鳥弁護士となり、カエル殺人事件の容疑者となった猫令嬢を弁護する!

設定も絵面もシュールで気になっていたアドベンチャーゲーム Aviary Attorney をプレイしました。日本語版が無いので (2021年9月時点)、英語学習をしていればこそ遊べるゲームですよ!

鳥類裁判ADV Aviary Attorney

概要

鳥人間が法廷バトル!

英語タイトルAviary Attorney
ジャンルアドベンチャー
私のプレイ時間約12時間 (全ルートクリア)
機種PC (Steam)、Switch
1848年のフランスを舞台に、鳥人間が法廷バトル!

革命の機運が高まる1848年のフランスを舞台に、鳥弁護士 Jayjay Falcon は助手の Sparrowson と共に事件の真相に迫る。街の人々に聞き込みをし、事件現場で証拠を見つけ、法廷で証言者の矛盾をつく。無能な警察や被告を有罪にしようとする検事に負けず真実を見つけ出す、鳥人間の法廷バトルゲーム!

英語でプレイするには

海外のゲームなので普通に英語でプレイ可能。ただ、Switch 版は海外でのダウンロード販売なので海外ストアのアカウントなどが必要で入手難易度が少し高い (2021年9月時点)。PC (Steam) 版でプレイするのが手軽。

ゲーム内容

真実のために証拠を集める

聞き取り、現場調査

基本的なゲームの流れは以下の通り。

  1. 事件などが起こり裁判日が決まる
  2. 聞き取り調査 & 現場検証 (1 日 1 回まで)
  3. 裁判

シナリオの最初に裁判日が決まるので、その日までに関係者への聞き取りや事件現場の検証などを行い有力な証拠を集めていく。重要なのは、聞き込み or 現場検証は 1 日 1 回しかできないこと。無駄な調査をしていると証拠が集まらず裁判で有効な手が打てない、なんてことも起こる。

ちなみ毎日最初にオートセーブが行われており、タイトルの [Load a previous day] から好きな日に戻ることができる。やり直しは簡単。

裁判では証言者の発言の矛盾を突く

異議あり! (とは言わないが)

裁判が始まると事件に関して証言が始まる。証言後、システム的には重要な発言がいくつかピックアップされ (下線が引かれる) 、各発言の詳細を突き詰めていく。UI は違えど逆転裁判に似ている要素。

的外れな質問ばかりしていると陪審員の印象が悪くなっていくので、事前に調査した内容と合わせて考える必要があるのが面白い。

英語の題材として

文法は比較的シンプルだが……

慣用句とフランス語の固有名詞は多め

なんとなく難しそうだなという印象を持っていたが、実際ゲームをプレイしてみるとさほど難しくはなかった。特に Case 1 は簡単で、会話のテンポもよくどんどん読み進められた。文法が難しくないので、分からない単語だけ調べていけば最後まで読み進められるレベル。ただ、中盤からは難しめの英単語がそこそこ増えてきたし、慣用句は序盤から結構な頻度で出てきたので、そのあたりの学習が進んでいないと少し難易度が高いと感じるかも。慣用句の多さはスパロボ X を彷彿させることもあった。

また、”Monsieur” (ムッシュ) や “Mon Dieu” (なんてことだ [間投詞]) などのフランス語が稀に使われるで少し読み辛かった。特にフランスの人名・地名は馴染みが無くて大変……。とはいえ、証拠や主要人物は別途ファイルにまとめられるため、名前を細かく暗記する必要がないので困ることはなかった。もし暗記が必要だったら一気に難易度が高くなるところだった。危なかった。

遭遇した表現を一部紹介

You and your something!

(おまえの something には呆れたものだ)

Caterline への事情聴取中に、食い意地を張った Sparrowson が彼女が食べた料理の詳細について問いただそうとし、Falcon が咎めた場面。

からかったり、ばかにしたり、呆れた時に使う表現。

flip for it

(コイントスで決める)

Falcon と Sparrowson のどちらが噴水の中に入って調査するか揉めた時、コイントスで決めることになった場面。

海外ドラマなどでも見かける表現。表は “Heads”、裏は “Tails” と言う。

in the bag

(もう手中にある、成功間違いなし)

相対する検事が知り合いで、彼の学生時代の成績が悪かったことを知っていた Sparrowson が、この裁判は勝ったも同然と発言した場面。

試合終盤、勝利がほぼ確定したチームが試合終了を待たずに道具を袋につめて片付けを始める様子が由来らしい。

an open-and-shut case

(明白な事件、簡単に解決できる事件)

