北米版 十三機兵防衛圏
概要
複数の時代を舞台にした13人の主人公が描くSF群像劇
英語タイトル | 13 Sentinels: Aegis Rim |
ジャンル | ドラマチックアドベンチャー + シミュレーションバトル |
私のプレイ時間 | 約45時間 (トロコン) |
機種 | PS4 |
13人それぞれが抱える謎、そして世界の真実を解き明かす
いくつかの時代に生きる少年少女たちが機兵に乗り込み、1985年に襲来する怪獣と人類の存亡をかけ戦うというSF作品。13人の主人公の視点から少しずつ話しが展開され最終的に1つの物語に収束していく。少年少女たちが見る謎の夢、絡まる複数の思惑、突然現れる正体不明の敵、そして時空を移動する超技術といった複雑な世界観や人間関係が魅力の物語だが、ゲームならではの物語の展開の仕方が特に素晴らしい。
北米版ソフトを購入すれば英語でプレイ可能
2019年11月に十三機兵防衛圏が発売されたのち2020年9月に北米版が発売されたので、北米版を購入すれば英語でプレイすることができる。PS4本体は日本版で良く、ソフトだけ北米版を準備すれば良い。
なお、北米版では字幕は英語のみだが、音声は日本語と英語を切り替えることができる。
構成
3つのパートで物語を紐解く
追想編 (Remembrance)
物語の本編であり本作最大の魅力でもあるアドベンチャーパート。
13人の主人公が織りなす群像劇で、会話をしてキーワードを入手し、考察し、相手に問を投げかけて謎を解明していく。幾重にも絡んだ複雑な謎を解き明かしていく過程がたまらなく面白い……!
13人分の物語があるが、各人物の物語は途中でロックが掛かり先に進めなくなる。別の人物の物語を進めたり崩壊編のシナリオを進めるとロック解除となるので、自然と全員の物語を少しずつ体験していくことになる。ちなみに一度体験したイベントは、究明編の Event Archive から再度見ることができる。
崩壊編 (Destruction)
拠点を守りながら未知なる敵と機兵で戦うシミュレーションバトルパート。
近接型 (Melee Combat Type)、万能型 (Universal Type)、遠距離型 (Long-Distance Type)、飛行型 (Flight Support Type) の4タイプの機兵 (Sentinel) を駆使し、襲い掛かる怪獣 (Kaiju) を殲滅することが目的。そこまで難しくない上に難易度も設定もでき、一番簡単な難易度で進めても物語の進行には支障無いのは嬉しい。また、入手したポイントで兵装や機体の強化ができるのは意外に楽しかった。
究明編 (Analysis)
体験した物語を整理することができるアーカイブパート。
追想編・崩壊編で起こったイベントと用語が一覧で確認でき、新たな出来事が起こるたびに内容が追加・更新されていく。読まなくてもストーリーの進行に支障は無いが、読むと状況整理の助けになるし、英文量が多いので勉強にもなるので定期的に確認するほうがオススメ。
英語学習に向いているポイント
テンポが良いので文章に疲れにくい
1文、1エピソードが短い
追想編では各主人公の物語を少しずつ体験していくが、一度に表示される文章が短く、各エピソードも長くないのでテンポが良く集中力が途切れない。
- 画面上で1回に表示される文章は1~2行
- 1回分のエピソードは10~20分程度
また、会話と会話の間には都度キャラクター操作を挟むので精神的な休息が取れるし、無関係なサブクエストや長々とした移動は無いので物語に集中できるのも嬉しい。会話も序盤~中盤は比較的簡単なので、個人的にはRPGやノベルゲームよりも英語でゲームを進めやすかった。
ちなみに Yakisoba Pan、Nikuman、Kaiju、Sukeban など日本語の名詞がそのまま使われている場合もあり、会話は読んでいて面白い。他にもKurabe-kun、Miwako-chan、Gouto senpai など呼称には日本語的な表現が多いが、これらは日本のアニメやマンガが英訳された時に良く使われているので、英語圏でも日本の作品を好む層には通じたりする。
いつでも見れるバックログ
音声再生も可能
ありがたいことに過去の会話をさかのぼって確認できるバックログ機能が追憶編と崩壊編で利用できる。物語後半は会話の内容が複雑になってくるので重宝するし、1行単位で音声再生が可能なので発音の再確認も簡単で助かった。
好きなタイミングで日英音声を切り替え可能
バックログから日本語音声で聞き直すこともできる
ゲーム開始時に音声言語の選択がでるが、ゲーム中でもオプションで言語を切り替えることができる。バックログで音声再生が可能なので、会話の内容がイマイチ理解できなかったら言語を変更してバックログから会話を日本語で聞き直すことができる。便利。
ただし英文は日本語の直訳ではなく言い回しが変わっている箇所は多々ある。日本語での聞き直しは話の流れの確認には使えるが、日英で文章を比較するのには向いていない。
感想 (ネタバレほぼ無し)
崩壊編 (バトルパート)
物足りなさはあるがハマる要素はある
タワーディフェンス型のシミュレーションはあまり得意ではなかったが、同一ステージを何度も繰り返しプレイでき、ステージクリアで入手できるポイントで兵装をカスタマイズできるのでしばらくバトルにハマってしまった……! ちなみにカスタマイズ画面は英文が多くて一瞬面食らったが、実際は大したことは書いてなかった。ヨカッタ。
崩壊編は、バトルフィールド上では機兵や怪獣が簡易表示されて細部が見えないなど単体で考えると色々物足りなさはあるが、あくまでも追想編がメインだと考えればバトル要素はこのぐらいでも良いのかなと。
追想編 (アドベンチャーパート)
立体パズルを組み立てるようなストーリー展開が秀逸
ストーリー自体が奇をてらっていたというより、情報の見せ方がとにかく秀逸だっという印象。
- ① それぞれの思惑を持った複数の登場人物の視点から
- ② 過去・現在・未来の時間軸の出来事が
- ③ 時系列バラバラに提示される
① × ② × ③ となることで、立体パズルを様々な地点から組み立てていく感覚で、ゲームならではの満足感を得られた。システム上、各主人公の視点から少しずつ物語を進めざるを得ないが、常に驚きの事実と新たな謎が展開されていくため13人全員の物語が面白いというのは驚異。
情報量が多く複雑なので時間をかけてじっくり進めるよりも、究明編のアーカイブにも目を通して状況を整理しつつ短期間で一気にクリアまでした方が良いかなと思う。
美麗なビジュアルは圧巻……
十三機兵防衛圏が気になったキッカケはキャラクターと背景の絵だったが、実際にプレイしても期待を裏切らない素晴らしさであった。夕焼けに染まった教室には哀愁を感じ、美しい夕日には心を奪われ、崩壊した街には圧倒させられた……。キャラクターの動作・仕草も個性が出ており、表情がころころ変わったり1人1人異なる歩き方をするのは見ていて楽しい!
聞きやすい英語音声
初プレイを英語音声で行ったわけだが、声はキャラクターの性格に合っていたし演技も良かった。英文は日本語のセリフをそのまま翻訳したわけでもなく言い回しが変わっていることもあり、日本語音声+英文では少々分かりづらいと思うので、基本は英語音声の方がオススメ。
焼きそばパン 焼きそばパン 焼きそばパン
ネタバレ防止のため詳細は避けるが、シリアス路線の本作においては、度々でてくる焼きそばパンのくだりは思わず笑ってしまう奇妙な面白さがあった……! 熱い焼きそばパン推しで、私もクリア後に購入して食べてしまった。海外でも触発されて Yakisoba Pan を自分で作って食べてみたという人もいるとかいないとか……。
以上