パス単1~5級までの英単語リストをアルクのSVL12000の語彙レベルでレベル分けてみました!
目 次
パス単とSVL12000で語彙比較を行う
概要
パス単の語彙レベルを調べたい
英検の語彙対策として評価が高いパス単ですが、パス単1~5級の中で重複して掲載されている英単語があるので実際の掲載語数が気になったり、パス単1級とアルクの究極の英単語 SVL Vol.4とどちらの方が良いかと疑問を持った方はいるかと思います。
そこで、本記事ではパス単1~5級に掲載されている英単語を集め、SVL 12000の語彙レベルと比較して評価することにしました。
でる順パス単とは
英検の問題5年分を分析して、よく出る英単語だけを掲載
でる順パス単とは、5年分の英検の試験問題を分析し、よく出題される英単語を「でる順」で掲載している英検向けの英単語集で、英検1級~5級に対応した本が販売されています。それぞれの詳細は以下記事を参照ください。
パス単1~5級の掲載語数は5745語
パス単1~5級それぞれの掲載英単語数を合算すると7971語となります。しかしパス単はそれぞれ独立して掲載語が決められているので、パス単1~5級の間で重複する単語も多く存在します。また、一部単語は品詞別に掲載されていたり、short-termのように複数の単語から構成される語句が掲載されている場合もあります。
short-termなどの単語は単語単体に分離し、さらに5級→4級→3級…の順に初掲載となる英単語を数えていくとパス単1~5級に掲載されている英単語数は5745となりました。
語彙レベルはSVL12000 + 極限の英単語で評価
パス単の語彙レベル
26000語レベルで分類
パス単1~5級 (重複除外)
パス単1~5級に掲載されている英単語 5745語を語彙レベル別にカウントした結果が上記グラフです。
パス単1~5級 (級別)
5745語をパス単1~5級に分けて分類した結果が上記グラフの通りです。パス単5級→4級→3級…の順に評価しているので、重複した英単語は低い級の方に含まれます。
パス単は英検に頻出する単語を集めるというコンセプトになっているためか、英検にあまり使われない単語はSVL 1~3 (1000~3000語レベル) の基本単語であっても掲載されていません。一方、パス単1~準1級にはSVL 12000にも掲載されていない高レベルの単語が含まれていました。結局、パス単だけでは基本単語がカバーしきれず、SVL 12000では英検に出題される高レベルの単語がカバーしきれないと言えそうです。
パス単の英文カバー率
概要
パス単1~5級の掲載語で、どれほど英検の英文をカバーできるのか調べます。具体的に以下の題材を利用して確認してみました。
- 英検1~5級 (2017年6月実施分)
- 公式TOEIC L&R 問題集2 (第1回)
- ハリーポッター 1巻 (米国版)
カバー率の計算について
それぞれの題材で使われている英単語が、パス単1~5級のどこに掲載されているか確認していきます。
英文中の英単語は種類 (いわゆる見出し語) で分類します。例えば、go、goes、went の3つの英単語が登場していた場合は、go が1つ使われているとカウントします。また、英文中の人名、地名、商品名、造語などは対象から除外しています。基本的に手順は「英文の語彙レベル解析手順について」に記載した方法に順じています。
英検
パス単1~5級
語数 | 英検 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | 3級 | 4級 | 5級 | ||
パス単5級 | 555 | 14% | 19% | 28% | 39% | 54% | 67% | 89% |
パス単4~5級 | 875 | 23% | 30% | 46% | 61% | 78% | 87% | |
パス単3~5級 | 1394 | 35% | 44% | 64% | 78% | 90% | ||
パス単準2~5級 | 2075 | 51% | 61% | 80% | 89% | |||
パス単2~5級 | 2750 | 61% | 72% | 85% | ||||
パス単準1~5級 | 4085 | 69% | 79% | |||||
パス単1~5級 | 5745 | 74% |
英検で使われた英単語がパス単掲載語でどれほどカバーできているか調べた内容が上記表です。例えば、パス単5級掲載語 (555語) では英検1級試験に登場する単語の14%がカバーでき、パス単4級+5級の掲載語 (合計875語) では英検1級の23%がカバーできていました。
英検3級の必要語彙数は一般的に1250~2100程度と言われているため、パス単3~5級の掲載語だけで賄えるかと思います。英検準2級ももしかしたらパス単準2~5級だけで十分かもしれません。しかし、英検2級は高校卒業レベルの難易度 (語彙数は3800~5100程度) と言われているので、パス単だけで語彙を賄うのは難しいかと思います。
カバー率の詳細はパス単の級別にまとめているので「パス単関連の記事一覧」からそれぞれの記事を参照ください。
SVL12000 + 極限の英単語
