【英語でゲーム】 極限脱出 刻のジレンマの感想
英語版 刻のジレンマ
概要
これは人類の存亡をかけたゲームだ
英語タイトル | Zero Escape: Zero Time Dilemma |
ジャンル | 脱出×サスペンス |
私のプレイ時間 | 約21時間 (全実績解除) |
機種 | PC (Steam)、PS4、PS Vita、3DS |
6人死なないと脱出できない
2028年12月31日。火星共同生活実験「Dcom」が始まって6日、実験に参加者していた 9 人は 2 番目のゼロを名乗る人物に監禁された。脱出するには X ドアを開かなければならない。しかし、X ドアを開くためのパスワードを揃えるには参加者 6 人の命が必要だといわれ、強制的にディシジョンゲームに参加させられる。そして彼らの決断には、全人類 80 億人の未来が掛かっていた――。
極限脱出シリーズ3部作
刻のジレンマは極限脱出シリーズ 3 部作の 3 作目。時系列は 2 作目のエンディングの直後であり、過去 2 作の主人公が登場する。ストーリーも過去作からの続きであり、ある程度は伏線の回収もされているので今作は最後にプレイした方が良い。
1作目 | 極限脱出 9時間9人9の扉 | Nine Hours, Nine Persons, Nine Doors |
2作目 | 極限脱出ADV 善人シボウデス | Zero Escape: Virtue’s Last Reward |
3作目 | ZERO ESCAPE 刻のジレンマ | Zero Time Dilemma |
1作目+2作目 | ダブルパック (他機種への移植版) | Zero Escape: The Nonary Games |
英語でプレイするには
北米でも販売されているのでそちらを購入すれば英語でプレイ可能。また、Steam 版は多言語対応しているので日英でプレイできる。
ゲーム内容
シネマパート
まるで海外ドラマ
ゲームの流れは、会話パート (シネマパート)、脱出ゲーム (クエストパート)、分岐選択 (ディシジョンパート) を繰り返していく形。
シネマパートは過去作の会話パートよりもストーリー演出がパワーアップしており、フルボイスのイベントムービーが自動進行していく。地の文がなくすべて会話劇で、3D モデルも前作から大幅に進化しているのでまるで海外ドラマを見ているような感覚で面白い。ディシジョンパートは、基本的には選択肢を選んだり対象の名前を入力するだけなのであまり難しくはない。
注意点は、今作は死亡描写がグロいというかエグい事。電動ノコギリとか酸とか血がブシャーとか。耐性がない人には少しキツイい。いやぁ、酸はないでしょう、酸は……。
キャラクター
捕らわれの人数は今作も 9 人。9 人が 3 チーム (C チーム、Q チーム、D チーム) に分かれ、チーム単位でストーリーが進んでいく。ちなみに過去作の主人公たちが計 4 人参加しているため、新規キャラクターは 5 人。5 人とも独特の個性があるのでバランスは良かったと思う。各キャラクター名とチームは以下の通り。
チーム | 日本語 | 英語 | |
---|---|---|---|
C | カルロス | Carlos | 熱血漢の男性。C チームのリーダー |
茜 | Akane | 1 作目のヒロイン | |
淳平 | Junpei | 1 作目の主人公 | |
Q | Q | Q | 謎の人物。Q チームのリーダー |
ミラ | Mira | 妖しい魅力がある女性 | |
エリック | Eric | 情緒不安定な男性 | |
D | ダイアナ | Diana | 温和な女性。D チームのリーダー |
ファイ | Phi | 2 作目の相棒 | |
シグマ | Sigma | 2 作目の主人公 |
時系列バラバラにストーリーを追う
過去 90 分の記憶を失う薬物
今作では 3 チームのシナリオを時系列バラバラに進めていく。各シナリオ開始時点ではフローチャートで時系列を確認することができないので、過去に起きた状況が分からず、また複数のシナリオを進めていくと誰がいつ何をしたのかという事が曖昧になってくる。
