「少年漫画を少女達でやる青年漫画調の冒険譚」をコンセプトにしたビジュアルノベル fault シリーズ。
以前第 1 作目をプレイしましたが、面白かったので 2 作目もプレイしてみました!
目 次
英語版 fault – milestone two 上
概要
故郷を追われた少女達は、帰郷の最中、新たなる地に辿り着く
少女達の旅路を描く、シリーズ第二弾
突然の襲撃から逃れるためとはいえ、故郷である王国ルゼンハイドから世界の裏側へクラフトで瞬間移動してしまったセルフィーネ姫とガーディアンのリトナ。彼女達は見知らぬ土地でなんとか状況を整えることができ、故郷へ戻るために船に乗り旅立つ。順調に港町ポート・セアサリーにたどり着いた彼女達だったが、街案内を申し出た少年ソルと出会ったことをきっかけに町の裏の面を知ることになり、トラブルに巻き込まれていく――。
fault シリーズ
「少年漫画を少女達でやる青年漫画調の冒険譚」をコンセプトとした連作型ビジュアルノベルシリーズ。読み切り型で、1 作品は 1 舞台で物語が展開していく。2021 年 10 月時点で発表されているのは以下。ただ、SILENCE THE PEDANT は one の5年前の物語のようだが、プログラマーの確保に難儀しているようで今だに発売日未定。
発売年 | シリーズ一覧 |
---|---|
2013年 | fault milestone one |
2015年 | fault milestone two side:Above |
2021年 | fault milestone two side:Below |
未定 | fault SILENCE THE PEDANT (1作目の5年前の話) |
2018年 | マクナ=グラムラとフェアリー・ベル (スピンオフ) |
英語でプレイするには
本シリーズは多言語対応しており、ゲーム内のオプションで字幕言語を変更可能。音声は無し。なお、Switch 版はストーリーに変更は無いがイベント絵などがいくつか新しくなっている。
第1作: fault – milestone one 概要
平和の終わりは、旅の始まり。
少年漫画を少女達でやる青年漫画調のビジュアルノベル
マナが豊富で平和な王国ルゼンハイドはある夜、謎の集団に襲われる。セルフィーネ姫とガーディアンであるリトナは瞬間移動のクラフトで間一髪脱出するが、たどり着いたのは科学が発達する世界の裏側。そしてマナが不足して満足にクラフトを使うこともできぬその大地で、彼女たちは不思議な少女と出会う――。
one も two 上と同様に約10時間でクリアできる程度の長さ。本シリーズは完全にストーリーが続いているので、もし興味があったら one から順番にプレイする方がオススメ。ちなみに PS4/Switch 版は移植作でストーリーに変更はないがビジュアルが更新されている。
英語の題材として
言い回しが割と難しい
字幕言語切り替えは簡単
慣用句や句動詞が比較的多めで、固有名詞の発音も日本的でないものが出てくるので地味に難しいと感じる部分はあった。しかし、本作の Steam 版はキー1つで日英字幕切り替えができたので、辞書で調べなくても発言内容の確認は簡単にできたのは良かった。
- [E]: 英語に切り替え
- [J]: 日本語に切り替え
- [Shift] + [A]: 字幕切り替えメニュー表示
残念だったのは Steam 版ではバックログ機能が無かったこと。一応マウスホイールを上に回すと過去のセリフに戻れたが、字幕言語を切り替えると遡り可能位置がリセットされてしまった。切り替えタイミングには少し注意が必要だったので少し面倒ではあった。
遭遇した表現を一部紹介
have someone's word
(約束する、保証する)
自分の発言内容は必ず守ると、Selphine が敵対相手に発言している場面。
“someone's word” とは直前の発言内容のことで、あなたはその発言内容を持っている → その内容は約束・保障する、という意味になる。
not give a damn/darn
(全然気にしない、どうでもいい)
命令に従わないと罰すると発言した学院長 (左から 2 番目) に対して、そんな事どうでも良いと Misha (一番右) が返答した場面。
スラング。 “damn” すら与えたくないほど、どうでも良いということ。darn は damn の湾曲表現。
out of someone's hair
(うるさくまつわりつかない)
先にひと悶着起こしておけば、ある程度までは好きにさせてくれると Misha が発言した場面。
“in someone's hair” で「髪にまとわりつくように邪魔」という意味。”out of ~” にするとその逆の意味になる。
foot the bill
(勘定を持つ)
案内をしてくれた人に食事をおごると Ritona が発言している場面。
“foot” には元々 1 語で「(数字を)合計する」の意味があったようで、”foot the bill” で「勘定を合計する」となる。ここから、支払う責任を引き受けるということに。
in one ear and out the other
(馬耳東風で、聞き流して)
少年が会話を全然聞いていないと Rune が思った場面。
話が片方の耳から入ってもう片方の耳から抜けていくということ。単にぼんやりしていて聞いたことが頭に残らない場合にも使う。
be pushing up (the) daisies
(墓に埋葬されている、死んでいる)
運が悪ければ Ritona は今頃死んでいたと男性が発言した場面。
デイジーがよく墓の上に生えることから、死んでいることを墓の下からデイジーを押し上げいると、比喩的に表現している。
全体的な感想 (若干のネタバレあり)
理不尽を扱ったビターな物語
one をプレイしてから two 上 をやるまで 3 年ぐらい期間が空いてしまったが、前作のストーリーも概ね覚えていたし今作も面白かったので満足。
特に今作で良かったのは、前作ラストでも登場したセルフィーネの別人格リガン。two 上の冒頭では冷酷さが際立っていたが、2 度目の登場時は性格が幾分マイルドになっており、指導者として周囲を引っ張っていくカリスマ性も感じさせていた。セルフィーネとルーンは温和だった分、リガンの取る手段が苛烈で、展開に緊張感が出てきたのは良かった。
また、今作では国民の貧困や不平等が取り上げられており、全体的にシリアスで暗めだったが終盤のビターな展開はなかなか良かった。「マナクラフト」という魔法のような技術に細かい設定がされており、世界観に密接に結びついた描写が面白かったし、結末も先が気になる展開で早く続編をプレイしたいと思わされた。
不満点
不満に感じたのは以下 2 点。
- 一部のイベント絵で、人物のバランスが崩れている
- 全体的な物語の進行としては遅い
まず、一部のイベント絵で人物のバランスが少し崩れていたのが残念だった。2020年に移植販売された Switch 版ではビジュアル面が大きくリニューアルされているとのことなので、そちらではある程度改善されている模様。
あと、two 上の物語自体は良かったのだが、物語全体から見ると殆ど進行していなかったのは残念。fault シリーズの新作が出るスピードがかなり遅いので、果たして物語が完結するまで何年かかるのだろうか、という心配は残る。いっそのこと小説で出てほしいとの思いもあるが、とりあえずシリーズが続いていくことを祈るばかり……。
と、不満点はあれど話は面白いし英語の勉強の題材としてもオススメ。その他オススメのノベルゲームはこちら「英語ノベルゲーム21選」。