一般英文の9割の英単語をカバーすると言われるNGSL、ご存じですか?
この記事ではNGSLとは何かを説明し、アルクのSVL12000と語彙レベルを比較した結果を公開しています。

NGSL (New General Service List) とは

GSL (General Service List)

1953年に公開された頻出語リスト

まず、GSLとはイギリスの教師であり言語学者でもあったMichael West氏が1953年に発表した、いわゆる「英単語の頻出語リスト」です。よく使われる英単語が約2000語掲載されており、一般的な英文の約8割がこのGSLの単語で構成されているといわれています。

このGSLにはワード ファミリーと呼ばれる考え方が取り入れられています。例えば、GSLには “you” という単語が含まれていますが、この派生語となる “your”、”yours”、”yourself” は見出し語には含まれず、”you” の 関連語 (Related words) として扱われています。これら関連語は合わせて約1500語です。

GSLは大変重用されたようですが、本来見出し語として扱われるべき単語が関連語として扱われてしまうなど一部問題があったようで (efficient が effect の関連語となっているなど )、別の言語学者による改訂版の見出し語2284語が1995年に発表されています。現在ではこの改訂版が一般的に使われているようです。



NGSL (New GSL)

現代の手法でアップデートされたGSL

NGSL (New GSL) とはGSLを大幅に刷新した、2013年版の頻出語リストです。2018年3月現在では2801語 (Ver. 1.01) で構成されています。このNGSLは一般的な英文の約9割を占めるといわれているので、GSLよりも英文カバー率が向上しています。

GSL 2284語 (1995年版) とNGSL 2801語 (Ver 1.01) を比較すると、GSL にのみ掲載されている単語が644語、NGSL にのみ掲載されている単語が1161語であり、掲載語には大きな変更が加えられていることが分かりますね。

種類語数
共通1640
GSLのみ掲載644
NGSLのみ掲載1161

選定者は日本の大学の教授ら

英単語の選出は明治学院大学のCharles Browne教授、青山学院女子短期大学のBrent Culligan教授とJoseph Phillips教授が行ったようです。日本の大学が関わっていたようなので、何となくうれしいですね! なお、Charles Browne教授が TED x TokyoTeachersで講演した内容がYouTubeで公開されています。NGSLも紹介されていますよ!

NGSLの特徴

2億7000万語の英単語を調査して作られる

NGSLはCEC (Cambridge English Corpus) と呼ばれるコーパスのデータを参照して英単語が選定されています。具体的には、CECにある20億の英単語から小説・雑誌・ラジオなど9つの分野で使われる英単語を合計2億7000万語ほど集め、英語を第2言語として学ぶ学習者向けに2800語を決めたようです。

Cambridge English Corpus (CEC)

CECとは、現代英語コーパス (小説、雑誌、日常会話、ラジオなどで使われた言葉の用例集) です。数十億の英単語で構成され、ケンブリッジ大学の関連機関にのみ開示されています。ケンブリッジの名がついていますが米国英語の英文も取り入れているため英国英語に偏っているわけではありません。また、IELTSやケンブリッジ英語検定の受験者の解答も集めている点はCECの特徴の1つです。

GSLを超える英文カバー率

GSLとNGSLの英文カバー率の比較はNGSL公式サイトに掲載されています。CECのコーパスを対象にした計測で、GSLでは84.24%である一方NGSLでは92.34%をカバーしたようです。

さらに、GSLでは見出し語+関連語の3623語での計測に対しNGSLは2818語での計測なので、値以上の結果と言えるでしょう。なお、この2818語はNGSL Ver. 1.00での語数で、Ver.1.01ではここから17語少なくなっています。この辺りは以下の資料に掲載されています。

NGSLの入手方法

英単語リストは無料

GSLやNGSLの英単語リストは無料で公開されているので簡単に入手できます。なお、NGSLは公式サイトのメニュー、[NGSL LISTS]-[NGSL 1.01 VERSION]からダウンロード可能です。

リンク概要
GSLGSL 2284語の掲載ページ
NGSLNGSL 公開サイト

なお、上記は日本語訳は付属していません。日本語訳が付属したExcelは以下ページ内のリンクからダウンロードできます。

NGSLを学習する

Android/iOS向けアプリ

NGSL Builder 日本語版 (Android)

NGSL Builder 日本語版 (Android)

NGSL がアプリで学習できます! Androidまたは iOS 向けのアプリでNGSLが学習できます。もちろん無料です。

アプリは2種類あり、NGSLの作成者の1人であるCharles Browne教授が属しているEFL Technologiesが公開しています。1つはNGSL のみ学習できるアプリ、もう1つは、NGSLの作成者が別途作成した、TOEIC向けの英単語やビジネス向け英単語も学習できるアプリです。

どちらも単語カードをアプリ化したようなタイプです。ゲームではありません。なお、アプリには若干日本語がおかしい部分がありますし、Word LearnerではNGSLを「新基本単語リスト」と表記していましたのでご注意ください。NGSLだけで良いのであれば、NGSL Builder 日本語版の方がシンプルでオススメです。

