英検2級は高校卒業レベルと定義されていますが、気になったので実際に試験に使われた英単語を解析してみました! その他の級については「英検関連の記事一覧」から参照ください。
実用英語技能検定 (英検) 2級とは?
2級の試験内容
試験時間は準2級よりも10分長い
英検2級では一次試験ではリーディング・ライティング・リスニングの問題が出題されます。そして一次試験の合格者は別の日に改めて二次試験であるスピーキングテスト (面接形式) を受験し、こちらの合格者が晴れて英検2級合格となります。
筆記試験は準2級よりも10分長くなっており、内容も医療やテクノロジーについてなど高度なトピックが増えてきます。ライティングについては解答のコツをキチンと把握し、減点されないように注意しましょう!
リーディング・リスニング共に総語数は約700語増加
英検準2級から高校英語の範囲が加わりましたが、英検2級では中学・高校英語の集大成ともいえるレベルになり、準2級よりもさらに難易度が高くなり、試験時間も10分長くなっています。
試験問題の総語数については、英検準2級ではリーディング・リスニング共に約2200語でしたが、2級では約2900語へと700語も追加されており、より長文の読解能力が求められてきています。
英検準2級~1級は一次試験免除制度がある
2級は二次試験 (スピーキング) が必須ですが、実は二次試験で不合格になってしまった場合、1年間は一次試験の受験を免除してもらうことができます (要事前申請)。
そこで、「一次試験 (リーディング&ライティング) の対策は十分だけど二次試験 (スピーキング) は自信が無い……」という場合、一次試験だけ先に合格しておいて、その後1年間はスピーキングを集中して勉強する、という戦略もできますね!
2級、高校卒業レベルの語彙レベルは?
英検では、英検2級の目安を高校卒業 (大学入試) レベルとしています。中学校で学ぶ英単語数は約1000語、高校では約4000語と言われており、英検2級の必要語彙数は3,800~5,100程度なので中学・高校英語の単語をしっかり把握していれば大丈夫のはずですが……本当でしょうか?
本記事では、実際の英検2級で使われた英単語と中学・高校高レベルの英単語を突き合わせ、具体的に使われている語彙レベルを調査しました。結果は後述します。
なお、パス単2級についても調べた記事があるので合わせて参考にしてください。
2級の合格率
2級の合格率は約25%
2級の合格ラインは6割
2016年度からの新しい合否判定方法について
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016admission.html
英検は2016年から採点の方法が変わりました。英検のサイトで合否判定方法について説明がありますが、要は、英検2級ではリーディング、ライティング、リスニングそれぞれの正解率は6割が目安ということです。
ただし、配点は受験者全体の回答状況により変わる形式ですので、余裕をもって7割を目指した方が確実でしょう。
英検2級をTOEICスコアにすると?
2級はTOEIC530点レベル
近年のデータは公開されていないため、2013年度までのデータを掲載しています。
TOEIC公式が発表しているデータによると、英検2級取得者のTOEIC平均スコアは528点 (リスニング299点、リーディング229点) です。概ね345~740点ぐらいの範囲に散らばっているようです。
英検2級試験の語彙レベル解析 (中学~大学院水準)
概要
中学~大学院水準の英単語で分類
オンライン辞書サービスのWeblioには研究社の新英和中辞典が掲載されていますが、英単語が中学以上 (約1000語)、高校以上 (約3000語)、大学以上 (約4000語)、大学院以上 (約2000語) の4つのレベルで分類されています。
英検2級に登場する英単語が、中学~大学院レベル計10000語のどのレベルに当てはまるのかを本記事で調査しました。なお、この中学~大学院レベルの英単語とSVL 12000の関連はグラフの通りです。詳細は以下の記事を参照ください。
本記事で解析の対象にする単語
筆記試験 | 英検のサイトで公開されている過去問から英文を抽出 |
筆記試験(ライティング) | 解答例に記載されている英文 |
リスニング | 過去問ページで公開されているスクリプトと問題用紙に掲載されている英文 |
スピーキング | 問題と解答のサンプルで使われている英文 |
一次試験は実際の試験で使われた英文
本記事では、2017年第1回の英検2級試験に登場する英単語のレベルを解析します。
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リーディング
リーディング問題は、問題用紙に掲載されている問題文および選択肢を解析対象とします。
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ライティング
