SVL 12000の英単語を覚えた後、何の英単語集を買えば良いのか? その1つの選択肢となる単語集は究極の英単語セレクションです。本記事では究極の英単語セレクション [極上の1000語] の語彙レベルや掲載語の特徴を説明していきます。

究極の英単語セレクションとは?

究極の英単語?

まず「究極の英単語」とはアルク社が公開しているSVL 12000で、いわゆる英単語の頻出順リストです。1000語/1レベル で区切られており、SVL 1 ~ 12 の12レベル存在します。また、単語集 SVL Vol.1 ~ Vol.4 の4冊に3000語ずつ収録されています。詳細は以下記事を参照ください。

究極の英単語セレクション

米国の知識人が良く使う英単語/表現を掲載

究極の英単語セレクション [極上の1000語] はSVL 12000と同じくアルク社から出版されている英語学習者の上級者向けの単語集です。この本の特徴は、米国の知識人が使用しながらも日本人になじみのない英単語が、自然で多彩な例文とともに紹介されているところとです。

しかし、SVL 12000と直接関係するわけではないためSVLと単語の重複が存在します。どの程度重複しているのか気になったため、語彙レベル解析を行った次第です。

1000語は4つのレベルに区切られている

究極の英単語セレクション [極上の1000語] サンプル

究極の英単語セレクション

1000語は以下4種類に分類されています。また、Level 1~3では1語句ごとに例文が付属しています。

Level 1 大学教育を受けた米国人が日常的に使用する語彙 (1~126)
Level 2 大学教育を受けた米国人がしばしば使用する語彙 (127~341)
Level 3 大学院以上の教育を受けた米国人が、ここぞという時に使う語彙 (342~905)
WordList Level 1~3 の関連語の中で、特に重要な語句 (906~1000)

この付属の例文は米国の知識人層が目にするような雑誌、新聞、公的文書がベースとなっており、質・評判がともに高いものとなっています。なお、残念ながら WordList として掲載されている語句には例文がついておりません。極上の1000語として謳ったからにはぜひ例文が欲しいものです。残念。

究極の英単語セレクションのターゲット層

ネイティブ向けの新聞やニュースを読む・聞く、留学する、グレードの高いコミュニケーションをとりたいといった、上級者向けの単語集となっています。TOEICのレベルは完全に超えているので、現在TOEICで高得点を目指している方には向きません。でも事前に購入して手元に置いておくのは良いかと思います。私もそうでした。



究極の英単語セレクションの語彙レベル解析

概要

究極の英単語セレクションに掲載されている1000語の語彙レベルを、26000語レベルで分類していきます。語彙レベルはアルクのSVL 12000 (1~12000語レベル) と極限の英単語・終極の英単語 (12001~26000語レベル) を基準としています。それぞれの詳細は以下を参照ください。

本記事で解析の対象にする単語

究極の英単語セレクションに掲載されている1000語の語彙レベルを解析します。ただし、この1000語には熟語も含まれていますが、本記事の解析では単語単体での評価しておりません。例えば、「by a factor of (~倍に)」という熟語は、SVL 1の単語が3つと、SVL 4の単語が1つ使われている、という評価をします。

究極の英単語セレクションの語彙レベル

英単語の種類

1000語を単語別に分け、重複を除外すると1145種類の単語となりました。これらを26000語の語彙レベルに分類した結果が上記のグラフです。

SVL 12000より上級の英単語集ですが、13000語レベルの英単語が掲載されているというわけではなく、語彙レベルがバランス良く分散していることが分かりますね。なお、1000~3000語レベルの簡易な単語もそれなりに含まれていますが、これは 1.熟語や慣用表現、2.簡易な単語の高度な使用例 の2パターンに分かれます。

  1. 熟語や慣用表現の例

    「mean business (本気である)」、「by a factor of (~倍に)」、「800-pound gorilla ((特定の分野を支配している) 巨大な存在)」などの熟語・慣用表現が掲載されています。

  2. 基本単語の高度な使用例

    例えば、”break” です。break はSVL 1の基礎単語であり一般的には、壊れる、壊す、中断する、といった意味で捉えている方がほとんどだと思います。しかし、この極上の1000語の中で紹介されている意味は「(ニュースなどを) 初めて知らせる」です。この意味を知っている方は少ないのではないでしょうか。

範囲外の単語

究極の英単語セレクションの語彙レベルを解析してきましたが、26000語レベルで分類できない単語が140種類存在していることがわかりました。いくつか参考に掲載しておきます。

