命が掛かった脱出ゲームとアドベンチャーゲームが合わさった極限脱出シリーズ。海外でも評価の高いこのシリーズの1作目、9時間9人9の扉を英語でプレイしてクリアしたので、簡単に内容を書いておきます!

続編「善人シボウデス」の感想や、他のノベル・アドベンチャーゲームにも興味があれば「英語ノベルゲーム19選」を見てくださいね。

英語版 極限脱出 9時間9人9の扉

概要

【9】の扉を開かなければ全員死亡!

英語タイトルNine Hours, Nine Persons, Nine Doors
ジャンル脱出×サスペンス
私のプレイ時間約19時間 (全ルートクリア)
機種PC (Steam)PS4、PS Vita、DS
生死をかけた非情なデスゲーム

謎の人物「ゼロ」に拉致され、見知らぬ部屋で目覚めた主人公の淳平。室内に仕掛けられた仕掛けを解き通路へ移動すると、自分と同じ境遇の男女8人と遭遇する。ゼロからの指示は、9 時間以内に 9 と書かれた扉を開いて脱出すること。目的も手段も分からぬデスゲームに捕らわれた個性的な 9 人が、命を懸けて脱出ゲームに挑む。

極限脱出シリーズ3部作

9時間9人9の扉は極限脱出シリーズ 3 部作の 1 作目で、2009 年に DS で発売されている。その後 2017 年に、 1 作目 と 2 作目をセットにしたダブルパック版が Steam、PS4、PS Vita で発売された。ちなみにダブルパック版は会話パートのフルボイス化 (日英選択可) やフローチャートなどの機能追加が行われている。

1作目極限脱出 9時間9人9の扉Nine Hours, Nine Persons, Nine Doors
2作目極限脱出ADV 善人シボウデスZero Escape: Virtue’s Last Reward
3作目ZERO ESCAPE 刻のジレンマZero Time Dilemma
1作目+2作目ダブルパック (他機種への移植版)Zero Escape: The Nonary Games
英語でプレイするには

DS 版 および PS4 / PS Vita 版 (ダブルパック) は北米でも販売されているので、そちらを購入すれば英語でプレイ可能。また、Steam 版 (ダブルパック) は多言語対応しているので日英でプレイできる。

以下、ダブルパック版の内容に基づいて記載していく。

ゲーム内容

数字根 (Digital Root)

数字に頭を悩ませる

本作の脱出ゲームでは「数字根 (Digital Root)」と呼ばれる考え方が使われている。複数の数字を足し、和が 2 桁以上なら各位の数字をまた足すという操作を繰り返し、最終的に得られた 1 桁の数字が数字根である。

例えば 7、2、4、1 を組み合わせると数字根として 5 が得られる。

  • 「7 + 2 + 4 + 1 = 14」 → 「1 + 4 = 5」

ゲーム開始時に捕らわれた 9 人はそれぞれ 1 ~ 9 までの番号が割り振られており、メンバーの組み合わせで数字根を求める場面が多々出てきた。とは言え、細かい計算自体はキャラクター達がしてくれるし、数字根を求める計算機もゲーム内にあるので、会話パートではこの計算を自力でやる必要はあまりなかった。良かった……。

キャラクターの名前と番号

プレイ開始直後は捕らわれた 9 人の名前を覚えるのが面倒だと思っていたのだが、実際はそんなことなかった。彼らは与えられた番号に由来したコードネームを名乗ることになるので、かなり覚えやすかった。なお主人公は 5 番だが、序盤に名前バレするのでコードネームは無い。

ちなみに日英でコードネームは異なる。以下がその一覧。

番号日本語英語英語コードネームの由来
1一宮Aceトランプの 1
2ニルスSnakeスネークアイズ (2 つの サイコロの 1 のゾロ目のこと)
3サンタSanta日本語の 3
4四葉Clover四つ葉のクローバー
5淳平Jumpeiコードネームなし (主人公)
6June6 月
7セブンSeven英語の 7
8八代Lotusロータス (蓮) の花弁の枚数 (8)
99番の男9th man9 番目

会話パートでは進路を決める

どの扉に進めば良いのか

ゲームは会話パートと脱出ゲームパートを交互に繰り返しながら進んでいく。会話パートでは状況の確認をし、最後に自分が進みたい扉を選ぶことになる。

ただし特定の扉に進むには、「扉に記載された数字」と「その扉を進むメンバーの数字根」を合わせる必要がある。例えば [5] の扉に進むなら「7、2、4 、1」 の 4 人や「6、5、3」の 3 人という組み合わせで進まなくてはいけない。本作はマルチエンディングなのでどのルートを誰と進んでいくのかはかなり重要。常に悩み考えながらプレイするのは大変ながらも楽しい要素だった。

脱出ゲームパート

数字根がキーとなるパズルゲーム

閉じ込められた空間かするために、様々な脱出ゲームをクリアしていく必要がある。基本的に脱出ゲームは以下の手順を繰り返し先に進んでいく。

  1. 部屋を探索しアイテムを見つける
  2. アイテムを利用してパズルを解く
難易度はそこまで高くないが

脱出ゲームの内容は多岐に渡ったが難易度自体はそこまで高くなく、私もほとんどは自力で解くことができた。3 つほど攻略サイトに頼ったが……。全部自力で解けなかったのは悔しい……。

まぁ閃くか否かが勝負という問題もあったので、5 分以上詰まったら攻略サイトで答えを確認した方がストレスたまらないと思う。

英語の題材として

表現は少し難しいかも

会話多めなこともあり一文は長くなく、文法も特別難しくはなかった。英単語や表現も序盤は難しいと思わなかったが、ストーリーが進につれて難しめの単語や表現の割合は増えてき気はする。

