【英語でゲーム】 シルバー事件の感想
英語版 シルバー事件 (HDリマスター)
概要
kill the past
英語タイトル | The Silver Case |
ジャンル | アドベンチャー |
私のプレイ時間 | 約16時間 (ストーリーの達成度 100% までプレイ) |
機種 | PC (Steam)、PS4、Switch |
計画都市「24区」に蘇る伝説の殺人鬼
舞台は 1999 年の社会主義国家「カントウ」に存在する、環境から住人にいたるまで全てが計画的に作り上げられた都市「24区」。公安特殊部隊で活動する主人公は、成り行きで凶悪犯罪課にスカウトされ、20 年前に起こった政府高官の大量暗殺事件「シルバー事件」、そしてその犯人ウエハラ・カムイに関わることになる。果たしてカムイは復活したのか? 事件の裏に存在する意図とは何なのか? 主人公は流されるまま、その真相と向き合う事になる――。
シルバー事件は 1999 年に PlayStation で発売されたアドベンチャーゲーム。2016 年に HD リマスター版が発売され、続編である携帯アプリ「シルバー事件25区」もフルリメイクされ PC や PS4、Switch で販売されている。
シルバー事件 | 1 作目。HD リマスター版がある |
シルバー事件25区 | 2 作目。携帯アプリだったが、フルリメイク版がある |
シルバー2425 | 1 作目と 2 作目のセット |
英語でプレイするには
Steam のHD リマスター版の字幕は英語・日本語に対応しており、ゲーム内の設定から変更可能。音声は無し。一方 PS4/Switch 版は多言語対応していないので、英語でプレイするには北米版ソフトをプレイする必要がある。
ゲームの特徴
斬新な演出とシナリオ
フィルム・ウィンドウ
本作の一番の魅力は、フィルム・ウィンドウと呼ばれる斬新な映像演出。基本的にストーリー重視でゲーム性は低い本作だが、複数のウィンドウを画面内に表示し、会話シーンに合わせた演出がなされ、一般的なビジュアルノベルとは異なった魅力を生み出している。
物語の舞台となる24区は、政党・団体による権力闘争が繰り広げられていたり、市民格差が存在したりと、不安定でありながらも舞台として魅力的。各登場人物の背景にもそれぞれ事情があり、衝撃的な展開が待ち受けている。
なお、物語は凶悪犯罪課にスカウトされた主人公が体験するメインストーリー “Transmitter” と、フリーライターであるモリシマ・トキオが体験するサブストーリー “Placebo” の、2 つの視点から語られる。メインストーリーだけ先にプレイすることもできるが、サブシナリオで明かされる内容もあるので、メインとサブを交互にプレイした方が物語を理解しやすい。
操作パートと会話パート
謎解きもあるが、自力で解かなくても良い
本作はノベルゲーム的な会話パートと、移動や調査を行う捜査パートが交互に繰り返される構成になっている。また、捜査パートではパスワード当てのような謎解き要素がいくつか存在する。謎解きはそんなに難しい内容ではないので少し考えれば自力で解けるレベルだが、虫眼鏡マークをクリックすると答えが自動入力される親切設計になっている。苦手なら虫眼鏡マークを押してさっさと進んでも良い。
なお、セーブは会話パートではできず、捜査パート時のみ可能なのでタイミングに注意。
英語の題材として
英文よりも内容自体が少し難しい
難単語は多くなく英文の構造も比較的シンプルだが、以下の要素により難易度は少し高い。
- 警察、クライム系の専門用語が多い
- 地区名、部署名、肩書の英語が定期的に使われる
- 言葉遣いが悪く、スラングが多い
また、ストーリーの中盤以降は話が複雑になり、会話内容も抽象的だったり断片的だったりするので英文の内容を読み取るのは難易度が少し高くなる。ただ、これは英文が難しいというより、内容自体が分かりづらいという感じ。ゲームの途中でも話が分からなくなってきたら、ネタバレサイトや考察サイトで物語の概要を確認するのもありかもしれない。
遭遇した表現を一部紹介
TGIF
(花の金曜日だ)
帰宅中に事件に出くわし、せっかくの金曜日の夜が台無しになったと捜査官の Kusabi が発言した場面。
“Thank God, it’s Friday!” の略。週末を迎える解放感を表した間投詞。
every nook and cranny
(どんな物陰や隙間も、隅々まで)
事件現場で不審な事が起こったので、隅々まで調べろと主人公が指示を受けた場面。
“nook” は「人目につかない場所」、”cranny” は「割れ目」の意。
全体的な感想 (ネタバレ若干あり)
斬新さとテンポの悪さ
斬新な演出と衝撃な展開は面白い
まずゲームを始めた直後は、複数のウィンドウが配置された斬新な会話演出には驚かされると共に、操作方法が良く分からないし登場人物が多いしでイマイチ面白さが分からなかった。しかしゲームを進めていくうちに癖のある操作方法には慣れ、シナリオも Case #1 に入って面白さを感じてきた。
全体的に予想のつかない展開に深まる謎で先が気になるシナリオだったし、メイン・サブ両方の話しを読むことで複雑な物語が徐々に輪郭をもって理解できてくるという体験はなかなか得難いものだった。終盤の各キャラクター達の辿る結末は衝撃的で、思わず声を出してしまう場面が何回もあり、本作の評価が高い要素を存分に味わうことができたかなと思う。
不満点
最初はリアルなクライム系のストーリーかと思っていたが、死者の残留思念や、メディアで伝搬する犯罪力 (犯罪を実行する因子) のような要素が出てきて思ったより SF が強くて残念ではあった。あと、主人公はしゃべらないので基本的に存在感がなかったのも残念。
また、操作性はかなり悪いと思った。特にプレイ中に気になったのは以下。
- 移動・視点移動が面倒
- シーン移動の演出が過剰。かつ何度も繰り返されるのでテンポが悪い
- 会話パートはセーブ不可
まぁ複雑な操作は要求されないし、ストーリーと演出メインの作品なので、一度プレイしてみても良いゲームだとは思う。その他、個人的にオススメのノベル・アドベンチャーはこちら「英語ノベルゲームリスト」。
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管理人 矢月
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