英検4級は中学中級レベル……その具体的な難易度は気になりますよね。調べてみたので参考にしてみてください! その他の級については「英検関連の記事一覧」から参照ください。
実用英語技能検定 (英検) 4級とは?
4級の試験内容
筆記+リスニング
英検4級では、筆記 (リーディング) 35問、リスニング30問の計65問 (65分) 出題されます。一次試験と呼ばれていますが、英検5級と4級では二次試験はありません。筆記とリスニングの結果のみで合否が決まります。
本記事では、主に英検4級試験 (筆記&リスニング) に関して記載しています。
英検5級よりも大幅にボリュームアップ
英検5級と比較し、筆記・リスニング共に問題数が増えていますが、なによりも英文のボリューム (英単語の総語数) は約2.6倍に増えています。1問にかけられる時間は変わらず1分なので、英検4級合格には英文の読解スピードの向上が大きなカギとなっていますね。
総語数などの英検4級の解析結果は後述します。
スピーキング用のテストもある
2016年から英検4級用のスピーキングテストも始まりました。こちらは通常の英検4級試験とは別に受験できます。テスト形式は録音形式で、自宅のPCやスマホで音声を録音・送信し、合否が決まります。
4級の難易度は中学2年レベル? 英単語レベルを調査してみる
英検では、英検4級の目安を中学中級としています。しかし、「中学中級」って何ですかね? 中学2年レベル? 本記事では英検4級の試験で使われている英単語のレベルを調査し、より具体的に中学中級レベルの難易度を調査しました。結果は後述します。
なお、パス単4級についても調べた記事があるので合わせて参考にしてください。
4級の合格率
4級の合格率は約70%
4級の合格ラインは6割
2016年度からの新しい合否判定方法について
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016admission.html
英検は2016年から採点の方法が変わりました。英検のサイトで合否判定方法について説明がありますが、要は、英検4級では筆記、リスニングそれぞれの正解率は6割が目安ということです。
ただし、配点は受験者全体の回答状況により変わる形式ですので、余裕をもって7割を目指した方が確実でしょう。
4級はいつ受験するべきか
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一部中学では、入試テストの点数に加点できる
英検3~5級は中学レベル難易度ですので、取得するなら少なくとも中学卒業前までが良いでしょう。
特に、一部の中学校・高校では英検の級に応じて入試が有利になります。これら入試で利用する場合は間に合うように余裕をもって4級を受験しましょう。
入試に合わせて3級や準2級の合格を狙う場合は、その1年ぐらい前までに英検受験に慣れるために4級を受けてみても良いかと思います。
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高校生以降はTOEIC受験がオススメ
高校生以降に本格的に英語の勉強を始める場合、英検3~5級よりもTOEICをオススメします。
高校生以降で本格的に英語を勉強する場合、目指すレベルはかなり高いものになるかと思いますので、英検3~5級では成長の度合いを測るのは困難だからです。それよりも、TOEICの点数を指標にした方が自分の成長度合いが客観的にわかるのでオススメです。。
英検4級試験の語彙レベル解析 (中学校教科書)
概要
中学校の教科書レベルで分類
英検4級は中学中級程度と公式に言われているので、中学校の英語教科書で殆どの英単語が賄えると考えられます。そこで、実際に中学1~3年の英語教科書に掲載されている英単語がどれほど英検4級の試験で使われているか確認します。
中学校英語の教科書はNew Cown、New Horizonなど数種類ありますが、本記事では開隆堂のSunshineを利用します。この中学校1~3年向けのSunshine (2016年度版) に掲載されている英単語は開隆堂がExcelで公開していましたので、利用させていただきました。
種類 | 対象 | 掲載語数 |
---|---|---|
Sunshine 1 教科書 | 中学校 1年 | 約630 |
Sunshine 2 教科書 | 中学校 2年 | 約550 |
Sunshine 3 教科書 | 中学校 3年 | 約500 |