殺人現場に被告が血濡れの状態で立っていたという証言を受けて、検事がこの事件の犯人は一目瞭然だと発言した場面。

開いてすぐ閉じることが出来るぐらい明らかな、という事。

sit right with one

(納得がいく、しっくりする)

証言内容が腑に落ちないという意味で Sparrowson が使った表現。

座りが良い、ということ。否定形で使うと「座りが悪い、しっくりこない」という意味になる。

hold one’s horses

(焦らず待つ、落ち着く)

発言が Falcon により途中で遮られた検事が、Falcon に早合点するなと言った場面。

はやる馬を手綱を引いて抑える、という事。

name names

(関係者の名をあげる)

証言者のとある行動について、誰の指示でその行為を行ったのか問われた際、名を明かすことは出来ないと発言した場面。

名を明かすことができない時は、”name no names” の形になる。

first things first

(重要なことから先に)

事件の証拠品について聞き込みをしに来た Falcon が、まず最初に店主に一番重要なことを聞こうとした場面。

いくつか用事がある中で、まず重要事項から始めたいときによく使う表現。

Elephants never forget.

(象はけっして忘れない)

ある商品購入した客を教えてくれと尋ねたが、覚えていなと言った象の店主に対して、Sparrowson が皮肉で返した言葉。

象は非常に記憶力の良い動物とされており、諺にもなっている。記憶力の良さを賞賛する場合や、人への恨みをいつまでも忘れないという意味で使われる。

Is it me, or

(そう思うのは私だけ?)

今日の裁判官は見た目がおかしいと思った Sparrowson が、おかしく思えるのは自分だけか確認のため発言した場面。

共感を得られると期待しながら、念のため確認する時などによく使われる。

全体的な感想

ストーリーも会話もテンポ良く面白い

序盤から興味を引き立てるストーリー

まず、チュートリアル的な Case 1 から意表を突いたシナリオが用意されており、Case 2 以降どのような展開になるのか興味を引き立ててくれたのが非常に良かった。1 日 1 回しか行動できないというのもゲーム進行のテンポを良くしていたし、1 回の聞き込みや現場検証も短時間で終わるので、最後までダレルことなくゲームを続けられた。

小気味良い Falcon と Sparrowson の会話

最初、助手の Sparrowson は口うるさいだけの存在かと予想していたのだが、実際に物語が始まってみると的を射た発言をしたり、Falcon を支えたりとなかなかの有能ぶりを見せてくれたので驚いた。というか、一番好きなキャラクターになってしまった。Sparrowson は癒し……。Falcon と Sparrowson の会話もテンポよく、お互い軽口を叩き合ったりして面白かったし、最初から最後まで彼らの会話は楽しむことができた。

残念だった点

個人的に残念に思った点は以下。

  • Steam 版は操作性が悪い (マウス操作しか受け付けない)
  • 警察が無能

私は Steam 版でプレイしたが、マウス操作しか受け付けなかったのは残念だった。セリフごとにマウスをクリックするのはやはり面倒……。また、バックログがないため重要な会話を見逃すとアウトなのも辛かった。読み飛ばさないように気を遣ったよ……。物語が面白かっただけに、操作性がイマイチだったのは残念。

また、警察が無能なのも残念だった。状況証拠だけで決めつけていたり、普通に考えてやっておくべき調査をしていなかったり……。そのため、裁判の進み方や物語の展開の仕方は都合よく感じてしまった。まぁ警察が有能だったら主人公の出番が無いし、そもそも鳥頭だから間が抜けているのは仕方がないといえばそうなのだが……。物語の展開がもう少し理詰めで説得力を感じるものだったら、なお良かったと思う。

攻略情報について

Aviary Attorney はマルチエンドで、最終 Case の展開が異なる。ただ、いずれかのエンディングを迎えると分岐に関するヒントが表示されるので、それを見れば他のルートに進む条件が概ね分かるハズ。それでも困ったら Steam コミュニティにあるガイド「Aviary Attorney walkthrough」を読めば分かる。私も 1 つだけルート分岐についてガイドで調べてしまった……。

ともかく、自力で全ルート見るのは難しくないし、内容も面白いので英語の勉強の一貫としてオススメできる作品。