7 年前、ぼくは記憶を失った。でもたった一つ、あの約束だけは忘れられない。

記憶を失った主人公が、7 年ぶりに帰省した故郷で過去の記憶を取り戻しながら、真実へと迫るアドベンチャーゲームです。言語を英語に変更できますし、iOS/Android 版は本編無料で遊べます!

英語版 7年後で待ってる

概要

7年前、ぼくは記憶を失った……

英語タイトル7 Years From Now
ジャンルアドベンチャー
私のプレイ時間約11.5時間 (本編: 約8.5時間、エピローグ & サイドストーリー: 約3時間 )
機種PC (Steam)SwitchiOSAndroid
たった一つ、あの約束だけが忘れられない——

7 年前に記憶を失った高校生の少年ハルトは、かつて交わした約束を果たすために当時過ごした街を探索する。かつて入院していた病院をめぐり、久しぶりに出会った友人と語らう彼は徐々に記憶を取り戻す。しかし謎は深まるばかり。あの時、いったい何が起こったのか? ハルトは衝撃の事実と向き合う事になる。

iOS/Android 版は本編無料

iOS/Android 版は本編無料でエピローグ & サイドストーリーが有料。2021 年に発売された Steam/Switch 版は有料 (本編 + エピローグ & サイドストーリー) となっている。機種によってストーリーの内容自体に差は無いので単純に好きな機種でプレイすれば良い。価格は iOS/Android 版の方が安いが、Steam/Switch 版はコントローラーやキーボードに対応しているので操作性が良いという違いはある (2021年9月時点)。

本編エピローグ
& サイドストーリー
iOS/Android無料有料
Steam/Switch有料
英語でプレイするには

本作はどの機種でも多言語対応している。タイトルの Menu から字幕言語を英語に変更可。

ゲーム内容

本編は全 40 章の物語

各章は 10 ~ 15 分前後

主人公 Haruto はなぜ記憶を失ったのか、7 年前に入院していた病院で何が起こったのか、約束を交わした幼馴染の Aoi は今どこにいるのか。ストーリーを読み進めていくことで徐々に謎が解明されていく。

本編は全 40 章に分かれており、各章 10 ~ 15 分程度で読める。ストーリーの分岐はなく一本道であり、各章の終わりでは新事実が発覚するなど先が気になる終わり方なので、さながら連続テレビドラマを見ているかのよう。

キャラクター操作は移動のみ

ジャンルはアドベンチャーとなっているが、基本的には登場人物の会話を読むだけのゲーム。時折キャラクターを操作することもあるが、することは移動のみ。しかも目的地は分かりやすく迷う要素は無い。アイテム探しなども無いのでゲーム的には少々味気ないが、ストーリー自体に集中できるとも言える。

エピローグ&サイドストーリー 全 29 章

友人や看護師などサブキャラクターの物語

本編をクリアすると、タイトル画面からエピローグ & サイドストーリーを選べるようになる。本編は主人公 Haruto の物語だったが、エピローグはヒロイン Aoi を中心にした話、サイドストーリーは友人や医者・看護師たちの小話となっている。用語辞典もある。

エピローグは衝撃的かつボリュームがあり真エンドとも言えるような内容になっている。少々蛇足気味ではあったが、本編のストーリーが気に入ったのならプレイして損はない。

エピローグ本編のエンディング直後から始まる、主に Aoi サイドの話。
全 18 章で、各章 5 ~ 10 分の長さ。
サイドストーリー本編のちょっとした裏話や主人公たちの子供時代の小話。
全 11 章で、各章 5 分弱。
用語辞典登場人物や細かい用語の説明が記載されている。
裏設定等は掲載されていないので、読まなくても困らない。

英語の題材として

英語も文法も比較的簡単

会話のみでテンポが良い

本作は会話のみで構成されており、複雑な説明セリフもないので英文はかなり読みやすかった。もちろん難単語が出てくる事もあるし、分かりづらい英文も稀にあったが、他のノベル・アドベンチャーゲームと比較するとかなり簡単な方だった。

私はストーリーが気になったので一気にプレイしたが、各章は 10 分前後で終わるので毎日 2 章ずつ読み進めていくという方法や、英語で 1 つ章を読む → 日本語で同じ章を読みなおして内容確認する、という方法もとれる。英語ゲームの入門としてオススメ。

遭遇した表現を一部紹介

get to the bottom of

(事件などの真相を探る)

元ジャーナリストのお爺さんが、かつて起こった謎の事件について、いつか真相を解明して見せると発言した場面。

“bottom” は底から転じて原因の意味。「(どうにか) ~ の原因にたどりつく」というニュアンスで使う。

grab a bite

(軽食をとる、簡単な食事をする)

