英検3級は中学卒業レベル。つまり中学1~3年の英語の教科書で賄えるはず……? 気になったので調べてみました! その他の級については「英検関連の記事一覧」から参照ください。
実用英語技能検定 (英検) 3級とは?
3級の試験内容
3級の試験からライティングとスピーキングが追加
2017年度の試験から英検3級にもライティング問題が追加され、一次試験ではリーディング・ライティング・リスニングの問題が出題されることになりました。そして一次試験の合格者は別の日に改めて二次試験であるスピーキングテスト (面接形式) を受験し、こちらの合格者が晴れて英検3級合格となります。
英検4級と比較するとライティングとスピーキングが追加されているため、英語で表現する力の向上が重要なポイントです。ライティングの解答方法のコツは英検のサイトで解説されていますので、一度確認してみてくださいね。
英検4級よりも密度が濃い
英検3級ではライティング・スピーキングが増えているためトータルの試験時間は4級よりも長くなっています。しかし、リーディング・リスニングだけで比較すると、英検4級よりも1問あたりにかけられる時間が短くなっていることがわかります。それだけ、1つの問題に対する密度が濃くなり、英文を理解するスピードの向上が求められているということです。
知識だけでなく、量をこなしている必要があると言えますね!
英検3級以上は一次試験免除制度がある
3級以上は二次試験 (スピーキング) が必須ですが、実は二次試験で不合格になってしまった場合、1年間は一次試験の受験を免除してもらうことができます (要事前申請)。
そこで、「一次試験 (リーディング&ライティング) の対策は十分だけど二次試験 (スピーキング) は自信が無い……」という場合、一次試験だけ先に合格しておいて、その後1年間はスピーキングを集中して勉強する、という戦略もできますね!
3級の英単語は中学の英語教科書にすべて掲載されている?
英検では、英検3級の目安を中学卒業 (高校入試) レベルとしています。
つまり、英検3級で使われている英単語は、中学1~3年の英語教科書で賄えるはずですよね! というわけで、本記事では英検3級の試験で使われている英単語のレベルを解析して確かめてみました。結果は後述します。
なお、パス単3級についても調べた記事があるので合わせて参考にしてください。
3級の合格率
3級の合格率は約50%
3級の合格ラインは6割
2016年度からの新しい合否判定方法について
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016admission.html
英検は2016年から採点の方法が変わりました。英検のサイトで合否判定方法について説明がありますが、要は、英検3級ではリーディング、ライティング、リスニングそれぞれの正解率は6割が目安ということです。
ただし、配点は受験者全体の回答状況により変わる形式ですので、余裕をもって7割を目指した方が確実でしょう。
3級はいつ受験するべきか
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一部中学では、入試テストの点数に加点できる
英検3~5級は中学レベル難易度ですので、取得するなら少なくとも中学卒業前までが良いでしょう。
特に、一部の中学校・高校では英検の級に応じて入試が有利になります。これら入試で利用する場合は間に合うように余裕をもって3級を受験しましょう。
入試に合わせて準2級の合格を狙う場合は、その1年ぐらい前までに英検受験に慣れるために3級を受けてみても良いかと思います。
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高校生以降はTOEIC受験がオススメ
高校生以降に本格的に英語の勉強を始める場合、英検3~5級よりもTOEICをオススメします。
高校生以降で本格的に英語を勉強する場合、目指すレベルはかなり高いものになるかと思いますので、英検3~5級では成長の度合いを測るのは困難だからです。それよりも、TOEICの点数を指標にした方が自分の成長度合いが客観的にわかるのでオススメです。
英検3級試験の語彙レベル解析 (中学校教科書)
概要
中学校の教科書レベルで分類
英検3級は中学卒業程度と公式に言われているので、中学校の英語教科書で殆どの英単語が賄えると考えられます。そこで、実際に中学1~3年の英語教科書に掲載されている英単語がどれほど英検3級の試験で使われているか確認します。
中学校英語の教科書はNew Cown、New Horizonなど数種類ありますが、本記事では開隆堂のSunshineを利用します。この中学校1~3年向けのSunshine (2016年度版) に掲載されている英単語は開隆堂がExcelで公開していましたので、利用させていただきました。
種類 | 対象 | 掲載語数 |
---|---|---|
Sunshine 1 教科書 | 中学校 1年 | 約630 |