究極の英単語セレクションにのみ掲載されている単語 (A、Bから始まる12語のみ抜粋)

adumbration, antinomy, apposite, bailiwick, ballpark, berserk, bibulous, blandisher, blushful, brazenness, bruit, bureaucratese

もし1000語一覧を確認したい場合は、Amazon のなか見!検索で確認ができますので、そちらを参照してくださいね。

まとめ

掲載されている単語の語彙レベルはかなり広範囲に分散していることが分かりました。もし小説などの一般的な英文に登場する英単語のカバー率を上げたいのであれば、究極の英単語セレクションよりも極限の英単語の方がオススメです。

ターゲット層の項目で述べた通り、本書は留学やビジネス英語などで使われる英単語や言い回しを優先的に学んでいきたいという目的で利用する方法がオススメです。

究極の英単語セレクション、この本の価値

SVL 12000 習得後にやる価値はあるのか?

あります!

SVL 12000を習得した方は、その後の語彙力を効率よく増加せる方法に悩むことになるかと思います。このレベルにまでなると、基本的には英検1級対策用の単語集か、小説や専門書、ニュースなど生の英語媒体から未知の単語を自分で抜き出して、自発的なボキャビルに努めていくことになるのではないでしょうか。

究極の英単語セレクションに掲載されている単語と例文は、米国の知識人層が目にするような雑誌、新聞、公的文書がベースとなっているということですので、今後小説や専門書、ニュースなどでボキャビルを行おうとしている方にとっては非常にオススメできる単語集であるといえます。

また、SVL 12000範囲外の単語が466語掲載されていることがわかりましたので、ボキャビルの方向性が明確に定まっておらず、単純に語彙を増やしたいという方にも向いていると思います!

究極の英単語セレクション [極上の1000語]
平均単語レベル:8.6
対象レベル:英語上級者

TOEIC 990点レベルを超えた、上級者向け英単語集

米国知識人層が多用するハイレベルな単語と自然な例文が特徴

英検1級対策として利用できるか?

英検1級用の英単語集と比較した場合

英検1級の筆記試験、とくにパート1の語彙問題は語彙レベルが10000~15000レベルとかなり難しい問題です。SVL 12000でも7~8割までしかカバーしきれておりません。残り2~3割の単語および熟語の知識をどのように習得するか、という話になりますが、果たして究極の英単語セレクションは英検1級対策として活用できるのでしょうか。気になりますよね?

実際の英検1級の筆記試験パート1の回答の選択肢の単語の中で、SVL 12000の範囲外にあたる単語が、究極の英単語セレクション極上の1000語に該当するか否かを確認してみました。英検1級は3回分 (2016年 第2回、第3回、2017年 第1回) 確認しています。また、比較のため英検1級対策用の単語集、「キクタン 英検1級」と「英検1級単熟語 EX」でも合わせて確認を行いました。

なお、筆記試験パート1は全25題で、文章中の単語・熟語を穴埋めする4択の選択問題です

英検1級 筆記試験パート1 の回答の選択肢
2017年 第1回 2016年 第3回 2016年 第2回
総語数 120 116 116
SVL 1~12 にヒットした語数 96 86 91
SVL範囲外で単語集にヒットした語数 究極の英単語
セレクション
4 2 2
キクタン
英検1級
4 3 3
英検1級単熟語
EX
8 8 7
どこにもヒットしない語数 14 21 18

上記の結果を見るに、SVL 12000でカバーしきれない単語を1冊の英検1級用の英単語集で賄うことは難しそうです。究極の英単語セレクションは、掲載単語が英検1級に出題されているので対策の一助にはなりそうですが、ヒット数は他の英検1級対策用の単語集より劣っていました。

つまり、究極の英単語セレクションは英検1級対策にもなるが、英検1級合格を第一に考えている場合は専用の単語集で勉強した方が効率が良い、とうことになりそうですね。

英検1級対策用を探しているのであれば極限の英単語がオススメ

上記の結果から、英検1級対策用の英単語集1冊では英検1級の語彙問題をカバーしきれないことが分かります。そこで、もし英検1級の対策を考えているのであれば極限の英単語がオススメです。

極限の英単語は「24000語レベルまでの語彙」が、「SVL 12000と重複せず」、「頻出順で」リスト化された英単語集です。12001~24000語レベルの語彙が、極限の英単語 Vol.1~4の4冊に3000語ずつ掲載されています。具体的に英検1級試験で使われた英単語のカバー率を確認したところ、かなり高い確率で英単語をカバーすることが確認できました。詳細は以下記事を参照ください。