気に入った作品は飽きるまで何回も聴いています。

スキマ時間を最大限活用

私はスマホ (Audible or Scribd) + 防水の片耳イヤホンの組み合わせで、移動中や家事、シャワー・入浴中に聴くことでリスニング時間を確保しています。朝起きて最初にすることはイヤホンを装着しオーディオブックを聴き始める、ぐらいまでスキマ時間を活用しているので毎日1~2時間はリスニングできていますし、楽しいのでずっと継続できています!

お気に入りの作家を見つける

Holes
1人1冊ではもったいない……!

本記事では1作者 1作品 (1シリーズ) までという条件で紹介してきたこともあり、掲載できなかった人気作家の作品はまだまだあります。例として以下に3名ほど掲載しますが、読んでみて面白いと思った作品があればその作家の別作品を試すのも面白いと思います! ただし、同じ著者でも作品ごとに難易度がバラバラだったりするので、事前にネットで評価を確認した方が良いでしょう。

著者作品例
Louis Sachar
(ルイス・サッカー)
  • Marvin Redpost
  • Holes (穴)
  • Sideways Stories From Wayside School (ウェイサイド・スクールはきょうもへんてこ)
  • There’s a Boy in the Girls’ Bathroom (トイレまちがえちゃった!)
  • The Boy Who Lost His Face (顔をなくした少年)
Roald Dahl
(ロアルド・ダール)
  • Matilda (マチルダは小さな大天才)
  • Charlie and the Chocolate Factory (チョコレート工場の秘密)
  • The Magic Finger (魔法のゆび)
  • Danny the Champion of the World (ぼくらは世界一の名コンビ! ダニィと父さんの物語)
  • The Enormous Crocodile (大きな大きなワニのはなし)
  • The Twits (いじわる夫婦が 消えちゃった! / アッホ夫婦)
  • Fantastic Mr Fox (父さんギツネバンザイ / すばらしき父さん狐)
Sharon Creech
(シャロン・クリーチ)
  • Granny Torrelli Makes Soup (トレッリおばあちゃんのスペシャル・メニュー)
  • Walk Two Moons (めぐりめぐる月)
  • Chasing Redbird (赤い鳥を追って)
  • Ruby Holler (ルビーの谷)
  • Heartbeat (ハートビート)
  • Love That Dog (あの犬が好き)

子供の読書のキッカケに! 親子で同一作品を日英で読む!

一緒に読む人がいるとモチベーション UP

The Spiderwick Chronicles #1: The Field Guide

邦訳されている作品が多いので、親が洋書を読みつつ子供が邦訳版を読み読了後にお互いの感想を楽しんだり、お互い読んでみて面白かった本をオススメし合うのも面白いと思います。邦訳版が手元にあれば英文と比較確認しながら読むこともできますし、なにより子供が読書を始めるキッカケにもなりますよね!

図書館にあったり中古で安く購入できる場合もありますし、表紙や挿絵が日本向けにアレンジされている翻訳版もあるので、日英で色々比較すると面白いです。

本だけでなく映像や関連記事も楽しむ!

アニメ、ドラマ、映画と合わせて楽しむ!

先に映像でイメージを付けてから読むのもあり

本記事では基本的に有名作・人気作を紹介しているので映像化されている作品が多数あります。 先に映画を見て内容を把握してから原作を読む、原作にハマったのでアニメも楽しむなど楽しみ方は千差万別です。原作とは展開が異なったり評判が悪い映像化作品も中にはありますが、ここから俳優にハマったり、色々な海外のレビュー記事を読んだりと広がりは無限大ですよ!

原作の映画化、またはその関連作などのPVをリスト化しておいたので、面白そうな作品を見つける手がかりにしてくださいね。ただしPVにはそれなりにネタバレが含まれているので注意してください。

▶ 映像化作品 PV一覧 (YouTube)

著者へのインタビュー動画やレビュー記事も楽しむ!

お気に入りの作品が見つかれば、著者のインタビューやBookレビューなどの動画や関連記事を読み聴きしてみてはいかがでしょう。動画は字幕がない場合も多いので難易度は高いですが、自分が読んでみて好きになった作品に関する内容ならモチベーション高く取り組めます!

