【英語でゲーム】 徒花異譚 (あだばないたん) の感想 | えいらく

【英語でゲーム】 徒花異譚 (あだばないたん) の感想

歪んだ御伽噺の物語を修復するというノベルゲーム「徒花異譚 (あだばないたん)」。魅力的な絵に惹かれたので英語でプレイしました!

徒花異譚と同時に発売された、海面上昇により地表の大部分が沈んだ近未来を舞台にしたノベルゲーム「ATRI」もなかなか面白かったですよ。

英語版 徒花異譚 (あだばないたん)

概要

これは、咲かぬ”はな”の物語――。

英語タイトルAdabana Odd Tales
ジャンルノベルゲーム
私のプレイ時間約14時間 (全ルートクリア)
機種PC (Steam、他)
徒花 – 咲いても実を結ばない花

記憶喪失の少女・白姫 (しろひめ) は見知らぬ森で突如現れた鬼に襲われる。知り合いらしき謎の少年・黒筆 (くろふで) に救われるも、彼女は少年の顔どころか自分の過去さえ思い出せずにいた。そんな白姫に黒筆は、自分たちは絵草子の中の世界「徒花郷」におり、御伽噺を渡り歩いて 歪んだ物語を修復することが役目だと告げる――。

英語でプレイするには

音声は日本語のみだが字幕は多言語対応しているので、ゲーム内の設定で言語を変更すれば英語でプレイ可能。

英語の題材として

多読の題材としてオススメ

御伽噺がテーマなので背景が理解しやすい

ゲーム開始直後は淡々具体が顕著で少し読みづらかったが、物語が本格的に始まったら会話が増え読みやすくなった。全体的に表現・文法共に顕著に難しい要素はなかったので、英文は (決して簡単ではないが) 難しくはなかった印象。

さらに、日本人なら多くの人が知っているであろう「花咲かじいさん」や「浦島太郎」などの御伽噺が題材として使われているため、ノベルゲームとしては内容を話の筋を理解しやすい方だと思った。ノベルゲームの中では文章量がそう多くない方なので、英語の多読の題材としてオススメできる。

遭遇した表現を一部紹介

yea high

(このぐらいの高さ)

久しぶりに白姫に再会したおじいさんが、「以前お会いしたときはこんなに小さくて」ということを伝えるときに使った表現。

任意の高さで手のひらを下にして振りながら “”yea high”” と言うと、「このぐらいの高さ」という意味を示す。

in a nutshell

(一言で言えば、要は)

今まで聞いていた話を要約した白姫の発言を受けて、「要はそういうことだ」と黒筆が返答した場面。

“nutshell” は木の実の殻のことなので、「木の実の殻に入るほど少ない言葉で表すと」という意味。

at the drop of a hat

(すぐに、些細なきっかけで)

「本を読んでいるとすぐに寝てしまう」という自分の癖に呆れている場面。

決闘開始の合図として帽子を落としていたことが由来とされている。つまり、帽子を落とすとすぐに決闘が始まることになるがが、この「すぐに」という部分が強調されて今のニュアンスになった模様。

Be a dear and do.

(お願いだから~して)

乙姫が黒筆にお願いごとをしたときに使った表現。

“dear” は「親切な人・いい子」の意味。女性が子供や男性に頼み事をするときに使われるらしい。

Every cloud has a silver lining

(悪いことの反面には必ず良いことがある)

女の子が、「この物語は希望がなく残酷だ」と語っている場面。

字義的には「どんな雲でも裏側は日が照っていて白い」で、「不幸や災難にぶつかっても、良いことがあるから希望を失うな」と示している。”a silver lining” だけで「希望の兆し」という意味で使われることも多い。

全体的な感想

絵から受ける印象通りの作品

絵から受ける印象と同じく、静かで美しく優しいストーリーだった。

御伽噺の歪みを正すというのは物語のテーマとして珍しいものではなく、ストーリー自体にも斬新は少なかった。しかし、同じ御伽噺でも終わり方が異なるパターンが存在するという点がストーリーに組み込まれていたのは良かったし、白姫の記憶喪失の理由が明かされるにつれ世界観の謎が判明しく様は面白く、物語終盤の展開は王道ながらも感動できた。

また、本作の絵のタッチや色使いが非常に良かった。自分好みの絵柄で、本作を購入する決定打でもあった。物語のテーマとも一致しており非情に魅力的で、白姫・黒筆の性格とも調和がとれていたと思う。

全体的な盛り上がりは今一つではあったが、絵や PV から期待していた通りの内容ではあったので満足。逆に言えば、絵や PV が好みでなかった人には合わないと思うが、絵が魅力だと感じた方にはオススメできる作品。

 
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