Sunshine 2 教科書 | 中学校 2年 | 約550 |
Sunshine 3 教科書 | 中学校 3年 | 約500 |
中学校レベルの英単語一覧について別途調べた記事があるので、そちらも参照ください。
解析の対象にする単語
筆記試験 | 英検のサイトで公開されている過去問から英文を抽出 |
筆記試験(ライティング) | 解答例に記載されている英文 |
リスニング | 過去問ページで公開されているスクリプトと問題用紙に掲載されている英文 |
スピーキング | 問題と解答のサンプルで使われている英文 |
一次試験は実際の試験で使われた英文
本記事では、2017年第1回の英検3級試験に登場する英単語のレベルを解析します。
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リーディング
リーディング問題は、問題用紙に掲載されている問題文および選択肢を解析対象とします。
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ライティング
ライティング問題は、問題用紙に掲載されている問題文、および解答用紙に掲載されている解答例の英文を解析対象とします。
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リスニング
リスニング問題は、問題用紙に掲載されている選択肢と、トークの原稿を解析対象とします。
二次試験は英検のサイトに掲載されているサンプル英文を解析
二次試験 (面接形式のスピーキングテスト) は過去問がありませんので、英検のサイトで公開されている問題と解答のサンプルで使われている英文を解析対象とします。
英検3級の語彙レベル
総語数
英検3級で使われた英単語を中学1~3年の教科書レベルに分類した結果です。英検4級と比較し、中学1年レベルの英単語の比率は 82% → 79% と微減していますが、語数自体は 1602 → 2047 へと30%弱増えています。
英単語の種類
単語の重複を除外し、英単語の種類で分類した結果が上記です。英検4級と比較して中学2~3年レベルの英単語の数・比率は増え、範囲外の単語の割合も大きくなっています。中学1~3年の英単語で87%カバーできていれば十分であると思いますが、範囲外の単語が少し気になるトコロです。。
他の教科書も考慮してみる
Sunshine 掲載語は約1500語
本記事で解析に利用しているのは Sunshine 中学1~3年の教科書に掲載されている英単語で、掲載語数は重複を除外すると約1500語です。
しかし、以下の6種類の中学1~3年用の英語教科書に掲載されている英単語は実は合計3000語にも及びます。この3000語のうち、2種類以上の教科書に掲載されている英単語を抽出すると約1650語となるので、この約1650語でどれほど英検3級で使われた英単語をカバーするか計測してみました。
- 開隆堂:サンシャイン (Sunshine)
- 三省堂:ニュークラウン (New Crown)
- 東京書籍:ニューホライズン (New Horizon)
- 光村図書:コロンブス (Columbus)
- 教育出版:ワンワールド (One World)
- 学校図書:トータル (Total)
約1650語のカバー率
種類 | 掲載語数 (重複除外) | カバー数 | カバー率 |
---|---|---|---|
Sunshine 掲載 | 約1500語 | 490 | 87% |
2種類以上の教科書に掲載 | 約1650語 | 522 | 92% |
上記が結果です。約1650語で英検3級の英単語を522語 (92%) カバーできました。どうやら、一般的に中学レベルとして扱われる英単語 (約1650語) であれば、英検3級で使われる英単語は92%までカバーできるようですね。
英検3級の目標語彙数
英検3級は1250~2100語レベルの試験と一般的に言われています。公式には中学卒業レベルの難易度とされているので、まずは教科書に掲載されている英単語はしっかりと把握しておいた方が良いでしょう。本記事の結果より、1650語を一つの目安とすれば良いかと思います。
もちろん英検3級の一次試験はリーディング・ライティング・リスニングに分かれているため語彙を鍛えるだけでは合格できません。バランスよく学習を進めていきましょう。
英検3級試験の語彙レベル解析 (SVL 12000)
概要
26000の語彙レベルで分類
本サイトの他の記事と同様に、英検3級の試験で使われている英文の語彙レベルを26000語レベルでも分類していきます。語彙レベルはアルクのSVL 12000 (1~12000語レベル) と極限の英単語・終極の英単語 (12001~26000語レベル) を基準としています。解析手順については「英文の語彙レベル解析手順について」を参照ください。
なお、26000もの語彙レベルで分類する必要が無い場合であっても、SVL 12000でカバーできない英単語の特徴が掴めるように26000語レベルで分類しています。