一方、参加者 9 人の腕にはバングルが装着されており、直近 90 分間の記憶を消す記憶消去薬が仕込まれている。もし彼らが 1 つのクエストをクリアしても、最後にゼロによって記憶を消去されてしまう。例え仲間の命が失われていようとも次のシナリオではキャラクター達はその事を忘れ、すでに死亡している仲間を探し始めるという状況もあり、混乱した状況が見て取れる。
すると、プレーヤーである自分の記憶の混濁具合が、記憶を消去させられたキャラクター達の混乱と似た状況になっており、奇妙な一致を感じることができる。この辺りはうまい仕組みだと思った。
クエストパート (脱出ゲーム)
総数は減ったが難易度は程よい
今作でプレイできる脱出ゲームは、1 作目より難しく 2 作目より少し簡単というレベルで程よい難易度となっている。 おかげで、2 作目善人シボウデスよりは自力で解けた割合は高かったと思う。まぁ私が自力で解いたのは 9 割ぐらいで、残り 1 割は攻略情報で調べたけど……。どうしても閃き頼りの問題があるので、詰まったら攻略情報に頼るのはあり。ただ、終盤は脱出ゲームが殆どなかったので、過去作よりもストーリー重視になっていたと感じる。
ありがたかったのは、脱出ゲーム時の会話もログで見直せるようになった事。ついついセリフを読み飛ばしてしまうことがあるので、見逃してしまったセリフが見返せるのは助かった。
英語の題材として
3部作の中では一番簡単
前作「善人シボウデス」では英文の難易度が高いと思ったが、今作では以下の特徴があり 3 部作の中で一番英文の難易度は低いと感じた。バックログでは音声の再生も可能になっていたこともありがたい。もちろん、とこどころ SF 展開やウイルス関連の話が出てくるので部分的に難しい箇所はあった。
- 地の文が無くなり読みやすい
- 会話のみなので複雑な英文が少ない
- スラングや難しい言い回しを言うキャラが少ない (Phi と Junpei と Carlos のセリフは少し難しいが……)
会話が自動で進むので、読むスピードは求められる
今作では海外ドラマを見ているかのように自動で会話が進む。それはそれで良いのだが、複雑な英文や知らない表現が出てきて悩んでもすぐ次のセリフに移ってしまう。読み直したい時は下ボタン (コントローラー操作時) で会話ログを出さないといけないのは面倒だった。ここは英語学習的にはマイナスポイント。
とはいえ難しい英文は少ないし、登場人物の 4 人が過去作のキャラクターで、ストーリーの背景も過去作を踏襲しているので序盤から話自体が理解しやすいという利点もある。前作を英語でプレイしていれば、今作も問題なく英語でプレイできるという印象。
遭遇した表現を一部紹介
The plot thickens.
(話が面白くなってきた、佳境に入ってきた)
チームの仲間が他チームを裏切る選択をしたときに Mira が皮肉で発言した内容。
物語の筋が濃くなったという意味で、話が面白くなってきた時やクライマックスに近づいてきた時などに使う。
get up there
(年を取った)
箱が重くて持ち上げられなかった Sigma に対して、Phi が「年を取ったな」と茶化した場面。前作をプレイ済だと笑える。面白い。
“get up there” だけだと色々な意味が考えられるので、文脈に応じて考えなければならない。今回は「年を取った」という意味になっただけ。
someone’s pants are on fire.
(嘘をつくと尻に火がつくぞ)
嘘をついた Phi に対して Sigma がツッコミを入れた場面。この Phi の嘘も前作をプレイ済だと笑える。面白すぎる。
“pants on fire” だけなら「尻に火がついて、慌てふためいて」という意味だが、子供に対して「嘘をつくとお尻に火がつくよ」という言い回しがあることから、嘘つきに対するツッコミとして使える。
Down the hatch!
(ぐっと飲め、乾杯)
解毒剤を入手した後、「よし、飲もう」という意味で Carlos が使用。
口を船のハッチ (昇降口) に見立てた表現。飲み物・アルコールを一気に飲む時に使う表現。
You’re one to talk.
