夏なのでホラーゲームをやりたくなりました!

というわけで、心霊ホラーアドベンチャーシリーズ第 2 弾「NG」を英語でプレイした感想です。第 1 弾「死印」よりも、グロさがパワーアップしてますよ!

英語版NG

概要

この先、キケン

英語タイトルSpirit Hunter: NG
ジャンル裏御伽・心霊ホラーアドベンチャー
私のプレイ時間約26時間 (攻略情報は見ず 1 周クリア)
機種PC (Steam)PS4、PS Vita、Switch
いつもと変わらない夏になるはずだった

1999 年の夏。母親を亡くし、叔母・姪と暮らすようになった高校生の鬼島空良 (きじま あきら) はいつもと同じ日々を過ごしていたが、ある日不思議な葉書を受け取る。その日を境に不可思議な現象を目の当たりにするようになり、姪の愛海も忽然と姿を消してしまう。愛海の命を握る謎の少女かくやから「あそび」を強要され、怪異との対決を繰り返していく主人公たち。はたして彼らは無事生き延びられるのか――。

基本システムは前作を踏襲

ホラーアドベンチャーシリーズの 2 作目で、かぐや姫や金太郎など御伽噺をモチーフとした怪異との対決を描いている。1 作目「死印」の数年後が舞台となっているが、ストーリーは本作単体で完結している。しかし死印のネタが出てきたりするのでプレイ済みであればニヤリとできる場面もある。

システムも前作と同等で、会話パート・探索パート・怪異との対決パートになる。探索や対決回りのシステムは、前作よりもシンプルになっているので、操作自体は今作の方が快適。

英語でプレイするには

死印と同様に、Steam 版か PS4/Switch/PS Vita の北米版ソフトを購入すれば英語字幕でプレイ可能。音声は日本語のみだが、そもそも掛け声や挨拶程度しか収録されていない。

英語の題材として

英語ノベル・アドベンチャーゲームの入門としてオススメ

怖すぎず、長すぎず、難しすぎず

前作「死印」と同様に、英語ゲームの中では英文は簡単な方。怪異は日本の御伽噺をモチーフにしていることもあり、英語であっても背景知識が理解しやすいのもありがたい。ボリュームは前作より増えているが、20 数時間でクリアできるので長くない。前作と合わせて英語でのノベル・アドベンチャーゲームの入門としておススメしやすい。

ちなみにゲーム自体は難しくないが理不尽な選択肢が存在する。攻略に詰まったらさっさと攻略情報を調べた方が吉。

遭遇した難表現をいくつか紹介

curry someone’s favor

(こびへつらう、機嫌を取る)

媚びて頼めば無茶な要求が通るかもしれない、と来瀬ももが発言した場面。

“curry” はフランス語 “correier” 由来の「馬を櫛ですく」という意味がある。つまり馬に櫛をかけて機嫌をとる、ということらしい。カレーは関係ない。

Hail Mary

(土壇場の努力、神頼み)

主人公を助けるために一計をめぐらした親友の天生目聖司が、主人公と合流したときに利用した表現。

“Hail Mary” とは聖母マリアへの祈り言葉であり、アメフトで一か八かのロングパスを “Hail Mary Pass” と呼ぶようになった。ここでは、助け船を出したことを “Hail Mary” を投げた、と比喩表現として使っている。

cut to the chase

(さっさと要点を言う)

会話中、早く本題が入る必要があると思った葉月薫が使った表現。

“the chase” は (皆が面白がる) 映画の追跡シーンのことであり、”cut to” は次のシーンに移るという意味がある。さっさと本題に入る、または本題に入って欲しい時に使われる表現。

take something with a grain (pinch) of salt

(額面どおりに受け取らない、話半分に聞く)

怪談話を聞いたのち、人は誇張して話すから鵜呑みにしない方が良い、という意味で天生目聖司が使った表現。

もともと解毒剤として塩を用いたという話があり、そこから「物事をそのままではなく、解毒剤と一緒に受け取る」つまり「鵜呑みにせず、話半分に聞く」という意味になった模様。

last resort

(最後の手段)

怪異への対抗策を考えていた主人公が用いた表現。

他の手段がすべて失敗た時に使う、最後に残された手段の事。切り札と訳すと少しポジティブなイメージが出てしまうが、どちらかというと万策尽きたときに仕方がなく使う最後の手段という、ネガティブなニュアンスがある。

hit the nail on the head

(核心をつく、うまく言い当てる)

