1948 年に米国で出版された後、日本で人形劇・アニメ化もされたことがある「My Father’s Dragon (エルマーのぼうけん)」。

インパクトのある竜のイラストや、猫や竜がしゃべる不思議が魅力のシリーズ。3 冊で完結するので、短めのファンタジーを読みたい時におすすめです。

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My Father’s Dragon シリーズ

概要

日本語タイトルエルマーのぼうけん
著者Ruth Stiles Gannett (ルース・スタイルス・ガネット)
巻数全3巻
YL3.2~3.5
語数各巻 約7,000~約7,800 語 (計22,484語)
捕らわれの竜を救え!

My Father’s Dragon は、野良猫から捕らわれの竜の存在を聞いた Elmer が、動物達が住まう島に竜を助けに行くという冒険物語。米国では 1948 年に発表され、ニューベリー賞優秀賞など権威ある賞にも選ばれている。その後続巻が発売され、全 3 巻の物語となった。ちなみに挿絵は、著者の義理の母親 ルース・クリスマン・ガネット。

個人的には 1 巻一番面白かったかな。動物に命を狙われるスリルがあって面白かった。次いで 3 巻。こちらは世間に存在が認知されていない竜が、人間に見つかりそうになるピンチが描かれていたし大団円巻もあって良かった。なのでこのシリーズを読むなら、1 巻だけ読むか、 3 冊全部読むかがおすすめ。

しかし竜のデザインというか、色合いはスゴイ。胴体は黄と青の縞模様、角と足は赤く、翼は金色というなんとも奇抜な色合いでインパクトはあるよね……。しかも第 3 巻では竜の家族が登場するが、兄弟姉妹の柄が全員違う。そんな柄になるんか! という驚きと面白さもあった。まぁ少なくとも見分けやすくはあるね (笑。

英文は意外に難しい。語彙自体はそこまで難しくないのだが、接続詞や倒置・挿入が多く、一文が長いので英文構造を掴むのに慣れてないと苦労する感じ。ただ、主語・動詞を見極める訓練になるので、英語多読の題材として良いと思う。

主な登場人物

1 巻の主な登場キャラクターとしては以下。Elmer 以外に固有名詞を持つ登場キャラクターはほぼいない。一応、3 巻で竜の名前は登場するが、重要な要素ではない。

Elmer Elevator主人公。物語は彼が 9 才の時に年老いた猫と出会って始まる
Old alley cat年老いた野良猫。旅行が趣味で、道中立ち寄った島で捕らわれの竜と出会った
Dragon雲から Wild Island に落ち、動物に捕らわれた幼い竜

各巻の導入のあらすじと簡単な感想

YL (読みやすさレベル) は自己評価。語数は AR BookFinder より。
#1: My Father’s Dragon
YL3.3
総語数7,682
邦訳エルマーのぼうけん

Elmer がまだ子供の頃、彼は老いた野良猫と仲良くなった。彼が飛行機で空を飛びたいと将来の夢を告げると、猫はとある島の話を始めた。その島には幼い竜が悪い動物達に捕らわれている。竜を助け出せば、きっと君を背に乗せて空を飛んでくれるよ、と――。

エルマーが捕らわれの竜を助けるという冒険譚。動物達は普通に喋るしチューインガムを噛んだりもする不思議な世界観だが、エルマーが体験する冒険はなかなか過酷で面白い。密航したりライオンやイノシシ達に命を狙われていたりと児童書ながらスリルがあり、いかに機転を聞かせて危機を脱するのかという部分が見どころだったかな。なお、主役はエルマーだが語り手はエルマーの子供。つまり、子供が父親エルマーの少年時代の活躍を語るという形式。英文は、語彙はそこまで難しくなかったけど倒置や挿入が多かったかな。英文構造を掴む訓練になると思う。

#2: Elmer and the Dragon
YL3.2
総語数7,019
邦訳エルマーとりゅう

猛獣達から助けてもらった竜は、Elmer を彼の望む場所に連れて行ってあげることにし、彼の家へ向けて飛び立った。しかし道中嵐に遭遇し、見知らぬ島にたどり着く。しかしそこには、何者かが暮らしていた痕跡が残されていた――。

1 巻の直後、Wild Island から竜と共に脱出した場面から物語は始まる。以前 My Father’s Dragon を読んだ時は、2 巻以降は読んでおらず、Elmer と竜はそのまま家に帰ったのかなと思っていたけど、実は結構危ない目に合っていたようだ……! ただ、1 巻と比べるとほのぼのした物語で、緊迫感はなかったかな。まぁ Elmer は大変な冒険をした後だし、こういうのもありだろう。なお、1 巻とは異なり 2、3 巻は三人称一視点での語りとなっていた。

#3: The Dragons of Blueland
YL3.5
総語数7,783
邦訳エルマーと16ぴきのりゅう

Elmer を無事に家まで届けた竜は、遂に自分の住処 Blueland 山へと向かった。その山は砂嵐が絶えない砂漠に囲まれており、今まで人間に到達できない場所であった、しかし竜が砂漠に着くと、砂嵐がまったく見当たらない。このままでは人間に竜の存在が露見してしまうと、竜は不安になるのであった――。

2 巻の直後、Elmer を家に届けた直後から。遂に竜が住処に戻り家族と合流するまでが描かれていたが、道中は一筋縄と行かず、住処も危機的状況に陥っていた。思っていたよりも緊迫した状況が描かれており、最後まで興味を持って読み進められて面白かったし、最終的に竜達はどうなったのかなと想像の余地がある終わり方も良かった。あと、竜は随分カラフルだと思っていたけど、それは親から譲り受けたようだ。竜の家族も本作には出てきたが、兄弟・姉妹もそれぞれ独特な模様でくすっと笑ってしまったし、イラストも面白かった。でも英文は、シリーズの中では一番言い回しが難しかったかな。

3 冊セットのコレクション版

My Father’s Dragon シリーズは 3 冊まとめたコレクション版もある。また、古い作品なので探せば結構安い値段で各巻が販売されている場合もある。どれも中身は一緒のはずなので、表紙が気に入った本を選ぶのが良いと思う。

電子書籍 (Kindle)Three Tales of My Father’s Dragon
オーディオブックThree Tales of My Father’s Dragon

ちなみにMy Father’s Dragon 第 1 巻のオーディオブックは聴き放題になっていたりする。聴き放題対象の洋書などの情報はこちら

My Father’s Dragon シリーズ 語数・YL 一覧

No.YL語数タイトル出版年
13.37,682My Father’s Dragon1948
23.27,019Elmer and the Dragon1950
33.57,783The Dragons of Blueland1951
YL は自己評価
語数は AR BookFinder より (計22,484語)

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