英検準1級に必要な英単語数は8000? 解析した結果……
英検準1級は大学中級レベル……。つまり、具体的にはどの程度の語彙数が必要なのかを調べました! その他の級については「英検関連の記事一覧」から参照ください。
実用英語技能検定 (英検) 準1級とは?
準1級の試験内容
一次試験は120分になり、TOEICと同じ試験時間になる
英検準1級では一次試験ではリーディング・ライティング・リスニングの問題が出題されます。そして一次試験の合格者は別の日に改めて二次試験であるスピーキングテスト (面接形式) を受験し、こちらの合格者が晴れて英検準1級合格となります。
筆記とリスニングの試験時間は合計120分となり、TOEICと同じく長時間の集中が試されます。ライティングについても解答のコツをキチンと把握し、減点されないように注意しましょう!
難易度の上昇は英文量よりも英単語レベル上昇の影響が強い
英検2級と比較し、リーディングとリスニングの試験時間が5分ずつ伸びています。英文の量も約1200語ほど増加していますが、1200語増えただけではそこまで難易度は上昇しません。全体の難易度の増加の原因としては、英単語のレベル上昇による影響の方が大きいようです。
具体的な英単語レベルについては、別途言及します。
英検2級~1級は一次試験免除制度がある
準1級は二次試験 (スピーキング) が必須ですが、実は二次試験で不合格になってしまった場合、1年間は一次試験の受験を免除してもらうことができます (要事前申請)。
そこで、「一次試験 (リーディング&ライティング) の対策は十分だけど二次試験 (スピーキング) は自信が無い……」という場合、一次試験だけ先に合格しておいて、その後1年間はスピーキングを集中して勉強する、という戦略もできますね!
準1級、大学中級レベルの語彙レベルは?
英検では、英検準1級の目安を大学中級程度レベルとしています。ただし大学の英語といっても千差万別で、具体的な難易度は想像しづらいのではないでしょうか。
本記事では、実際の英検準1級で使われた英単語をアルクの SVL 12000と突き合わせ、具体的に使われている語彙レベルを調査しました。結果は後述します。
なお、パス単準1級についても調べた記事があるので合わせて参考にしてください。
準1級の合格率
準1級の合格率は約15%
準1級の合格ラインは7割
2016年度からの新しい合否判定方法について
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016admission.html
英検は2016年から採点の方法が変わりました。英検のサイトで合否判定方法について説明がありますが、要は、英検準1級ではリーディング、ライティング、リスニングそれぞれの正解率は7割が目安ということです。
ただし、配点は受験者全体の回答状況により変わる形式ですので、余裕をもって8割を目指した方が確実でしょう。
英検準1級をTOEICスコアにすると?
準1級はTOEIC720点レベル
近年のデータは公開されていないため、2013年度までのデータを掲載しています。
TOEIC公式が発表しているデータによると、英検準1級取得者のTOEIC平均スコアは716点 (リスニング387点、リーディング330点) です。概ね495~900点以上ぐらいの範囲に散らばっているようです。
英検準1級試験の語彙レベル解析
概要
英検準1級の試験で使われている英文の語彙レベルを26000語レベルで分類していきます。語彙レベルはアルクのSVL 12000 (1~12000語レベル) と極限の英単語・終極の英単語 (12001~26000語レベル) を基準としています。解析手順については「英文の語彙レベル解析手順について」を参照ください。
なお、26000もの語彙レベルで分類する必要が無い場合であっても、SVL 12000でカバーできない英単語の特徴が掴めるように26000語レベルで分類しています。
基準となる英単語リスト | 語彙レベル | レビュー記事 |
---|---|---|
SVL 12000 | 1~12000 | レビュー |
極限の英単語 Vol.1~4 | 12001~24000 | レビュー |
終極の英単語 | 24001~26000 |
本記事で解析の対象にする単語
筆記試験 | 英検のサイトで公開されている過去問から英文を抽出 |
筆記試験(ライティング) | 解答例に記載されている英文 |
リスニング | 過去問ページで公開されているスクリプトと問題用紙に掲載されている英文 |
スピーキング | 問題と解答のサンプルで使われている英文 |
一次試験は実際の試験で使われた英文
本記事では、2017年第1回の英検準1級試験に登場する英単語のレベルを解析します。
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リーディング
リーディング問題は、問題用紙に掲載されている問題文および選択肢を解析対象とします。
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ライティング
ライティング問題は、問題用紙に掲載されている問題文、および解答用紙に掲載されている解答例の英文を解析対象とします。
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リスニング
リスニング問題は、問題用紙に掲載されている選択肢と、トークの原稿を解析対象とします。
二次試験は英検のサイトに掲載されているサンプル英文を解析
二次試験 (面接形式のスピーキングテスト) は過去問がありませんので、英検のサイトで公開されている問題と解答のサンプルで使われている英文を解析対象とします。
英検準1級の語彙レベル
総語数
上記は英検準1級試験で使われた全英単語7233語を、語彙レベルで分類した結果です。英検2級と比較すると、3000~8000語レベルの単語の登場頻度が増えてきていることが分かります。
英単語の種類
単語の重複を除外し、英単語の種類で分類した結果が上記です。1542種類の英単語が使われていました。8000語レベルまでの単語が多く使われる傾向にあり、全体の94%カバーできていますね。もう少し詳しく知りたいので、筆記・リスニング・スピーキング別で調べてみます。
英検準1級の語彙レベル – 筆記・リスニング・スピーキング別 –
英単語の種類
使われた英単語を筆記・リンスニング・スピーキング別で分類した結果がこちらです。筆記・リスニングともに8000語レベルまでの英単語が殆どですが9000~10000語レベルの語彙も多少なりとも使われていることが分かります。
もう少し詳しく見るために、パート別で調べてみました。