話をする前なにか軽く食べないか? と友人の Riku が提案した場面。

あまり時間をかけずに簡単な食事をとりたい時によく使われる表現。

a scaredy-cat

(臆病者)

置いていくより置いて行かれる方がましだが、自分は臆病者だからいざ置いていかれたら後悔してしまう、と 友人の Saki が発言した場面。

子供がよく使う表現で、””a ‘scairdy-cat”” という綴りになることもある。

call it a day

(その日の活動を終える)

Saki と二人で病院をめぐっていたが、あらかためぐり終わったので切り上げようと Saki が提案している場面。

「それを一日の分とする (ので終わりにする)」、ということ。

That's the spirit!

(その意気だ!)

失った記憶を頑張って思い出すよ、と主人公が言った後、「その意気だ!」と友人の Kakeru が発言した場面。

“spirit” 意気や勇気という意味。相手を励ましたり前向きな態度を褒める時に使う。

get the short end of the stick

(損な役割になる、貧乏くじを引く)

Dr. Ichiki と取引をした際、自分の方が不利な条件だと主人公が発言した場面。

語源は不明だが、利益を一本の棒に見立て、棒の短い方 (利益が少ない方) を掴まされるというイメージ。

spill the beans

(秘密を漏らす)

隠し事が無いかある人物を問い詰めようとしたとき、上手いこと秘密をしゃべらせようと Riku が発言した場面。

秘密を漏らすという行為を「うっかり豆をこぼす」という比喩で表現した言い方。

a bag of bones

(痩せすぎの人)

かつてはジャーナリストだったが、今は只の老いぼれだとお爺さんが発言した場面。

痩せすぎた人・動物の体を「骨の入った袋」に見立てた表現。

全体的な感想 (若干のネタバレあり)

驚きと感動のストーリー

本作は記憶と時間、そして病気をテーマにした物語だった。1 つの章が短く、かつ早く次を読みたくなるような終わり方で構成がとても良かった。序盤から中盤にかけては、何が正しくて何が偽りなのか、疑心暗鬼に陥っていく感じがあり、なかなか熱中して読み進めることができた。また、本編最終章では意外な事実が発覚したりするなど、最後まで飽きさせないストーリー展開は見事だったと思う。最後にタイトル回収があるゲームはやはり素晴らしい……。

ただ、タイムリープや致死率 100 %の病気などは都合の良すぎる設定だったなと感じた。理論もそれっぽい事を言っているようでふわっとしていたし、細かい設定が気にある自分としては違和感を覚えたかな……。

エピローグ

本編だけでも満足したストーリーだったが、エピローグを読み始めると驚きの事実や本編では説明されていなかったサブキャラクター達の考えや行動も明らかになり、色々と楽しめた。自分は物語は物語の最後までしっかりと描かれている方が好きなので、このエピローグがあって良かった。

残念だったのは 2 点。1 点目は、本編と比較すると間延びしたストーリーに感じたこと。苦悩や葛藤というのは本編で色々と見せてもらっていたので、エピローグではもう少しテンポ良く物語が進んで欲しかった。2 点目は、Aoi のとある行為の回数が多すぎたこと。如何にも作り物の物語です、という感が強すぎたので常識的なレベルに留めて欲しかった。

好ましい登場人物

主人公やその友人は皆気さくで好ましさを覚えたが、その他の登場人物も全体的にただ性格が悪いだけのいじめっ子のような存在がいないのが良かった。登場人物達にはそれぞれ事情があり、自分の信念に基づいて行動しているという描写があったおかげで嫌いになる人物が少なく、ストレスなく読み進められたのはありがたい。

ただ、キャラクターのモデルはもう少し造形を細かくして欲しかったというのはある。本作は全体的にレゴみたいなボクセル調のモデルだが、人物に関しては粒度が粗すぎだと感じた。本作は過去回想のシーンが頻繁にあるが、主人公や友人の子供時代と大人時代のモデルが似すぎていて、現在なのか過去なのか区別し辛かった。せめて背景色やテキスト色を変えるなどして、現在・過去の区別が簡単であれば良かったのだが……。

英語の多読の題材としてオススメ

細かい不満点はいくつかあったが、ストーリー自体は面白く、英文も比較的簡単だったので英語多読の題材としてオススメできるゲーム。iOS/Android 版であれば本編が無料なので、とりあえず試してみるのも良いと思う。また、他のオススメ作品については「英語ノベルゲーム19選」を参考に。