種類リンク概要
NGSL Builder 日本語版Android版iOS版NGSLに特化
Word LearnerAndroid版iOS版NGSL以外の単語リストにも対応

Webブラウザ (Quizlet)

フラッシュカードでGSL、NGSLを学びたい場合、オンライン学習サイトのQuizletを利用することができます。すでにGSL、NGSLのフラッシュカードが作成・共有されているので、どなたでも利用することができますよ。

種類リンク概要
Quizlet (GSL)リンク最初の1000語 (1~1000)
リンク残りの1284語 (1001~2284)
Quizlet (NGSL)リンク全2801語。単語の説明は英語
リンクGSL/AWL と重複しない785語

英辞郎の和訳をつけてAnkiで学習する方法もある

アルクが提供している英辞郎 on the WEBの内容はCD/DVDで市販されています。この市販の英辞郎とExcelがあれば、任意の英単語一覧に和訳を付けることができます。

英単語一覧が準備できたらAnkiに取り込んでボキャビルする方法がオススメです。Ankiとは世界中の語学学習者に愛用されている暗記のためのツールです。復習期間を適切に管理してくれるため覚えづらい単語のみ頻繁に復習することができます。私もAnkiで数百時間ほどボキャビルしています。

詳細は以下を参照ください。

NGSLに関するツール

任意の英文をNGSLの英単語で解析するツール

Vocab Profiler

Vocab Profilers

任意の英文がどれほどNGSLの英単語で構成されているか確認できるツールがVocabProfilersで公開されています。基本的な使い方は以下の通りです。

  1. Voocab Profilersのサイトを開き、英文を解析する英単語リストを選択
  2. 画面下半分の枠に、解析対象の英文を入力
  3. 画面右下の[SUBMIT_WINDOW]ボタンを押下

結果画面では、入力した英文の何%が英単語リストでカバーできたか表示されます。

関連する英単語リスト

NGSLは一般的な英文に頻出する英単語で構成されていますが、その他にNAWL (学術的英文向け)、TSL (TOEIC向け)、BSL (ビジネス基礎英語向け) の英単語リストがあります。これらはNGSLと組み合わせることが想定されているので、NGSLを覚えた後は目的に応じて各リストの英単語を覚えると良いでしょう。詳細はそれぞれの記事を参照ください。

記事リンク対象語数
NGSL一般的英文向け2801 (Ver. 1.01)
TSLTOEIC英文向け1259 (ver.1.1)
NAWL学術的な基礎英文向け963 (Ver. 1.0)
BSLビジネス基礎英文向け1754 (Ver. 1.01)

また、これら4種類の英単語を全て覚えた時の語彙レベルや英文カバー率などを別途調べています。詳細は以下記事を参照ください。



NGSLの語彙レベル比較 (SVL 12000)

概要

本サイトでは様々な英文の語彙レベルを26000語レベルで分類して評価しています。26000語はアルクのSVL 12000 (1~12000語レベル) と極限の英単語・終極の英単語 (12001~26000語レベル) を基準としています。NGSLに掲載されている英単語もこの26000語の語彙レベルで分類し、比較を行います。

基準となる英単語リスト語彙レベルレビュー記事
SVL 120001~12000レビュー
極限の英単語 Vol.1~412001~24000レビュー
終極の英単語24001~26000
英単語の分類は単語の形が完全に一致したか否かで判断します。例えば beat、beats、beatingは別の単語として扱います。ただし、大文字・小文字の差は判断しません。Beatとbeatは同じ単語として扱います。

解析の対象にする単語

NGSL公式サイトで公開されているNGSL Ver 1.01の2801語を対象とします。
また、比較としてEAPFoundation.comに掲載されているGSL 2284語も利用します。

種類語数
NGSL (Ver. 1.01)2801
GSL2284

語彙レベル比較

26000語レベルで分類

NGSL2801語を26000語レベルで分類した結果が上記グラフです。2801語ですが、SVL12000上では8000語レベルまでの単語が使われていたことが分かりました。SVL12000はBNCという英国英語コーパスを利用していたり、日本の英語学習環境に配慮して英単語の語彙レベル分けがなされているため、NGSLとは考え方が異なっています。そのため、このような結果に繋がったのではないでしょうか。

GSL、NGSLの語彙レベル比較

GSL 2284語とNGSL 2801語の語彙レベルをSVL12000の語彙レベルで分類した結果を併記した結果が上記グラフです。GSLと比較すると、NGSLは2000~5000語レベルの英単語が強化されているようですね。

英文カバー率の確認

NGSLは一般英文の9割をカバーするとNGSL公式サイトでは記載されています。疑う必要はありませんが、実際にハリーポッター1巻やTOEIC試験の英文を題材にどの程度カバーするのかを確認してみました。結果は以下記事を参照ください。