※ | 筆記試験で使われた英単語がリスニングやスピーキングでも使われているというケースがあるため、試験全体の英単語の種類の総数と上記グラフの語数の合計は一致しません。以降のグラフも同様です。 |
英検準1級の語彙レベル – 筆記パート別 –
英単語の種類
内容 | 問題数 | 総語数 | 単語の種類 | |
---|---|---|---|---|
筆記試験パート1 | 短文: 語句選択 | 25 | 723 | 420 |
筆記試験パート2 | 長文: 語句選択 | 6 | 587 | 291 |
筆記試験パート3 | 長文: 内容一致選択 | 10 | 2066 | 601 |
筆記試験パート4 | 英作文 | 1 | 165 | 102 |
※ | 総語数や単語の種類には、人名や地名などは含まれていません |
パート別に語彙レベルの差が分かるように分類し、さらに語数 (縦軸) のスケールを50まで拡大したグラフです。パート1で6000~8000語レベルの単語が頻出していることが分かります。また、パート3は英文のボリュームが多く、3000~6000語レベルの単語が多く登場していることが分かりますね。
パート3のスコアが伸びない場合は6000語レベルまでの単語を、パート1のスコアをさらに伸ばしたい場合は8000語レベルまでの単語を強化すべきと言えそうですね。
英単語の種類 (筆記試験パート1 – 正解/不正解別)
選択肢 | 語彙レベル別の英単語カバー率 | |||
---|---|---|---|---|
6,000語 | 7,000語 | 8,000語 | 9,000語 | |
正解 | 50% | 67% | 83% | 90% |
不正解 | 52% | 68% | 79% | 82% |
筆記試験パート1の問題の選択肢に使われた英単語を正解/不正解で分けてみた結果が上記グラフです。試験1回分なので常にこの傾向であるとは言えませんが、本記事の解析結果を見るに8000語レベルまでは正解/不正解で使われる英単語の語彙レベルに有意な差は見られませんでした。ただし、10000語レベル以上の英単語が正解になる可能性は比較的少なそうです。
英検準1級の語彙レベル – リスニング パート別 –
英単語の種類
内容 | 問題数 | 総語数 | 単語の種類 | |
---|---|---|---|---|
リスニングパート1 | 会話: 内容一致選択 | 12 | 1399 | 438 |
リスニングパート2 | 文: 内容一致選択 | 12 | 1280 | 458 |
リスニングパート3 | Real Life形式: 内容一致選択 | 5 | 748 | 294 |
※ | 総語数や単語の種類には、人名や地名などは含まれていません |
パート別に語彙レベルの差が分かるように分類し、さらに語数 (縦軸) のスケールを50まで拡大したグラフです。リスニングはおおむね6000語レベルまでの単語が使われていますが、パート1では8000語レベルの単語がいくつか登場しています。リスニングにおいても8000語レベルまではしっかりと語彙を増やしておいた方が良いという事ですね。
英検準1級の目標語彙数
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最低目標は8,000語
英検準1級は7,500~9000語レベルの試験と一般的に言われていますが、SVL 12000基準で確認した限りでは筆記・リスニング共に8000語レベルの単語まではある程度の頻度で使われていました。まずは8,000語までしっかりと語彙を増やすことが必須であると考えられます。
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語彙問題に十分備えたい場合は8,900語
筆記パート1では9000語レベルの単語が選択問題に登場してきますので、語彙対策を十全に行うのであればココまでしっかりと語彙を増やしましょう。9000語あれば、英検準1級全体の95.1%の単語がカバーできます。キリが悪いので試験全体の95%カバーを目標として計算すると語彙は8,900となります。
範囲外の単語
26000語で分類できない英単語がいくつか存在していることがわかりましたが、どれほど難しい単語なのか、と構える必要はありません。英単語は派生語が数多く存在するので、意味が推測できる単語でも26000語の範囲外になることが多々あります。参考までに範囲外の単語を掲載しておきますね。
英検準1級試験 (2017年6月実施) で登場した26000語範囲外の英単語 (23語)
additionally, attractiveness, cashless, courteously, coworker, diclofenac, efficiently, excavation, falsely, grassland, mountainside, negatively, nervosa, neurogenesis, oceangoing, orthorexia, overemphasis, overemphasize, recklessly, relocate, schoolchildren, solidify, stiffness
英検準1級の英単語対策
自分の語彙レベルを確認する
Weblio – 語彙力診断テスト – 総合診断
https://uwl.weblio.jp/vocab-index
本記事ではSVL 12000を語彙解析に利用していますので、概ね自分の語彙力とSVL 12000と比較する方法について記事にしてあります。気になる場合は参照ください。
また、Weblioでは英検の各級における語彙力診断、および総語数を診断するテストが無料で受けられます。それぞれ試し、自分の語彙力に不足が無いか確認してみてはいかがでしょうか (無料で利用する場合、一定時間空けないと再テストできないので注意)。
専用の単語集で語彙数を増やす
英検準1級によく出る英単語を優先して覚える
英検準1級では中学・高校範囲外の英単語もある程度登場してきます。これら単語は専用の単語集でないと効率良く覚えることができません。
単語集の中でもパス単は評価も高いですし、英検準1級によくでる単語から覚えたいのであれば利用してみてはいかがでしょうか。詳細は以下を参照ください。
SVL Vol.1~Vol.3で暗記漏れの英単語を無くそう!
語彙数8000語を目指すには、高度な単度ばかりだけでなく、簡単ながらもまだ覚えていない単語を無くすことが重要です。この漏れをなくすには、頻出順に12000語もの英単語を揃えているSVL 12000が最適です。
語彙の定着には多読を
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管理人 矢月
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