ライティング問題は、問題用紙に掲載されている問題文、および解答用紙に掲載されている解答例の英文を解析対象とします。
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リスニング
リスニング問題は、問題用紙に掲載されている選択肢と、トークの原稿を解析対象とします。
二次試験は英検のサイトに掲載されているサンプル英文を解析
二次試験 (面接形式のスピーキングテスト) は過去問がありませんので、英検のサイトで公開されている問題と解答のサンプルで使われている英文を解析対象とします。
英検2級の語彙レベル
総語数
英検2級で使われた英単語を中学~大学院水準に分類した結果です。総語数の84%が中学水準、12%が高校水準の英単語が使われていることが分かります。
英単語の種類
単語の重複を除外し、英単語の種類で分類した結果が上記です。英検準2級と比較すると高校水準の英単語の割合が8%ほど増えていますが、全体的には中学・高校水準で9割以上賄えていることが分かります。このレベルであれば、確かに英検2級は高校卒業レベルであると言えそうですね。
範囲外の単語
Weblio掲載の新英和中辞典の基準では、中学・高校水準に収まらない英単語も一定数登場していますが、実際にはそこまで高レベルの英単語が使われているわけではありまえん。英単語には派生語や関連語が多数あるため、意味が推測できる英単語である場合が多いです。どのような単語か参考までに掲載しておきますね。
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大学水準の英単語例
conditioner, coupon, dizzy, locker, math, recycle, secondhand
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大学院水準の英単語例
aerobic, antibiotic, Brazil, Egypt, politely, pygmy, yoga
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範囲外の英単語例
bacteria, childcare, drug, emphasize, hawker, rent, skydiving
英検2級試験の語彙レベル解析 (SVL 12000)
概要
26000の語彙レベルで分類
本サイトの他の記事と同様に、英検2級の試験で使われている英文の語彙レベルを26000語レベルでも分類していきます。語彙レベルはアルクのSVL 12000 (1~12000語レベル) と極限の英単語・終極の英単語 (12001~26000語レベル) を基準としています。解析手順については「英文の語彙レベル解析手順について」を参照ください。
なお、26000もの語彙レベルで分類する必要が無い場合であっても、SVL 12000でカバーできない英単語の特徴が掴めるように26000語レベルで分類しています。
基準となる英単語リスト | 語彙レベル | レビュー記事 |
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SVL 12000 | 1~12000 | レビュー |
極限の英単語 Vol.1~4 | 12001~24000 | レビュー |
終極の英単語 | 24001~26000 |
本記事で解析の対象にする単語
中学~大学院水準での語彙レベル解析と同じく、過去問およびその解答例・サンプルを対象とします。
筆記試験 | 英検のサイトで公開されている過去問から英文を抽出 |
筆記試験(ライティング) | 解答例に記載されている英文 |
リスニング | 過去問ページで公開されているスクリプトと問題用紙に掲載されている英文 |
スピーキング | 問題と解答のサンプルで使われている英文 |
英検2級の語彙レベル
総語数
上記は英検2級試験で使われた全英単語6048語を、語彙レベルで分類した結果です。英検準2級から約1500語も増えておりますが、基本的には3000語レベルに収まる単語が殆どです
英単語の種類
単語の重複を除外し、英単語の種類で分類した結果が上記です。1082種類の英単語が使われていました。SVL 12000の分類では5000~6000語レベルまでの単語が概ね使われているようですが、英検準2級と比較すると2000~4000語レベルの単語の数が強化されてきています。
英検2級の語彙レベル – 筆記・リスニング・スピーキング別 –
英単語の種類
使われた英単語を筆記・リンスニング・スピーキング別で分類した結果がこちらです。筆記・リスニングは5000語レベルの単語も使われていますが、スピーキングに限って言えば2000語レベルまでの単語で殆ど賄えますので、基本的な英単語で会話でできるように訓練すれば問題ないでしょう。