洋書の読み方に悩む場合は

最初の指針は多読三原則もあり

英語多読 すべての悩みは量が解決する!
まずは「読書慣れ」が重要

「読みたい本は決まったけど、どのように読み進めれば良いか不安」という場合は、いわゆる多読三原則と呼ばれるSSS英語学習法ページの説明や多読関連の書籍を最初は参考にしてみると良いと思います。

【多読三原則】
  • 辞書不要 … 辞書を必要としないぐらい簡単な本から読み始める
  • 不明点は読み飛ばす … 不明点で都度止まらないように
  • 自分に合わない本は止める … 面白いと感じる本を読む

勉強目的であれば、不明点があれば辞書やネットで調べながら読む方が力が付くと思いますし今の私はそのようにしていますが、多読初期は洋書に慣れる事の方が重要だと思うので多読三原則を基本とするのは有りだと思います。読書慣れしてくれば自分で読み方を工夫できるようになりますしね。

闇雲に読み飛ばさない

この三原則では不明点の読み飛ばし推奨ですが、「辞書を使わなくても読める・理解できる難易度の本を選ぶこと」が大前提です。最初は長時間の読書に慣れるという意味でどんどん読み飛ばしても良いと思いますが、ある程度慣れてきたら本が自分にあった難易度か否か振り返ってみても良いと思います。もし 英文を読んでその場面が頭の中で想像できない場合、難易度が高すぎると判断しても良いのではないでしょうか。

多読や洋書関連の書籍は以下が参考になるかと思います。

「はやる気持ち」や「面倒くさいという気持ち」と付き合う

多読を始めた頃は「早くあの本・この本が読みたい!」と気持ちが急いていましたが、実力以上の本を読もうとして挫折しそうになったこともあります。そもそもネット上で「洋書 初心者 おすすめ」と検索して見つかる記事では、面白くともそれなりに難易度が高い本を薦めていることがあるので注意してください。焦って数万語の本をいきなり読もうとせず、簡単な本から少しずつ自分と本のレベルを上げていくほうがスムーズだと思います。

洋書で物語の世界に浸るのは楽しいです。楽しいのですが、私は「英文を読むのは面倒くさい」という気持ちが全く無いわけではありません。10冊読んでいても100冊読んでいても未知の語彙が登場すればやはりストレスですし、和書よりも洋書の方が読むスピードが遅いのでじれったく感じる時もあります。多読は簡単・楽しいという気持ちで洋書を読み始めると大変・面倒くさいという気持ちに押しつぶされるかもしれないので、最初は勉強のつもりで1日1時間取り組む、みたいな気概でいた方が良いのかもしれませんね。とはいえ読書はボキャビルや文法の勉強よりも楽しいので、勉強のつもりで取り組めば継続できますよ!

電子書籍はやっぱり便利

携帯性、検索性が抜群

もはや手放せない……! (個人の感想です)

私は Kindle Paperwhite と iPad で読書していますが、やはり電子書籍は

  • 持ち運びが楽
  • 未知語の検索が楽
  • 本を購入したらすぐ読める

上記の点で非常に便利です。特に iPad で読む時は (ネット環境に接続していれば) Web 検索が楽なので、辞書に掲載されていないような固有名詞でも画像や動画ですぐ調べられ楽です!

Kindle Paperwhite / Kindle Oasis
  • 軽くて持ち運びが楽
  • バッテリーの持ちが良い
  • 外でも読みやすく目が疲れない
  • 内蔵辞書ですぐに単語の意味が調べられる
  • 防水なので浴槽で読むことも可能

なにはともあれコレがないと始まらない。最初は読書の進捗具合が分かりづらいが、予想残り時間や進捗割合で把握できるので、そのうち慣れて気にならなくなる。端末は幾つか種類があるが予算を掛ければ掛けるほど便利になり、特に Kindle Oasis が一番快適なのは間違いない。私は Kindle PW (32GB、広告なし、Wi-Fi) を使っているが予算さえあれば Oasis が欲しい……!

