本作は「窓に!窓に!」のフレーズでも有名な H. P. ラヴクラフト著の短編小説「ダゴン」を原作とした、無料のアドベンチャーゲームです。
クトゥルフ神話の起源として知られる小説の文章を朗読&映像と合わせて楽しむことができるという点に惹かれてプレイしてみました!
Dagon: by H. P. Lovecraft
概要
今夜、私はこの世から姿を消す
英語タイトル | Dagon: by H. P. Lovecraft |
ジャンル | アドベンチャー |
私のプレイ時間 | 約1時間 |
機種 | PC (Steam) |
元船員でモルヒネ中毒者の手記
「Dagon」は1919年に公開された H.P. ラヴクラフト著の短編小説で、主人公がかつて神話の海底巨人ダゴンの恐怖に遭遇した様を描いている。無料ゲームとなった「Dagon: by H. P. Lovecraft」は原作の文章をそのまま読み進めるだけだが、元船員である主人公が体験した怪奇現象がビジュアル化されているので、より具体的に怪異を目の当たりにすることができる。原作が 10 ページ程度 (約4,000語) の長さなので、本作のプレイ時間も 30 分 ~ 1 時間程度。
英語でプレイするには
多言語対応しているので英語字幕でプレイ可能。ゲーム内のオプションに言語設定がある。音声は無し。
英語の題材として
短いが簡単ではない
原作や日本語訳を片手にゲームするのもあり
ゲーム内容は基本的に原作の文章を読み進めるだけなので小説を読むのと大差がないように思えるが、朗読やビジュアルが付随しているので原作をただ読むより状況が理解しやすいという利点がある。ただ、英文が簡単という分けではない。単語や文法が特別に難しいということもないが、やはり主人公のおかれた状況や怪異との遭遇を描いているので、ある程度は英文に慣れていないと読み進めるのは難しいと思う。あと、英文が大文字なのも慣れていないと厳しかったりする。
原作小説は著作権が切れており、インターネットで検索すれば普通に原文も日本語訳も見つかる。大文字の英文が読みづらかったり分からない単語が多くて読むのが大変ということであれば、ゲームで映像を確認しながら、インターネットで原文や翻訳を見つけてと平行して読むのもありだと思う。
全体的な感想
クトゥルフ神話に触れる切っ掛けとして良いかも
クトゥルフ神話 TRG の動画をいくつか見ていた時期があり、ラヴクラフトの小説もいつか読んでみたいと思っていたところに Dagon が無料ゲーム化されたので試しに遊んでみた。正直、物語として特別に面白いわけでも怖いわけでもなかったが、クトゥルフ神話の起源ともいわれる物語に興味があったので、本ゲームを通して Dagon という物語を知れたのは良かった。
短いし、クトゥルフ神話に興味があれば一度プレイしてみても良いと思う。その他のオススメのノベル・アドベンチャーはこちら「英語ノベルゲームリスト」。
「窓に!窓に!」の解釈
クトゥルフ神話を知らなくても聞いたことがある (かもしれない) フレーズ「窓に!窓に!」は、短編小説ダゴンの最後の文章 “God, that hand! The window! The window!” が由来。私は本ゲームをプレイするまでは「窓に怪物の手が見える! ヤバい!」という状況だと思っていたのだが、ゲームでは「扉から怪物の手が出てきた! 窓へ走ろう (→ 投身自殺する)」と解釈されていた。
物語の冒頭に「これ以上の精神的苦痛には耐えられないので、窓から身を投げよう」という趣旨の記載があるので、最後の “The window! The window!” は窓に向かって身投げする時の発言という解釈のようだ。個人的には「窓に怪物の手が見えた」という解釈の方が物語的には面白いとは思うが、「窓から身を投げた」という結末の方が Dagon という物語には合っている気もする。果たしてラヴクラフトはどのような意図だったのだろうか……。