※ | 筆記試験で使われた英単語がリスニングやスピーキングでも使われているというケースがあるため、試験全体の英単語の種類の総数と上記グラフの語数の合計は一致しません。以降のグラフも同様です。 |
英検2級の語彙レベル – 筆記パート別 –
英単語の種類
内容 | 問題数 | 総語数 | 単語の種類 | |
---|---|---|---|---|
筆記試験パート1 | 短文: 語句選択 | 20 | 613 | 320 |
筆記試験パート2 | 長文: 語句選択 | 6 | 592 | 256 |
筆記試験パート3 | 長文: 内容一致選択 | 12 | 1561 | 421 |
筆記試験パート4 | 英作文 | 1 | 118 | 56 |
※ | 総語数や単語の種類には、人名や地名などは含まれていません |
パート別に語彙レベルの差が分かるように分類し、さらに語数 (縦軸) のスケールを50まで拡大したグラフです。4000~5000語レベルの英単語は主に筆記パート1やパート3で登場していることが分かります。パート1・3のスコアが伸びない場合、4000~5000レベルの語彙が不足してい無いか確認してみた方が良いかもしれませんね。
英検2級の語彙レベル – リスニング パート別 –
英単語の種類
内容 | 問題数 | 総語数 | 単語の種類 | |
---|---|---|---|---|
リスニングパート1 | 会話: 内容一致選択 | 15 | 1442 | 385 |
リスニングパート2 | 文: 内容一致選択 | 15 | 1356 | 428 |
※ | 総語数や単語の種類には、人名や地名などは含まれていません |
パート別に語彙レベルの差が分かるように分類し、さらに語数 (縦軸) のスケールを50まで拡大したグラフです。リスニング パート1とパート2では総語数にそこまで差はありませんが、語意レベルは明らかにパート2の方が高いようです。
英検2級の目標語彙数
試験で使われる英単語の95%カバーするには5,100語
本記事の解析結果より、SVL 12000基準で考えれば試験全体の95%の英単語をカバーするには語彙は5,100語、90%カバーであれば3,800語が必要な語彙数となります。
英検2級の合格目安は正解率6割と言われているので、英単語の95%もカバー出来なくても合格できる可能性は高いですが、90%カバーの3,800語では少々心許ないトコロです。リスニング・スピーキング・ライティングなどに自信があれば4,000語強を目安に、語彙対策を十全にしたいのであれば5,100を目安にしてはいかがでしょうか。
範囲外の単語
26000語で分類できない英単語が7語使われていました。しかし、cerebellum (小脳) のような難易度が高い単語は、”the part of the brain called the cerebellum” のように別の簡易な言葉で説明されているので、あまり構える必要はありませんよ。
英検2級試験 (2017年6月実施) で登場した26000語範囲外の英単語 (7語
cerebellum, dizziness, efficiently, politely, rainforest, skydiver, traditionally
英検2級の対策
オススメ問題集
申し込みから二次試験対策まで網羅
英検2級が初めての英検という方もいるのではないでしょうか。
一次試験、二次試験 (面接形式) と別れており、TOEICよりも手順が多いので最初は総合的に対策できる教材がオススメです。その他Amazonには色々ありますよ!
効率良く英単語を覚えるなら、専用の英単語集がオススメ
高校英語の範囲は広いため、教科書や参考書よりも、英単語暗記用の専用の教材1つあると使いやすいです。特にパス単は評価も高いですし、英検2級によくでる単語から覚えられるのでオススメです。詳細は以下を参照ください。
SVL Vol.1~Vol.2で暗記漏れの英単語を無くそう!
SVL Vol.1+Vol.2で英検2級の96%の単語を網羅
本記事の解析で、実際の英検2級に登場した英単語1085種類の実に96%の単語がSVL 1~6 (SVL Vol.1とVol.2) に掲載されていることがわかりました。
準2級合格だけであればVol.2は不要かもしれません。しかし、英検準1級を目指す場合は7,500~9,000語の語彙数が必要となるため、SVL Vol.2で単語の暗記漏れを無くしておくことは英検準1級の準備にもつながりますよ!
英検準1級や1級を見据えて
SVL 12000は単語の重複が無く、頻出順に12000語もの英単語を揃えている点が素晴らしく、今後英検準1級や1級を目指すのであれば今のうちから利用していくことをオススメします。
教科書やその他の教材で英語を勉強してきたうえで、試験前に暗記漏れの単語がないか探すことに利用する方法も良いでしょう。SVL 12000については以下記事を参照ください。