【英語でゲーム】 ATRI -My Dear Moments- の感想 | えいらく

【英語でゲーム】 ATRI -My Dear Moments- の感想

ノベルゲーム「ATRI」。評価が高く、海面上昇により地表の大部分が沈んだ近未来、という設定に惹かれたので英語でプレイしてみました!

他のノベル・アドベンチャーゲームにも興味があれば「英語ノベルゲーム19選」を見てくださいね。

英語版 ATRI -My Dear Moments-

概要

沈みゆく世界で君を見つけた

英語タイトルATRI -My Dear Moments-
ジャンルノベルゲーム
私のプレイ時間約19時間 (TRUE END までクリア)
機種PC (Steam、他)
海面上昇により地表の大部分が沈んだ近未来

原因不明の海面上昇によって、地表の多くが海に沈んだ近未来。事故により片足と母親を失った少年は、亡くなった祖母の借金を返すために海底の倉庫で遺産を探す。そして見つけたのは、人間と見粉うロボット、アトリであった。 今、少年とロボットの忘れられない夏が始まる――。

英語でプレイするには

音声は日本語のみだが字幕は多言語対応しているので、ゲーム内の設定で言語を変更すれば英語でプレイ可能。

英語の題材として

最序盤が一番難しい

難単語が多い

文法は難しくなく句動詞や慣用句はそこまで多く使われていなかったが、難単語が多かった印象。特に序盤は、よく言えば詩的、悪く言えば持って回った言い回しが多いからか難しめの英単語が多かった。最近英語でプレイしたゲームの中で、辞書で知らべた回数が多かった方。意味を忘れていた単語もあったし、勉強にはなったが。

序盤を過ぎ、主人公が学校に通うようになると学生同士の会話が増え英文も読みやすくなったが、ずっと序盤のレベルの英文が続いていたらもっと手こずっていたと思う。なんであんなに難しかったのだろうか……?

字幕言語の切り替えは簡単で便利

英語+日本語の二重字幕も表示可能

字幕の言語はキー1つで切り替えができるため、英文の内容が理解できなかった時は瞬時に日本語に変更して内容を確認することができる。これはノベルゲーム「マルコと銀河竜」に搭載されていた機能と同じで、やはり便利だった。ちなみに日英二重字幕にすることもできるが、フォントが小さく読みづらかったので私は利用しなかった……。フォントサイズの変更機能も欲しい。

  • 日本語字幕 ([J]キー)
  • 英語字幕 ([E]キー)
  • 英語+日本語の二重字幕 (英語字幕表示時に Shift + [J] キー)
日英で内容が一致しない文があるのが難点

日英字幕切り替えは簡単なのだが、実はこの作品は日英で字幕の内容に差異があったりする。

例えば、甘い卵焼きとしょっぱい卵焼きが pancake と omelet になっていたり、桃太郎が snow white (白雪姫) と訳されていた。ただ、これは単純に日本の文化に根付いた表現をそのまま訳しても海外では理解しづらいので置き換えたのだと思われ、特に気にはならなかった。

気になったのは、日本語字幕には記載されていない文章が英文で足されていることがあった点。「研究者として異端」という内容が英文では「タブーを犯して逮捕された」となっていたり……。ここまで違うケースはレアだったが、全体的に英文は日本語と比べると説明過多になっていたと思う。日英で字幕を細かく比較したいという場合は内容が一致しない場合があるので注意。

遭遇した表現を一部紹介

be not out of the woods

(まだ安心できない状況)

海中で見舞われたトラブルになんとか対処した主人公が、まだ油断できない状況だと思って使用した表現。

森を困難な状態・危険な状態に見立てており、感染病対策や経済状況がまだ安定していない状況などでも使う表現。

stick out like a sore thumb

(ひどく目立つ、場違いである)

ゴミゴミした場所ならヨソ者でも目立ちにくいと発言したキャサリンに対して、小さな町なのでヨソ者は十分目立っていると主人公が内心思った場面。

文字通りには「痛む親指のように際立つ」。どちらかと言えば、悪い意味で目立ってしまうときに使う。

matter-of-fact

(事実をありのまま述べるような、事務的な)

自分に親がいないこと主人公に伝えた凜々花の、あっさり具合を示した表現。

事実に即して淡々と、というニュアンス。

right in the kisser

(顔面を直撃して)

主人公をいじめたら顔面にロケットパンチをお見舞いするぞ、とアトリが竜司に脅しをかけている場面。

ここでは “kisser” とは口のことなので、「口 (顔) の真ん中に」という事。

a turn-up for the books

(驚くべきこと、全く予想外のこと)

主人公が竜司に相談したいことがあると伝えた後、珍しいという意味で竜司が使った表現。

ここでは、”book” は競馬の賭けを管理する胴元 (bookmaker) のこと。原義は「胴元が得をする競馬の展開」で、つまり「番狂わせ」という事らしい。

全体的な感想

王道の感動ストーリー

ストーリー

序盤2時間ぐらいは面白くないし英単語は難しく読みづらかったので少し辛かったが、その後は面白くなってきて全体的にはそれなりに満足できた。

残念だったのは、海面上昇により技術が退化した近未来という SF 的世界観ながら、海面上昇によって生じた弊害や政府・他国の状況などは殆ど描かれなかった事。ロボットに関する設定もふわふわしていたため、細かい設定にこだわりたい自分としては物足りなさがあった。都合が良すぎる展開もあったし、ロボットのエネルギー源とか記憶メモリーの容量とか、設定が気になる部分が多く物語に没頭できたとは言い難い。

とはいえ、物語の主軸を高校生の少年とロボットの少女の恋愛に定め、最初から最後までぶれずに進んだのは良かった。恋愛の横槍・いざこざは無く、学友との友情はあり、TRUE END でしっかり最後まで描かれていたので読後感は良かった。低価格ゲームでありながらフルボイスなのもうれしいポイント。王道故、驚きの展開などは無かったが、細かい設定が気にならない・美少女ゲームをよくプレイする、という人なら遊んでみて損はないと思う。

キャラクター

全体的に、1つの出来事に対してうじうじ悩んだり引きずったりするキャラクターがおらず、さっぱりした性格のキャラクター達ばかりなので好印象だった。

個人的には主人公の親友となる竜司と、活発で利発な年下の凜々花が特に気に入った。出会った当初は敵対的・ぶっきら棒な態度だったが、物語が進むにつれ関係性が改善し、気をゆるすようになる展開は大変良かった。彼らが登場すると会話が面白くてどんどん読み進められた。助かったよ、君たち。

 
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