2017年の浅草を舞台にした新世界アドベンチャー「俺達の世界わ終っている。」

科学アドベンチャーファンに捧ぐ、という謳い文句から本作に興味を持ち、英語版が発売されていたのでプレイしてみました!

北米版 俺達の世界わ終っている。

概要

俺達の「仮想」が「現実」を終わらせる。

英語タイトルOur World Is Ended.
ジャンル新世界アドベンチャー
私のプレイ時間約45時間 (全ルートクリア)
機種PC (Steam)PS4、Switch
アブノーマルな仮想世界に現実が侵食されていく

2017年の浅草。個性的なメンバーが集うゲーム会社「ジャッジメント7」は拡張現実 (AR) を用いた新作ゲームを開発していたが、偶然にも現実を侵食するプログラムを作りあげてしまう。そして自分たちが作った「痛い」設定が世界を滅亡へと導いていく――。

個性が反映された仮想世界

「変態」「中二」「残念」「混沌」「幼稚」「天然」そして「平凡」。本作は超個性的な特徴を持った7人が所属するゲーム開発集団「ジャッジメント7」を中心とした物語で、各個性が存分に発揮された物語を楽しめる。ちなみに初見だとイラストの立ち位置とインパクトで変熊 (not 変態) Tシャツを着た男性が主人公と勘違いしがちだが、実際の主人公は平凡男・午前零時である。

英語でプレイするには

Steam 版か PS4/Switch の北米版ソフトを購入すれば英語でプレイ可能。ただ注意が必要なのは、海外版は初期版 (PS Vita版)の移植作であり、国内PS4/Switch版の移植作ではないということ。

つまり、国内移植版「JUDGEMENT 7」には新エピソードやフローチャート機能などが追加されているが、海外版「Our World Is Ended.」にはそれが無い。残念。

1. 俺達の世界わ終っている。初期作 (PS Vita)
2. JUDGEMENT 7 俺達の世界わ終っている。1 に新エピソード、UI の改良を加えた移植版 (PS4、Switch)
3. Our World Is Ended.1 に UI の改良 (一部) を加えた海外移植版 (Steam、PS4、Switch)

良くも悪くも個性的すぎるキャラクター

癖が強い個性が滅茶苦茶な設定を生み出す

7つの罪を背負う社員たちとされているが、種類が「変態」「中二」「残念」「混沌」「幼稚」「天然」「平凡」の時点で本作の路線が察っせられるように、登場人物は皆変な方向で個性的。作中でもその個性を遺憾なく発揮しており、リアリティは無いがキャラクターとしては立っている。個性が強調されすぎていて少しウンザリする性格のキャラクターもいたが許容範囲。また、音声は日本語しかないが声優の熱演はすごく良かった。

主人公はラノベ男

7つの罪の内「平凡」に該当し主人公でもある午前零時は作中ですらラノベ男と呼ばれるほど恋愛感情に疎かったり八方美人的に優しいなど、ライトノベルの主人公のような性格をしている。そして物語は彼の視点で進むので、必然的にラノベ的展開が繰り広げられる。常識的で嫌みの無い人物だが、人によってはこのキャラクター性に飽きているかもしれない。

基本はギャグ路線の楽しいシナリオ

ギャグとシリアスに独特の魅力がある

「現実を侵食するプログラムを開発してしまい、世界を滅亡に導いてしまう――」みたいなあらすじなのだが、キャラ設定や絵柄から分るように基本はギャグ路線のシナリオで楽しく読み進められる。展開はややご都合主義でノリや勢いで誤魔化している部分もあるが、ギャクだけでなく命に関わるようなシリアスな場面や思わず涙する感動的な場面、熱い場面もあり面白い。特に最終章は個人的にかなり満足できた展開だった。

下ネタやイジリがクドイのが残念

残念なのは以下2点。本作が好きになるか否かはココが許容できるか否かによると言えるほど。

  • 下ネタ・変態発言が多すぎる
  • 特定キャラへのイジリがクドイ

とにかく下ネタと体形イジリが過剰で不快なレベル。下ネタは序盤 (チャプター2) がピークで、そこを乗り越えればある程度落ち着くが、それでもウンザリ。変態発言をするキャラクター自体は仲間思いな面が出ていて好ましいのが不幸中の幸い。次回作があるなら、不快な要素は少な目にして欲しい……。

人を選ぶが面白い作品

科学アドベンチャーファン必見!?

不満点が強烈なので諸手を挙げてオススメはできないが、話自体は面白い。ラノベ的キャラクター像や展開、下ネタが平気ならプレイしてみても良いと思う。

なお本作は「STEINS;GATE」をはじめとする科学アドベンチャーシリーズファンに贈りたいという謳い文句があり、私もそれで興味を持った口。実際、拡張現実や学生サークル的なノリなど科学アドベンチャーっぽさを感じる部分はあるが、ギャグが多くシリアスは少な目。似ているというほどではないが、それらしい要素はあるといった感じ。

余談

本作のシナリオライターはライトノベル作家でもある阿智太郎氏。実は彼のデビュー作「僕の血を吸わないで」を子供の頃に友人から借りて読んだことがあり、登場人物の名前や設定が滅茶苦茶でかなり笑った覚えがある。その後自分で全巻買い揃えてしまったぐらいには好きだった。今調べてみたら Kindle 版が出ていて嬉しい。