中学校レベルの英単語一覧について別途調べた記事があるので、そちらも参照ください。
解析の対象にする単語
筆記試験 | 英検のサイトで公開されている過去問から英文を抽出 |
リスニング | 過去問ページで公開されているスクリプトと問題用紙に掲載されている英文 |
本記事では、英検4級の一次試験 (筆記&リスニング) に登場する英単語のレベルを解析します。
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筆記
筆記問題は、問題用紙に掲載されている問題文および選択しを解析対象とします。
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リスニング
リスニング問題は、問題用紙に掲載されている選択肢と、トークの原稿を解析対象とします。
英検4級の語彙レベル
総語数
英検4級で使われた英単語を中学1~3年の教科書レベルに分類した結果です。全体の82%が中学1年の教科書に、12%が中学2年の教科書に掲載されている英単語であることが分かります。中学2年レベルの英単語の使用率は英検5級と比較すると 4% → 12% まで増えています。
英単語の種類
単語の重複を除外し、英単語の種類で分類した結果が上記です。中学2年レベルの英単語は、英検5級と比較し 23 → 100 と4倍近く使われるようになっています。流石に英検4級は中学1年の英単語だけでは賄いきれませんね。
英単語の種類 (正解選択肢のみ)
次いで、問題の正解で使われる単語のみ抜粋して調べた結果が上記グラフです。中学1~2年レベルの教科書に掲載されている英単語で92%カバーできているので、中学3年以上の英単語を覚えていなくとも合格は何とかなりそうですね。
英検4級の目標語彙数
一般的に英検4級の語彙数は600~1300ぐらいと言われています。
本記事では中学校の英語教科書を基準に語彙のレベルを分類してみましたが、中学2年までの教科書で8割以上の英単語が賄うことができると分かりました。今回利用したSunshineは、中学1年用に約630語、2年用には約550語の英単語が掲載されています。重複などを除外すると合わせて約1100でしたので、英検4級の目標語彙数は1100で良いかと思います。
範囲外の単語
英検4級の試験で使われた英単語のうち、英語教科書Sunshine 1~3に掲載されていない単語は48語ありました。参考までに10単語ほど掲載しておきます。
Sunshine教科書の範囲外の英単語 (10語抜粋)
arm, artist, badminton, bank, bat, bowl, bowling, bridge, busily, cafeteria
なお、教科書Sunshineの範囲外であっても殆どは以下の中学1年~3年の英語教科書いずれかには掲載されていました。1つの教科書では全英単語を賄いきれなくても、使われる英単語自体は中学レベルであると言えますね。
- 三省堂:ニュークラウン (New Crown)
- 東京書籍:ニューホライズン (New Horizon)
- 光村図書:コロンブス (Columbus)
- 教育出版:ワンワールド (One World)
- 学校図書:トータル (Total)
英検4級試験の語彙レベル解析 (SVL 12000)
概要
26000の語彙レベルで分類
本サイトの他の記事と同様に、英検4級の試験で使われている英文の語彙レベルを26000語レベルでも分類していきます。語彙レベルはアルクのSVL 12000 (1~12000語レベル) と極限の英単語・終極の英単語 (12001~26000語レベル) を基準としています。解析手順については「英文の語彙レベル解析手順について」を参照ください。
なお、26000もの語彙レベルで分類する必要が無い場合であっても、SVL 12000でカバーできない英単語の特徴が掴めるように26000語レベルで分類しています。
基準となる英単語リスト | 語彙レベル | レビュー記事 |
---|---|---|
SVL 12000 | 1~12000 | レビュー |
極限の英単語 Vol.1~4 | 12001~24000 | レビュー |
終極の英単語 | 24001~26000 |
解析の対象にする単語
中学校教科書での語彙レベル解析と同じく、過去問およびその解答例を対象とします。
筆記試験 | 英検のサイトで公開されている過去問から英文を抽出 |