ちなみに私はスマホと Kindle PW の背面に Bunker Ring を付けている。持ちやすくなるのでオススメ。さらに自宅ではタブレット スタンド ホルダーに Kindle PW、iPad、スマホを乗せている。こちらも便利。

iPad
  • Kindke、Audible、Scribd 対応
  • 画面が大きく英訳マンガや固定レイアウト本でも読みやすい
  • Netflix で海外ドラマを見たり英語ゲームアプリで楽しむことも可
  • Web検索が楽で、辞書では分かりにくい固有名詞 (動植物や地名、商品名など) は画像や動画で調べると分かりやすい

一時期に比べ随分価格が下がったので手を出しやすい。私はノーマルの iPad 利用しており、もはや手放せない。

検索すれば色々情報がでてくるが iPad + Apple Pencil を使いこなすと勉強効率がかなり向上するので、完全に使いこなすなら iPad Pro の方が良いかも。そうでないなら通常の iPad でも十分。入力中にも使いたいのであれば防水ケースもある。

Fire HD タブレット
  • コストパフォーマンスが良すぎる

機能に対して価格がとにかく安い! Audible が公式未対応なのは残念だが、 Kindle と Scribd は使える。HD 7 でも十分だが、Netflixなどの動画視聴や英語マンガを読むことも視野にいれるのであれば画面が大きい方が良い。HD 10 は値段が跳ね上がるのでバランスを考えると HD 8 か。というわけで、いきなり iPad はハードルが高いという場合は Fire タブレットで。

新規開拓するなら世界の文学賞を目安に

世界の児童文学賞

洋書・児童書は数多くあるので、いざ自分で本を探してみたいと思っても取っ掛かりがないと途方にくれてしまいますよね。自分で新たな作家や本を探したい場合は、まずは世界の文学賞を頼りにしてみると良いと思います。とはいえ文学賞も色々あるので、ここでは以下4種類の児童文学賞について簡単に紹介します。その他に全米図書賞 (National Book Awards) や ニューヨーク・タイムズ (NYT) ベストセラーリストなども参考になります。

  • ニューベリー賞 (米国)
  • エドガー賞 (米国)
  • カーネギー賞 (英国)
  • 国際アンデルセン賞

ニューベリー賞

ニューベリー賞 (Newbery Medal) とは1921年に創設された米国で最も権威のある児童書の賞の1つです。受賞作は Medal (メダル)、次点の作品は Honor (オナー) と呼ばれています。自分で新たな児童書を開拓したい場合はこの受賞作を試してみるのはオススメです。

2000年~2019年の受賞作を一覧にしておきます。 ちなみに本記事で紹介した受賞作は以下6作品です。

  • 1963年: A Wrinkle in Time (五次元世界のぼうけん)
  • 1968年: From the Mixed-Up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler (クローディアの秘密)
  • 1986年: Sarah, Plain and Tall (のっぽのサラ)
  • 1994年: The Giver (ギヴァー 記憶を注ぐ者)
  • 2005年: Kira-Kira (きらきら)
  • 2010年: When You Reach Me (きみに出会うとき)

エドガー賞

エドガー賞 (Edgar Awards) とは米国の推理作家団体であるアメリカ探偵作家クラブによって主催されているミステリー作品の文学賞です。エドガー・アラン・ポーにちなんで名付けられた賞で、長編部門、短編部門など複数の部門があります。ちなみにエドガー・アラン・ポーは日本の小説家である江戸川乱歩の名前の由来でもあります。

例えば1980年以降のジュブナイル部門の受賞作、そのなかでも邦訳版がある作品を一覧にしておきます (2019年3月時点)。本記事では以下2作品を紹介していますよ!

  • 1999年: Sammy Keyes and the Hotel Thief (少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒)
  • 2011年: The Buddy Files: The Case of the Lost Boy (名探偵犬バディ: 消えた少年のひみつ)

カーネギー賞

カーネギー賞 (Carnegie Medal) は、イギリスの図書館協会から贈られる権威ある児童文学賞です。図書館建設など様々な文化・教育分野へ貢献した実業家アンドリュー・カーネギーにちなんで名づけられています。本記事で紹介している受賞作は以下4作品です。