基準となる英単語リスト | 語彙レベル | レビュー記事 |
---|---|---|
SVL 12000 | 1~12000 | レビュー |
極限の英単語 Vol.1~4 | 12001~24000 | レビュー |
終極の英単語 | 24001~26000 |
解析の対象にする単語
中学校教科書での語彙レベル解析と同じく、過去問およびその解答例を対象とします。
筆記試験 | 英検のサイトで公開されている過去問から英文を抽出 |
筆記試験(ライティング) | 解答例に記載されている英文 |
リスニング | 過去問ページで公開されているスクリプトと問題用紙に掲載されている英文 |
スピーキング | 問題と解答のサンプルで使われている英文 |
英検3級の語彙レベル
総語数
上記は英検3級試験で使われた全英単語2581語を、語彙レベルで分類した結果です。英検4級と比較し、2000語レベルの単語数が 56 → 114 と倍になっていますが、基本的には1000語レベルに収まっている点は変わっていません。
英単語の種類
単語の重複を除外し、英単語の種類で分類した結果が上記です。545種類の英単語が使われていました。英検4級では441種類だったので約100単語増えて、英文の難易度も上昇していることが分かります。
英検3級の語彙レベル – 筆記・リスニング・スピーキング別 –
英単語の種類
使われた英単語を筆記・リンスニング・スピーキング別で分類した結果がこちらです。英検3級では二次試験でスピーキングを行う必要がありますが、1000語レベルの基本語で会話できれば問題ないようですね。
英検3級の目標語彙数
SVL 12000基準の解析では、目安となる語彙数は算出できません。というのも、
- SVL 12000と中学・高校で学習する英単語の正確な相関が不明 (キレイに分布しない)
- SVL 12000は1000語単位で区切られているため、1000語未満の語数の計算は正確にできない
という理由があるからです。そのため、基本的には中学校教科書を使った語彙レベル解析で述べた1650語を目安の語彙数として考えれば問題ないかと思います。
範囲外の単語
26000語で分類できない英単語が3語使われていましたので、参考までに掲載します。英単語の種類は非常に多いので、基本的な単語でも範囲外になったりすることはあります。
英検3級試験 (2017年6月実施) で登場した26000語範囲外の英単語 (3語)
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英検3級の対策
英単語は中学1~3年の教科書で90%を押さえられる
本記事で、英検3級の試験に登場する英単語の約90%は中学1年~3年の教科書に掲載されていると判明しました。手元に中学生の教科書があれば、教科書の内容が理解できるまでしっかりと繰り返し読み込むことで英検3級の対策になるでしょう。教科書ガイドでは音声が聞けるCDが付属しているので、これで対策するのも十分有用でしょう。
教科書で勉強し、過去問を試して、それでもまだ不足を感じるのであれば対策用の教材を購入しても良いかと思います。
オススメ問題集
リスニング対策もできる教材がオススメ
英単語は教科書で学習できますが、やはりリスニングの勉強は音声が必要です。英検のサイトの過去問ではリスニング音声もダウンロードできますが、それだけでは足りないという場合はCD付きの教材が良いでしょう。
その他Amazonには色々ありますよ!
効率良く英単語を覚えるなら、専用の英単語集がオススメ
確かに中学教科書を読み込むことが英検3級の対策に良いのですが、中学教科書を所持していない、または英単語のみを効率良く覚えたいという場合は専用の英単語集が良いでしょう。
特にパス単は評価も高いですし、英検3級によくでる単語から覚えられるのでオススメです。詳細は以下を参照ください。
将来的に英検準2級以上を目標とする場合は、SVL Vol.1 もあり
英検5級~準2級まではSVL Vol.1が該当
英検3級は中学卒業レベル、英検準2級は高校中級レベルと英検では定義されています。ここで、本サイトで中学・高校レベルの英単語とSVL 12000の相関を確認した結果をみると、英検5級~準2級まではSVL 1~3 の範囲が該当することがわかります。
実際には、英検4~準2級ではSVL 4~5レベルの英単語が多少でてきますが、基本はSVL 1~3の範囲に収まるため、SVL Vol.1で単語をしっかりと確認しておけば単語の漏れは殆どなくなります。
英検準1級や1級を見据えて
SVL 12000は単語の重複が無く、頻出順に12000語もの英単語を揃えている点が素晴らしく、今後英検準1級や1級を目指すのであれば今のうちから利用していくことをオススメします。
教科書やその他の教材で英語を勉強してきたうえで、試験前に暗記漏れの単語がないか探すことに利用する方法も良いでしょう。SVL 12000については以下記事を参照ください。