とは言え、本作は脱出パートの操作も多く一般的なノベルゲームやアドベンチャーゲームよりも英文量が少ないので、そこまで難しくもない。総じて、簡単ではないが難しくもない、という印象。

英文が難しいと感じたら

英語でプレイするにあたり、以下の設定で多少負担を軽くすることができる。

  • 会話パートを「アドベンチャーモード」にする
  • 音声を日本語にする

会話パートは「ノベルモード」と「アドベンチャーモード」の 2 種類から選ぶことができる。ノベルモードは地の文まで表示されるので細かい状況まで知ることができる。一方アドベンチャーモードは画面下部のウインドウに会話文のみ表示されるので、テンポよく進めることができる。

自分はストーリー理解や英語の勉強のめにノベルモードでプレイしたが、ぶっちゃけ地の文は読まなくてもゲームの進行には支障無いので、大量の英文を読むのに慣れていないならアドベンチャーモードで進行すると負担が減るハズ。

また、英語音声は演技が良かったし発音も確認できたのでお勧めだが、知らない英単語や表現が多くて辞書で調べるのが大変という事であれば日本語ボイスに変更しても良いと思う。

遭遇した表現を一部紹介

follow suit

(先例に倣う、後に続く、真似をする)

他のメンバーがポケットを探って紙を取り出したのを見て、自分も真似して紙を探したときに使われた表現。

“suit” とはトランプのマーク (ダイヤ、ハート、クラブ、スペード) のこと。前の人と同じマークのカードを出すことを “follow suit” という。ここから、先例に倣って行動するという意味にもなった模様。

give it a shot

(試しにやってみる)

船に閉じ込められた 9 人のメンバーが議論でもめた際、行動しないと始まらないと思った大男が、とにかく試しにやってみようという意味で使った表現。

ring a bell

(心当たりがある)

特定の話題が出た時に、その話題に心当たりがあるか否か聞いたときに使われた表現。

in lieu of

(~の代わりに)

先ほど通過した仕掛け扉とは異なる仕組みの扉を見つけ、先ほどの仕掛け装置の代わりに別のデバイスがついている、という意味で使用された表現。

toot one’s own horn

(自慢する)

自分の聴力が優れていることを伝える際、「自慢するわけではないが…」と断りを入れた時に使った表現。

“toot” はラッパを吹くという意味があり、horn は楽器のホルン (笛) の事。本来は「ラッパを吹く」という意味の表現だが、比喩表現で「(ラッパを吹くように) 自慢をする」 という意味にもなる。

be at it again

(また同じことやっているよ)

しょっちゅう喧嘩するメンバーを見て、サンタが呆れて発言した場面。

“be at it” で「取り組む」という意味になる。そこに “again” がつくことで「またやっている」という意味になる。

while someone is at it

(ついでに)

“nonary” (9 の数詞) の意味を説明した後、ついでに “uni” が 1 の数詞であることを説明している場面。

「○○に取り組んでいる間に (××をする)」という使われ方になるので、日本語では「ついでに」という表現がピッタリ。

for crying out loud

(まったくもう)

呆れ・苛立ちなどを感じた時に使う表現。ゲームやアニメでよく見かける。

Cross my heart (and hope to die).

(神に誓う。ウソだったら死んでもいい。)

相手にある約束をした後、「本当に?」と念押しされ、その時に返した表現。

胸に十字を切って神に誓う動作が由来。

全体的な感想

ストーリー

緊張感のあるストーリー展開と脱出ゲームの組み合わせは面白く、序盤から終盤手前まではテンポも良く、登場人物の背景なども気になる要素が多く面白かった。脱出ゲームの難易度も高くなく、フローチャートのおかげで周回も簡単だったも良い。

あえて不満点を挙げるなら、特定のルートだと突然キャラクターたちが頭の悪い行動をし始めたり、説明過多になってテンポが著しく悪くなったりと、終盤は少し残念に思った部分がいくらかあったこと。中盤までは本当に良かっただけに、最後まで勢いを保っていてほしかった。

また、脱出ゲームが題材なのでストーリーも理論的なサスペンスなのかと思いきや実は SF だったりする。あまり理屈で突き詰めるストーリーではないので細かいことを考えずに楽しんだ方が良いが、気になる人は気になるかも。

キャラクター

いきなり 9 人ものキャラクターが登場するが、それぞれ独自の個性がありキャラクターが立っている。バングル番号からコードネームが取られていることもあり、名前と番号をセットで覚えられるのも良かった。

ただ、主人公とヒロインについては序盤でもう少し背景の描写が欲しかった。ルート選択次第では彼らの行動が唐突と感じる部分もあったし、全体的に見ても主人公とヒロインの態度には少し違和感を覚えた。逆に Snake と Clover は個人的に好きになったキャラクター。彼らの活躍はなかなか良かったと思う。

システム

これはクリア後にネタバレサイトを巡回して知ったのだが、最初に発売された DS 版では 2 画面の特性を活かし、会話パートは上画面でアドベンチャーモード、下画面でノベルモードを同時に表示していたらしい。ネタバレになるので詳細は避けるが、このあたりがゲーム終盤の演出に影響を与える部分があったので、DS 版でプレイしていたらまた違った感動を味わえていたのだなぁ……とうらやましく思う。

とはいえ、移植版で追加されたフローチャートは必須。マルチエンディングで周回プレイが必須なので、好きなシーンに飛べるこの機能がないとツライ……。DS 版を入手するのも大変なので、やはり操作性が良い移植版でのプレイをオススメする。