同僚からとある人物の特徴を聞き、それが主人公のことではないかと予想した警官の大江麗奈が、その予想が当たっていたと思った時に使った表現。

釘を打ち付けるには釘の頭の中心をしっかりと金槌で打つ必要があるということから、物事を正確に言い表すという意味でこの表現を使う模様。

turn of events

(展開、事態の変化)

不可思議な事態を体験し、興奮したムーラン・ロゼが使った表現。

出来事の向きが変わるということなので、状況が予想外の方向に変わったときなどに使われる。

pull someone’s leg

(からかう、ふざける)

主人公から超常現象の詳細を聞いたが番直政が、信じられないと思って使った表現。

相手を邪魔するという意味はないので、日本語の「足を引っ張る」とは意味が異なる。

put two and two together (and make four)

(見聞きした情報から正しい結論を導く)

明らさまに怪しい状況だったにも関わらず、誰も犯人を突き止められなかったことに憤った主人公が使った表現。

情報を統合して正しい答えを導くということ。”make four” ではなく “make five” とすると「間違った結論を導く」という意味になる。

tall tale

(信じがたい話)

怪異にまつわる話を聞き、信じられない話だと感じて大江麗奈が使った表現。

100%の嘘話よりも、事実を誇張した話や伝承を元にしたお伽話のような物を指し示す模様。

感想 (ネタバレほぼ無し)

グロいけど、怖さはそこまでではない

高校生3人組の掛け合いが楽しい

前作主人公は落ち着いた男性で、探索パートナーも怪異を通して偶然知り合ったメンバーだったため人間関係や会話はわりと淡泊だった。一方今作の主要メンバーは脳筋高校生男子とその親友、そしてオカルト好き女子高生という組み合わせのため、明るめの会話も多い。親友・天生目と女子高生・葉月のやり取りで思わず笑ってしまう事もあった。

直接的な殺戮シーンは前作よりもグロイのだが、後ろ向きなキャラクターがおらず仲間意識が強めになっているため道中のやり取りは比較的明るくなっており、全体的にはそこまで怖くはなかった。怖さや不気味さが物足りなかったが、彼らの会話内容自体は面白くて個人的には今作の方が好き。

前作と比較して

地味に UI の改善が助かる
  • 探索時の移動が楽になった
  • 話者が分かりやすくなった
  • 仲間のシナリオへの関わりが深くなった

大きく異なると感じた点は上記。操作性は前作から改善されており、特に会話やバックログで話者が表示されるようになったのは大きい。英語だと口調が分かりづらいので、前作では話者が判別しづらかったのだが、今作ではそんな心配はいらない。

探索パートナーの数は前作より減ったが、その分各キャラクターに対する掘り下げは増えている。結果として愛着が湧き、彼らの命を失いたくないという気持ちも強くなった。会話内容も面白く感じたので、この辺りは個人的に前作よりも好きな点である。

不満点
  • 音声が (ほぼ) 無い
  • いつでもセーブがない
  • 既読スキップがない (強制スキップはある)
  • 理不尽な選択肢

前作でも感じた不満点は残ったまま。確かに UI は改善されてはいるものの、それでもいつでもセーブ・既読スキップなど一般的なノベル・アドベンチャーゲームが備えている機能が無いので操作性は悪いと感じてしまう。続編があるならぜひ改善してもらいたい部分。

また、道中や怪異との対決では選択肢を選び危機を回避する場面があるが、1 回のミスで Game Over になる選択肢が大量にある。同じ場面からやり直しできるのでタイムロスは少ないが、理不尽な選択肢もあるのでストレスになる。もう少し選択肢の内容や仕様を改善してほしい……。

死印好きなら楽しめる

ホラーとして一定の面白さ

不満点はあるもののホラーとして一定の面白さはある。死印が楽しめたなら本作も楽しめるはず。ただし怖さは薄れているので、怖いストーリーを求めているのであれば止めておいた方が良いかも。

英語の題材として、ボリュームが多くなく英語の難易度が高くない本作はおススメだが、試すならシステムが同等でボリュームがさらに少ない死印を先にした方が良いと思う。