(あなたには言われたくない)
最後に会ってから 1 年間で、ずいぶん変わってしまったと Akane が Junpei に言った後、「君に言われたくない」とJunpei が言い返した時に使った表現。
自分の事を棚に上げて発言した人に言い返す時に使える。便利。
The pot calls the kettle black.
(目糞鼻糞を笑う、五十歩百歩)
Carlos が、「この出来事は奇妙だ!」と突然叫びだしたので、奇妙なのは Carlos も同じだろうと思った Junpei が使った表現。
「煤で黒くなったポットがヤカンのことを煤で真っ黒だ」と揶揄しても、どっちもどっちだという事。”pot calling kettle” とか “the kettle black” だけのように省略されて使われることも多い。
(rise) 数 to the 数詞 power
(~乗)
2 の 4 乗の計算をした Akane が使った表現。
例えば 4 の 3 乗なら “four to the third power (4 to the 3rd power)”。ただし、二乗・三乗の場合は “squared ” と “cubed” を使うこともできる。4 の二乗と三乗なら “4 squared” と “4 cubed” になる。
on the tip one’s tongue
(のどまで出かかっている)
パスワードが思い出せそうで思い出せない Carlos が使った表現。
「思い出せそうで思い出せない時」と、「言いそうになりつつも、(言ってはいけないので) 言わなかった時」に使える表現。
全体的な感想
ストーリー
新たな問題は出たものの、前作から続くストーリーも一応は一区切りついて良かった。SF 設定は相変わらずというか、さらに強化されて滅茶苦茶に感じた部分もある。直近 90 分間の記憶を消す薬とか、さすがに都合良すませんかね……? とはいえ、ストーリー自体はなかなか面白かった。特に一部ルートでは前作との繋がりを示す道ができており、色々と腑に落ちたり驚いた事実もあり興味深かった。
Q の正体や施設の仕組みなど、私は最後まで気づかなかったので明かされた時は驚いたが、思い返してみれば色々と伏線が張ってあったので気づかなかったのは悔しいところ……。ちなみに TRUE End 後、数人の後日談が File に追加されていたが見逃すところだった……。とりあえず、もっと彼らの後日談が読みたいと思うぐらいには熱中できたゲームだった。
キャラクター
ゲームを始めると 9 人の登場人物と Zero が現れたが、まず思ったことは以下 2 点。
- Phi がカッコよくて良い!!
- え? この斜に構えた男性は Junpei なの!? 何があった??
前作で Phi が気に入っていたので、大幅に進化した 3D モデルの Phi に少し感動してしまった。 また、前作では他人に意見を聞いてばかりの Sigma が頼もしくなっていたし、Phi と Sigma がお互い気心しれた雰囲気が出ていて見ていて楽しかった。Phi が見当たらず取り乱す Sigma や、その逆で Sigma を心配する Phi が見れて満足。
しかし一番驚いたのは Junpei。過去作ではイマイチ魅力がなかった Akane も今作では凛としていて良かったが、やはり Junpei のやさぐれ具合は驚いた。どうした、お前……? しかし過去作をプレイしてきた身としては、Junpei と Akane が会話している場面が見れてうれしかった。ただ、君たちもう少し他人に優しくなろうね。ちょっと自己中心的じゃないかな……。Seven や Lotus など 1 作目の他のキャラクターに言及があったのも良かったが、一部言及がない人物たちもいたのは少し残念。え? あの人達結局どうなったの……?
今作からの新キャラもみんな個性が出ていたが、個人的には Carlos が気に入った。熱血漢で良いヤツ……。Junpei と Akane に挟まれて大変だったろうに、よく頑張ってくれた。
極限脱出シリーズ
シリーズ 3 部作を英語でプレイしてきて、難がある操作性や SF 設定による超展開などがあったので不満が無いわけではない。しかし自分には程良い難易度の英文、頑張れば自力で解ける脱出ゲーム、驚きとどんでん返しがあるストーリーと、シリーズを十分楽しむことができたので大変満足できた……!
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管理人 矢月
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