  • 1952年: The Borrowers (小人の冒険: 床下の小人たち)
  • 1958年: Tom’s Midnight Garden (トムは真夜中の庭で)
  • 1995年: His Dark Materials: Northern Lights (ライラの冒険: 黄金の羅針盤)
  • 2012年: A Monster Calls (怪物はささやく)

また、本記事で紹介している Coraline (コララインとボタンの魔女) の著者 Neil Gaiman は、The Graveyard Book でカーネギー賞 (2010年) とニューベリー賞 (2009年) を両方受賞しています。この作品にはフルキャスト版のオーディオブックもあるので、オーディオブック好きなら試してみてはいかがでしょう! その他の作品、例えば2000年~2018年の受賞作は以下の通りです。

国際アンデルセン賞

ハンス・クリスチャン・アンデルセンにちなんだこの賞は「小さなノーベル賞」とも呼ばれている国際的な児童文学賞で、隔年で作家・画家に対して授与されています。日本人作家もいますし、英語圏以外の作品でも英語に翻訳されている場合があります。本記事では以下作家の作品を紹介していますよ!

  • 1958年: Astrid Lindgren (代表作: 長くつ下のピッピ)

詳細は JBBYのページに掲載されていますが、2000年~2018年の受賞作家と作品例は以下の通りです。

受賞者作品例
2000年Ana Maria MachadoブラジルNI NA BONITA (くろってかわいい)
2002年Aidan ChambersイギリスDance on My Grave (おれの墓で踊れ)
2004年Martin WaddellアイルランドCan’t You Sleep, Little Bear? (ねむれないの?ちいくまくん)
2006年Margaret MahyニュージーランドThe Tricksters (クリスマスの魔術師)
2008年Jürg SchubigerスイスAls die Welt noch jung war und die anderen Geschichten (世界がまだ若かったころ)
2010年David AlmondイギリスSkellig (肩胛骨は翼のなごり)
2012年María Teresa AndruettoアルゼンチンLengua Madre
2014年上橋菜穂子日本Moribito: Guardian of the Spirit (精霊の守り人)
2016年曹文軒中国草房子 (サンサン)
2018年角野栄子日本Kiki’s delivery service (魔女の宅急便)

終わりに

興味のある分野で英語に触れる!

ここまで長々と洋書・児童書を紹介してきてなんですが、実は私は英語のゲーム、マンガ、ライトノベルが学習のモチベーション維持に役立ちました。ビジネス書でもニュースでもドラマでもアニメでも料理でも自分の興味がある分野で取り組むのが一番だと思います!

参考になるかわかりませんが……

私が一般のペーパーバックを読み始めるまでの大まかな経緯を以下の通りです。

  1. TOEIC L&R 600~700点ぐらいまでは多読せず勉強のみ。当時の語彙数は5000語ほど。ボキャビルは DUO 3.0 の540例文を丸暗記、文法は Forest (現 Evergreen) で勉強。
  2. 語彙制限本 (Graded Readers、GR) で100万語を目指したが、(自分にとっては) 面白い本が少なくて50万語ぐらいで挫折しそうになる
  3. ためしに英語でRPGゲームを始めてみたら理解度50%~60%ぐらいではあったが楽しめることに気づき、50時間ほどでクリアする (辞書は使わず、まさに多読三原則的な読み方をしていた)
  4. その後、数百時間ほど英語でゲームをする (途中で挫折したゲームも多い……)
  5. ゲームと並行して英語のマンガも読み始め、Netflixでドラマやアニメも英語で見始める
  6. 英語のライトノベルを読み始めつつ、SVL12000でのボキャビルも進め語彙数を1万超まで増やしていく
  7. 一般のペーパーバックも読み始める

他にも英語上達完全マップを参考に瞬間英作文などもしていましたが、多読に関しては、今思えば GR はほどほどにして簡単な児童書や英語の絵本から読み始めていれば良かった気がしています。

現在も多読と並行しながら Anki でボキャビルをしたり、文法・精読などの勉強も継続しています。語彙や文法を覚える → 読書中に覚えた表現に出合う → 嬉しい & 具体的な単語や熟語の使い方が学べる → もっと語彙や文法を覚えたくなる、というような好循環が得られるので、個人的には多読・多聴と勉強を並行して行っていくのはオススメです。

以上!