語数 | 英検 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | 3級 | 4級 | 5級 | |
1000語 | 27% | 36% | 51% | 65% | 80% | 85% | 92% |
2000語 | 45% | 55% | 74% | 84% | 93% | 92% | 99% |
3000語 | 59% | 70% | 85% | 92% | 96% | 96% | 99% |
4000語 | 69% | 80% | 91% | 95% | 98% | 97% | 100% |
5000語 | 75% | 85% | 95% | 97% | 98% | 98% | 100% |
6000語 | 80% | 89% | 96% | 98% | 98% | 98% | 100% |
7000語 | 83% | 91% | 97% | 98% | 98% | 98% | 100% |
8000語 | 86% | 94% | 98% | 98% | 99% | 98% | 100% |
9000語 | 88% | 95% | 98% | 98% | 99% | 98% | 100% |
10000語 | 90% | 96% | 99% | 99% | 99% | 99% | 100% |
11000語 | 92% | 96% | 99% | 99% | 99% | 99% | 100% |
12000語 | 93% | 97% | 99% | 99% | 99% | 99% | 100% |
13000語 | 94% | 98% | 99% | 99% | 99% | 99% | 100% |
14000語 | 95% | 98% | 99% | 99% | 99% | 99% | 100% |
15000語 | 95% | 98% | 99% | 99% | 99% | 99% | 100% |
同じ英検の英文を、SVL 12000と極限の英単語 Vol.1の計150000語でどの程度カバーできるか調べた内容が上記表です。パス単と比較すると、例えば英検4級はSVL 1レベルの1000語よりもパス単4~5級の845語の方がカバー率が高いので (85%と87%)、英検準2~5級については先にパス単で語彙力を鍛えた方が効率がよさそうです。
ただ、英検2級以上となるとパス単に未掲載の基本単語が多く使われてくるので、学校の英語教科書やSVL 12000などパス単以外の教材も併用する必要があるでしょう。英検の語彙レベルについては別途まとめているので、「英検1~5級の語彙数、英単語レベルの比較」も参照ください。
TOEIC公式問題集
パス単1~5級
公式TOEIC L&R 問題集2の第1回目の試験で使われていた英単語が、パス単1~5級にいくつ掲載されているかを知らべた結果が上記グラフです。TOEIC L&R 高得点の目安の語彙数は9000~10000程度と言われており、英検準1級と同程度か少し上ぐらいです。実際、英検1級用の語彙を集めたパス単1級掲載語は殆ど出題されておりませんでした。
パス単1~5級に掲載されていなかった範囲外405語について、SVL12000の語彙レベルで分類した結果が上記グラフです。
SVL12000 + 極限の英単語
同じ公式TOEIC L&R 問題集2 (第1回) の英文をSVL 12000の語彙レベルで分類した結果が上記グラフです。詳細は「TOEICに必要な語彙数は9000?」を参照ください。
ハリーポッター1巻 (米国版)
パス単1~5級
ハリーポッター 1巻 (米国版) を題材に英単語のカバー率を調べた結果が上記グラフです。
英検用の英単語集で、一般の洋書の英単語がどれほどカバーできるのか興味があったので調べましたが、やはりパス単1~5級の語彙数5745では不足しているようで53%しかカバーできていませんでした。
パス単1~5級範囲外の単語1710語について、語彙レベルを調べた結果が上記グラフです。
SVL12000 + 極限の英単語
ハリーポッター1巻 (米国版) の英文を26000語の語彙レベルで分類した結果が上記グラフです。パス単1~5級の5745語でカバー率53%でしたが、SVL 1~3の3000語で52%なので、小説を読むならパス単未掲載の基本単語もしっかり押さえておかないといけないようです。
終わりに
結局、パス単とSVL 12000の併用がオススメ
パス単の掲載語をSVL 12000と比較して確認してきましたが、パス単の特徴として
- 英検3~5級ではSVL 12000よりパス単の単語を覚えた方が効率が良い
- 英検1~準2級のレベルになるとパス単では基本単語が不足しているので、別の英語教科書や英単語集を併用した方が良い
上記2つの傾向がみられたかと思います。
最終的に英検準1級以上を狙っていくのであれば、「パス単5級→パス単4級→SVL 1→パス単3級→SVL 2→・・・」のように先にパス単で英検の頻出語や熟語を押さえつつ、SVL12000で基本単語が漏れないように覚えていくという方法が良いのではないでしょうか。パス単もSVL12000も単行本と電子書籍の他にスマホ用アプリもあるので、それぞれ好きなモノを購入できる点も良いです。それぞれの詳細は別途まとめているので参考にしてください。