リスニング | 過去問ページで公開されているスクリプトと問題用紙に掲載されている英文 |
英検4級の語彙レベル
総語数
上記は英検4級試験で使われた全英単語1934語を、語彙レベルで分類した結果です。英検5級と比較し、大きく変更されているのは英文のボリュームです。問題数は1.3倍 (50問 → 65問)、試験時間は約1.4倍 (45分 → 65分)ですが、英単語数は720語から1934語へと約2.7倍になっています。英単語の知識だけでなく、英文の読解スピードの向上が必要であるとよくわかりますね。
英単語の種類
単語の重複を除外し、英単語の種類で分類した結果が上記です。441種類の英単語が使われていました。英検5級では245種類だったので、使われる英単語も多彩になっていることが分かります。
英検4級の語彙レベル – 筆記・リスニング別 –
英単語の種類
使われた英単語を筆記・リンスニング別で分類した結果がこちらです。2000~3000語レベルの単語はリスニングの方が多めに使われていました。リスニングはイラストが使われたり会話文だったりするので、多少筆記よりも表現が多彩になるのかもしれませんね。
英検4級の目標語彙数
SVL 12000基準の解析では、目安となる語彙数は算出できません。というのも、
- SVL 12000と中学・高校で学習する英単語の正確な相関が不明 (キレイに分布しない)
- SVL 12000は1000語単位で区切られているため、1000語未満の語数の計算は正確にできない
という理由があるからです。そのため、基本的には中学校教科書を使った語彙レベル解析で述べた1100語を目安の語彙数として考えれば問題ないかと思います。
範囲外の単語
26000語で分類できない英単語が2語使われていましたので、参考までに掲載します。英単語の種類は非常に多いので、基本的な単語でも範囲外になったりすることはあります。
英検4級試験 (2017年6月実施) で登場した26000語範囲外の英単語 (2語)
coldly, popcorn
英検4級の対策
英単語は中学1~2年の教科書で80%を押さえられる
本記事で、英検4級の試験に登場する英単語の6割は中学1年の教科書に、2割は中学2年の教科書に掲載されていると判明しました。
手元に中学生の教科書があれば、教科書の内容が理解できるまでしっかりと繰り返し読み込むことで英検4級の対策になるでしょう。教科書ガイドでは音声が聞けるCDが付属しているので、これで対策するのも十分有用でしょう。
教科書で勉強し、過去問を試して、それでもまだ不足を感じるのであれば対策用の教材を購入しても良いかと思います。
オススメ参考書
リスニング対策もできる教材がオススメ
英単語は教科書で学習できますが、やはりリスニングの勉強は音声が必要です。英検のサイトの過去問ではリスニング音声もダウンロードできますが、それだけでは足りないという場合はCD付きの教材が良いでしょう。
その他Amazonには色々ありますよ!
語彙対策は「でる順パス単」
でる順パス単とは、5年分の英検の試験問題を分析し、よく出題される英単語を「でる順」で掲載している英検向けの英単語集です。
パス単シリーズは英検5級~1級までそろっているので、英検合格を狙うならまずはこの英単語集に掲載されている単語を押さえると効率良いと思います。パス単5級の掲載語について別途調べていますので、以下記事も参考にしてください。
将来的に英検3級以上を目標とする場合は、SVL Vol.1 もあり
英検5級~準2級まではSVL Vol.1が該当
英検3級は中学卒業レベル、英検準2級は高校中級レベルと英検では定義されています。ここで、本サイトで中学・高校レベルの英単語とSVL 12000の相関を確認した結果をみると、英検5級~準2級まではSVL 1~3 の範囲が該当することがわかります。
実際には、英検4~準2級ではSVL 4~5レベルの英単語が多少でてきますが、基本はSVL 1~3の範囲に収まるため、SVL Vol.1で単語をしっかりと確認しておけば単語の漏れは殆どなくなります。
英検準1級や1級を見据えて
SVL 12000は単語の重複が無く、頻出順に12000語もの英単語を揃えている点が素晴らしく、今後英検準1級や1級を目指すのであれば今のうちから利用していくことをオススメします。
教科書やその他の教材で英語を勉強してきたうえで、試験前に暗記漏れの単語がないか探すことに利用する方法も良いでしょう。SVL 12000については以下記事を参照ください。